前回の記事で予告した簡易測定との突き合わせと位置決めをお届けします。このシリーズは今回で終わりです。
スピーカーレイアウトの自由度の高さは人それぞれ。高いに越したことはないですが、ないならないなりのやり方がある。○○法はノウハウを得る過程ひとつとして参考にしつつ、自分なりの工夫で部屋音に向き合えば良いのかなと思います。
1.まとめ
《やったこと》
マジコ推奨スピーカーセッティングの3:8:3について実際にスピーカーを動かし、下記3つを行いました。
1) 音を聞く
2) 定在波シミュレーションと簡易測定の比較
3) EQ補正
《わかったこと》
やはり定在波の影響は圧倒的でした。
1) 壁からスピーカー背面まで80cmから95cmくらいが聴感上は良好でした(詳細は実践編1に記載)
2) 奥の方では天井反射率を高く見積もった方が測定と近似し、手前の方では低く見積もった方が測定と近似しました(詳細後述)
3) EQ補正には限界がある。過度な補正をするとスピーカーから付帯音が発生(詳細後述)
《今後》
測定で適宜シミュレーション条件を補正しながら良好な定在波特性が得られるポイントを探るのは継続しつつ、合わせてルームチューニング材の導入を検討していきたいと思います。例えばアンク入れたら消えるのか、チューブトラップや音快速極烈低入れたら消えるのか
2.簡易測定
ざっくりこんな感じでした。
[:image2:]
入力波形はピンクノイズですのでオクターブバンドパスフィルターのかかったFFTアナライザ上ではフラットになるのが理想です。ところが波形上は悲劇的な大きさの山谷が複数あります。
しかし前回記事に書いた通り聴感上はどのスピーカー位置もそんなに悪い印象はありませんでした。私の耳が庶民的ということもありますがおそらく音楽を楽しく聞くにあたって、周波数特性がフラットであることは思ったほど寄与度が高くないのだと邪推(言い訳)します。
次にシミュレーションとの比較ですが、左列と右列では天井反射率を変えています。左が低反射、右が高反射です。110や133では60Hzから200Hzにかけて左下がりの特性が低反射率の方と似ていますが、それ以外ではなぜか高反射率で得られる右上がりの特性が似てきます。このあたりは勾配天井のため単純にはいかず手探りで知見を積み上げていくしかなさそうです。
[:image3:]
3.位置決め
この記事を書きながら見返してみると95cmの方が良好でした。しかし元の位置とあまりに近いため今回はあえて80cmに決め細かいセッティングを行いました。
[:image1:]
左右対称になるよう最大限気を使います。そこは寄与度が大きいと考えています。ついでなので左右差も測ってみました。ピンクが左のみ、グリーンが右のみです。差は測定ばらつきの範囲内に収まっていると思います。
[:image6:]
4.EQ補正
[:image4:]
自由度の高いEQを、CPUリソースの許す限りいくつでも使える再生環境を生かしてフラット狙いで補正する。その構想は前からあって、一部実践もしていたのですが、今回スピーカー位置変更後にそれを実施すると思わぬ副作用が出ました。
[:image5:]
DACへの入力のオクターブバンド波形です。入力がピンクノイズのため本来フラットですが定在波の大きな谷を埋めるべく80Hzをピークとした大きな山があります。
測定中、ピンクノイズらしからぬ小さな金属音が聞こえ、耳を近づけてみるとそれはスピーカー内部からでした。極端なピークを持つ非音楽信号で連続の入力を与えると減衰が追い付かず外部に漏れるほどのピークが生じてしまったものと推測します。
どの程度までの入力ピークなら異音を生じないか確認し、今後の定在波の山谷低減の目標レベルにしたいと思います。
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