初日は個人的な目的で足を運んだOTOTEN2024でしたが、興味深いセミナーが聞けたので2日目はオーディオ目的で行ってきました。その感想を総じて言いますと、「使いこなしで追い込むタイプのオーディオマニアにとって、とても有意義なイベント」だと思いました。
比較論で語るならば、TIASは「オーディオ機器を入れ替えることでいい音(好みの音)を追い込むマニア向き」、OTOTENは「サウンド調整でいい音(好みの音)を追い込むマニア向き」と感じます。なので、OTOTENは自分にピッタリなイベントでした。機器の入れ替えとサウンド調整の両面から追い込みを実施されるマニアの方にも有益なイベントだと思います。
会場にはOPENの10時より少し前に到着しましたが、すでに100名くらいの人が並んでいました。並び方も込み具合もTIASと同等と思いましたので、注目度も同じくらいなのではないでしょうか。自分は初参加でしたので、テーマや優位性は付けずに時系列で記録していくことにします。
先ずは狙いのセミナーである「仮想アース セミナー」の座席取りに向かいました。デモがあるはずなので、一番いい席で聴きたいと思ったからです。ですが、イベントは10時30分からでしたので席だけ確保を済ませてから展示巡りをしました。
最新のヘッドフォンはどんな音で聴けるかが気になっていましたので、同じ階での試聴です。
①ソニー
ここではウォークマンの違いによる音の違いを聴かせていました。確かに機種により音が変わりますね。最初に一番安いものを聴いた感想として「もう少し音に厚みが欲しいです」と言うと、「ではこれを聴いてください」と言われ、聴いてみると確かに音に厚みが出ました。そんな感想を告げると、「これも聴いてみてください」と促されます。聴いてみると音質はアップしました。「ズッシリと重いでしょ。ボディが無酸素銅で出来ているんです。40万円します」ですと・・・モバイル機器もシャシグランドが大事なんですね。
ですが、この音質変化に10倍の価格差を払う気にはなりませんでした。持ち運ぶなら軽い方がいいですしね。
②ゼンハイザージャパン
こちらでは、ヘッドフォン専用の送り出しでしたがとても良い音でした。ゼンハイザー HD 490 PROのイヤーパッド違いの音の確認でした。6万円ほどのヘッドフォンですが、これはいいと思いました。
ミキシング用イヤーパッドでは・・・音が明瞭で、全部聴き洩らさないという音質です。
音楽制作用イヤーパッドでは・・・音が柔らかく広がり音楽鑑賞向きの音質です。
ヒジ:「イヤーパッドだけで何でこんなに音が変わるんですか?」
説明員:「んー、吸音などの違いだと思います」
◇音の違いの理由はよくわかりませんでしたが、イヤーパッドだけでこんなに音が変わるのはちょっと衝撃でした。オーディオの音の調整用に使うならどちらを選ぶか?ちょっと悩ましいです。
③光城精工
お目当ての仮想アースセミナーを聞きました。
テーマ「シリーズ完結!仮想アース Eps.3 三種の神器編」
講師:光城精工開発者
どんな内容なのかと興味津々でしたが、面白かったです。
・27枚の「仮想アース」と題されたスライドが配布されて、説明が行われました。
「1大地アースの目的」「2オーディオ装置の基準って」「3ここまでのまとめ」「4昨今のオーディオ機器」「5さぁ、時は満ちた!?」「6だがしかし・・・」「7大地アースで出来ないもの」「8基準は必ずしも大地でなくてよい」「9やっとこさ仮想アース」「10基準(仮想アース)に要求されるもの」「11まとめ」「参考文献」
自分もアースの勉強はしてきましたが、オーディオ用のアースとしての文献は見たことがなかったのでとてもためになりました。内容を簡単に記載すると下記です。
・オーディオ用の機器の電気的な基準は大地である。
・この基準を安定させることが大事だが、通常は機器のボディがその役割を果たしている。
・ボディを基準としてもかまわないのだが・・・
・基準に要求されることは下記の3つ(光城精工の考え)
◇容量が大きいこと・・・狙いは表皮効果
◇導電性があること・・・素材選びはメーカーの腕
◇周囲環境に影響されにくいこと・・・大地は環境が変化する
・だから光城精工の仮想アースがいい!と話はつながっていました。
光城精工の仮想アースはこれで完結した!と三種の神器のデモがありました。
一番アピールされていたのは、新製品の”Crystal Eop-G”です。これをクリーン電源を給電しているコンセントに刺すと・・・
「固まった音がほぐれて、明瞭かつやわらかな音」になりました。
さらに、ペンシルタイプの仮想アースをフォノイコライザーに刺し、箱型のCrystal E-Gを左右のスピーカーにつなげると・・・
音を聴いて、ひっくり返りました。
試聴音源は、John Williams in Tokyoです。(この音源は各ブースで鳴らされていました)
三種の神器を付けると・・・
・冒頭の拍手が大きく広がり、オーケストラの立体感が増し、ここの楽器の音が決まる
まるで別ものになったように思いました。まさか仮想アースだけで・・・やられた~、敵ながらあっぱれ!という気分でした。
その後は各ブースをチラ見しながら回ります。そのなかで気に留まったのは、
④クボテック(HANIWA AUDIO)
こんなホーンスピーカーで生演奏を聴くような空間が出るとは・・・驚きました。
でもプライスが700万円越えですから、ちょっと考えてしまいますね。ミソは低域から高域までの指向性を揃えることらしいです。
