題名のない音楽会で知ったジャズ系作曲家の挾間美帆さんの曲を聴くのが大好きです。donguriのツボは、ジャズのインプロビゼーションやリズムを楽譜に落とし込み、さらに聴衆をあきさせないように周到に計算された展開と美味しいおかずをいれて引き込む独創的な楽曲、かなり現代音楽的な曲でも聴衆を引き付ける分かりやすさをうまくちりばめている点、もともと弦楽アンサンブルによるジャズのインプロビゼーション風パッセージや和音の響が好みのdonguriにピッタリの作風。というあたりでしょう。
狭間さんは米国ではm_unit、デンマークではデンマークラジオ・ビッグバンなどを率いて数々の名演をなさってきており、世界的な音楽家と言って良いのでないかとdonguriは思っております。日本ではシエナ・ウィインド・オーケストラのコンポーザー・イン・レジデンスにもなられています。
MaNGROVEというのは挾間美帆さんとヴァイオリニストの滝千春さんが中心に立ち上げた6人組のユニットで、今年ワールド・プレミア・ライブ5会場を終えたところです。4会場目として1/24に八ヶ岳高原音楽堂でのパフォーマンスを行ったということになります。
ピアノ・作曲・編曲担当の美帆さん以外のメンバーは以下のような方々
滝千春 ヴァイオリン
もともとクラシック畑のヴァイオリニストです。メニューイン国際コンクール一位となっております。コンサート中におっしゃっていましたが、プロコフィエフの音楽に深い興味を持ち、つらい時にもその音楽に助けられてきたとおっしゃっていました。プロコフィエフのヴァイオリンソナタを沼沢淑音(よしと)のPf伴奏で録音した演奏はレコード・アカデミー賞を受賞しており、MaNGROVEのコンサート後聴いて見ましたが、一音一音に魂がこもっている感が伝わる演奏でした。 クラシック音楽ライターの飯田有抄さんも絶賛しております。
山根一仁 ヴァイオリン
2010年第79回日本音楽コンクール第1位というこれまたすごいバイオリニスト。そのコンクールではレウカディア賞、黒柳賞、岩谷(聴衆)賞、増沢賞もという賞総なめ!の快挙を成しえたすごい人です。
ルオシャ・ファン ヴィオラ
中国出身の方です。ヴィオリストとして今回は参加ですが、ヴァイオリンも弾ける方。2018年東京国際ヴィオラコンクールで優勝しており、これまたすごい。
佐藤晴馬 チェロ
2019年、ミュンヘン国際音楽コンクール チェロ部門で優勝、第83回日本音楽コンクールも制した実力の持ち主。最近、日本人チェリスト、すごい人がいっぱいいますがその中の1人と言って良いでしょうね。
木村将之(まさし) ベース
東京藝大・同大学院を終了した、ベーシスト。甲斐よしひろ、薬師丸ひろ子などのツアーサポートを担当したとのこと。コントラバスアンサンブルですでに3枚のアルバムをリリースしている。クラシック、ジャズ、ポップス何でもこなせるベースマンだそうです。
以上、凄腕メンバーが良く集まったなあ!とひれ伏すのみ。さて披露された曲は?
