新たなオーディションに向かうのは緊張する。特に課題内容が当日までわからないものは恐れすら感じるものだ。そう言えば今の事務所のオーディションの時もそうだった。椅子の上にクリアホルダーに挟まれた課題が用意されていた。審査官が来るまでの5分程度の時間は眺めることが出来たが、ここで汗が出てきた。
置かれていた課題は、「ナレーション」「ポージング」「ダンス」「セリフ読み」・・・えっ、ポージング、ダンス、こんなの出来ない、と思ったら冷汗が出てきたのだ。
当日の受験者は2名だった。審査官が来ると面接が始まる。自分が最初だった。面接は必ずあると思っていたし、話すことも考えてきた。だから特に問題はなくことは進んだ。もう一人の人と審査官の会話もされてはいたが、すぐに実技審査は始まった。それぞれの課題の中に、3種類程度の題材が用意されていて好きなものを選べる。好きなものを選べるのはよいが、すでに頭の中はポージングとダンスのことで真っ白状態だったので、どれがいいかなど考える余裕はなかった。だから最初に出てくるものにしたと記憶している。
最初はナレーションだった、問題は次からだが「ポージング」「ダンス」は割愛されて「セリフ読み」に進んだ。この時は本当に安堵の気持ちが湧いてきた。ポージングのイメージを何度も頭の中で考えたが、どうしても笑いが出てしまう。コントにしか見えないのだ。
このように、課題の内容がわからないオーディションは緊張する。昨日もそうだった。課題は当日の受付で渡される。ギリギリに受付すると事前に見る時間はないと通知されていたので、受付開始の少し前には会場入りした。課題はラジオドラマの台本の抜粋だったが、前後関係を確認するための本番用の台本も用意されていた。先ずは課題用の抜粋台本を読んだ。これだけでも大筋は把握できたが、やはり前後関係を確認したくなり本番用の台本も確認した。二つの台本の男性用の2役、計4役を30分間で仕上げなくてはならない。シナリオを読み込み、キャラクターを想像し、声の高さや抑揚を決め、台詞の立て方を決める。この30分の濃密さは当日課題配布のオーディションならではのことだ。事前に配布されていたら4時間かけることを30分に押し込める濃密さだった。
事前に課題を受け取るオーディションも本番に向けて集中し、普段の練習とは一味違った勉強となるが、当日配布の集中度合いは格別なものがある。スリリングと言い換えてもいいと感じた。今回はポージングやダンス課題は示されなかったので、冷汗が出ることもなく、逃げ出したい気持ちも湧かずに済んだが、マイクに向かってセリフを語るのはまだ慣れない。


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