早めの昼食をとった後は次のイベントまでのぶらりタイムでした。その中で印象的だったのは・・・
⑤東北パイオニアのゲリラライブ
ライブをやるとアナウンスしていたので前を陣取って待つと・・・アイドル歌手風のライブが始まりました。
歌手:「みんな~楽しんでいってね~」
お客:「イエ―!!」
数曲聴いていましたが、そこにいるだけで恥ずかしくなり・・・ブースを出ました。
でも、こんな体験が出来るとは思いもよりませんでしたね。
⑥金井製作所(KaNaDe)
このブースももう一つのお目当てでした。KaNaDeの小林さんから「来てください」とお声掛けをもらっていたからです。諸々の話をしましたが、さすがブレーキパッドの開発をされていただけあり材料選択の狙いがすごいですね。写真の下のボードにKaNaDeの成分の説明がされていました。「低い音(バスドラム、ベース)から、高い音(シンバル)まで、この帯域のためにこの材料を使うなどの詳細な解説に驚きました。いい加減なアクセサリーがはびこる中で、OTOTENで技術解説されている製品は信用が出来ますね。後継者も見つかりつつあると聞きましたので、こうゆう優良なアクセサリーメーカーは継続して行って欲しいものです。
長らく話していると、新製品のモニターを頼まれましたので、ありがたいやらプレッシャーやらでした。普段は中々直接話せる機会はないですから、こんな点もイベントのご利益ですね。
⑦ジェネレックジャパン / シンタックスジャパン
初日に”「本当の音」聴いていますか?セミナー”を聞いた場所での、イマーシブオーディオのイベントです。ジェネレックのスピーカーが第1層は7.1CH、第2層は5CHでセットされていました。当然ルーム補正済とのことです。
【タイトル】「麻倉怜士が認める時空を超えた奇跡の競演 イマーシブで実現する音本来の感動を体感せよ」
【講師】麻倉 怜士 氏(オーディオ&ビジュアル評論家)、入交 英雄 氏(WOWOW)
イベント解説が、「時を超えた奇跡の演奏を世界最先端の技術で捉えたイマーシブ・サウンドをご紹介」とありましたので聴きに来たのですが、大人気で一番後ろの端で聴いたのでピンとは来ませんでした。Auro3Dさんは来ているのかな?なんて浮かびましたので、あたりを見回しましたが居られなかったようです。
⑧小柳出電気商会(オヤイデ)
“パルシャット®使いこなしセミナー”と題されたセミナーに興味がわいたので向かいしました。セミナーの概要は下記です。
「発売以降、大好評の「NRFパルシャット製品」の使いこなし方を製品開発担当者が直接レクチャーします。更にもう一つのノイズ抑制材「MWA電磁波吸収材」との使い分け方も一緒に検証します。実際にケーブルに貼り付けて試聴しながら、それぞれの効果的な使用方法を解説します。」
電磁波対策がどれほど音に効くのかを知りたかったのです。
セミナーですから、データ付きのしっかりした資料で解説が行われ、効果確認のデモが行われるスタイルです。
解説には、「原理的にはそうですよね」などと思いながら聞いていたのですが、デモに驚きました。
パルシェット:非磁性体の電磁波吸収テープ
MWA:磁性体の電磁波吸収テープ
この二つの特性と使いこなしの解説があったうえで、パルシェットとMWA各々を巻いた時のデモが行われました。
1)プリメインアンプの電源ケーブルに8cmのテープを巻いたデモ
2)スピーカーケーブルに12㎝のテープを巻いたデモ
3)ラインケーブルに5cmのテープを巻いたデモ
4)1)の電源ケーブルを8cmから24㎝に換えたときのデモ
どれも効果を感じることが出来ました。解説通りの効果です。オヤイデ電気って、秋葉原のガード下のバラックで電線を売っているお店だと思っていましたが、しっかりした会社なんですね。
最後に、何もつけないバージョン vs オヤイデ推奨の比較が行われ、その効果のほどにビックリです。
「空間が広がり、余韻が心地よく、音に深みが出る」
「まさか、こんなテープを巻いただけで・・・」
「オーディオって本当に不思議ですね」
再起不能になりそうでしたが、サンプルもいただいたので試してみたいと思います。
⑨ソニー
「音楽創造~生録&編集のデモ&セミナー」
生演奏を録音して、編集を経てどのように音楽が創り出されるのか? そのデモンストレーションと解説を行います。との紹介に惹かれて向かいしました。プロミュージシャンとプロミキサーによるデモです。
写真のように生演奏をその場で録音して、再生するイベントでした。
面白かったのは、ギターの音の録音と再生です。
マイク1:ギターの弦を狙ったマイクセッティング
マイク2:ギターのボディを狙ったマイクセッティング
マイク1のみの再生は、きらびやかな弦の音が目立ちますが、生で聴く感じとはずいぶん違います。
マイク2のみでは、響きはよく録れますが生々しくありません。
マイク1と2をミックスすると、録音でもその場で聴いた感覚で生々しい音が聴けました。
◆このデモから感じたのは、下記です。
「はやりの空気録音もミックスして録ると、その場で聴いている感覚が録音できるんじゃないかな?」
以上、駆け足でのOTOTEN2日目のレポートとなりますが、とても楽しかったですし、ためになりました。面白そうなイベントやセミナーが満載ですので、フル参加しても聞きたいセミナーは回り切れそうにありません。
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