1.狭間美帆作曲 CHIMERA
これは弦楽四重奏曲です。木村さん、挾間さんは舞台裏待機。完全に現代音楽です。ただ、それほど不協和音感は強くなく、聴いていられます。それからなんといってもジャズ的なリズムの爽快感は全編に流れ、即興的なメロディのセンスもdonguriの好みにばっちりあっていて(これがあるから狭間さんの音楽にはまっている)、もう一度聴いてみたい!と思わせる曲でした。
2. Cチャップリン スマイル
こちらは打って変わって、正統ロマン派的和声のしみじみ曲、アンサンブルがすばらしい、音楽堂の音響と相まってうっとりするような曲。
3. 山下洋輔(挾間美帆編) 組曲「Canvas in Quiet」より
狭間さん木村さんが加わってセクステットでの演奏、これはビッグバンド風ジャズですな。弦楽器用にアレンジなのでインプロヴィゼーション風パッセージがいっぱい聴けるのが楽しい。
4.プロコフィエフ(狭間美帆編) バレエ組曲「ロメオとジュリエット」
滝千春さんの推薦でこの曲をすることになったと。クラシックファンは、通常オーケストラヴァージョンをよく聴いているわけであるが、それをセクステット版に狭間先生がアレンジしたものとなります。弦楽器パート各1しかないのですが、すごい迫力とダイナミックレンジの広さを感じさせていただきました。
やはり狭間先生の編曲は素晴らしいなあと聴き入っておりました。
5.狭間美帆 B↔C (MaNGROVE Edition)
もともとはソロヴァイオリン用だったのを2台ヴァイオリン用にアレンジしたそうで、現代音楽の作品といっていいでしょう。現代音楽的でも狭間さんは素人聴衆の感動ポイントをうまくちりばめるのでdonguriのようなものでも楽しめるのでしょうね。滝さんと山根さんの脅威のパフォーマンス、2人が一体化したようなパッセージに感動した。
6.J コスマ (武満徹編) 枯葉
ジャズをちょっとでも聴いたことのある人なら知っている枯葉のジャズ版ですが、武満徹編曲のものがあるということでで聴かせていただきました。弦楽器の一体感すばらしいなあ。
7.武満徹(挾間美帆編) ちいさな空
武満さんがつくった、素朴な旋律の歌、合唱団でもよく取り上げられるが、今回はMaNGROVE編で楽しめました。
8。挾間美帆 組曲「Space in Senses」より Prallelism、Puzzle、Interlude、Pyramid、Big Dipper
これはコンサートのトリの曲ですね。挾間さんの曲の面白さとセンスのよさを堪能できる充実した作品、各パートを作ったキーポイントの解説をしていただきました。結局引き込まれるように聴いてました。ほんと面白いし、演奏は上手いし、素晴らしいなあ。
八ヶ岳高原音楽堂について
自宅から車で30分くらいの距離にあるが、はずかしながら現地参加は初めて、音の良い小ホールを日本にも作りたいということで武満徹とスヴャトスラフ・リヒテルがプロデュース担当で建てられた。昔から知ってはいたが、この年になってやっと音を体験できました。
六角形の建物、ガラス張りでステージ裏からは山と林が見え、楽器が程よく調和して美しく響くように設計されているのが実体験できました。donguriの限られた範囲のコンサート会場体験歴の中ではありますが、これまで体感してきた会場のなかでも最高クラスの響きだなあと思えました。弦楽四重奏のアンサンブルはよく溶け合ってステージ中心から1つの楽器から発せられるイメージになります。また弦の音はまろやかなで心地良い感じに響きます。
自分のオーディオ部屋の普段から聴いている音はやはり高音を強調しすぎなんだと今回感じました。部屋に帰ってから確認したところ、Dirac Live でフルバンド補正すると一番音楽堂の音に近づくたようです。同じにはなりませんが。音楽堂のピアノの音は今回のセッティグではあまり前に出てこなくて控えめに響いており、少し物足りなかったかな。これは自分のオーディオ部屋の鳴り方で良いわと思いました。
1月24日は日本海側中心に大雪警報がでている状況したが、八ヶ岳はそれほどでもありませんでした。ただコンサートが終わる頃に雪は結構降りだし、帰り道は圧雪状態となり、八ヶ岳高原ロッジ地区から抜けるまでは恐る恐るの運転となりました。
八ヶ岳音楽堂は250席しかないそうですが今回は3分の2くらいの席が埋まっていましたので、聴衆は200名弱でした。聴いた人には贅沢な時間なのですが、この音楽をこれだけの人しか聴けないのはもったいないなあ!と思っておりました。
MaNGROVEプレミア・ツアーですが八ヶ岳高原音楽堂は4会場目、翌日の5会場目は東京BLUE NOTE TOKYOでした。そちらはSOLD OUTとなっていて、かなり多くの聴衆が集まったと思われます。
それから、2月26日(土)AM 10:00放映予定の「題名のない音楽会」に出演予定だそうです。


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