秋雨前線の影響で小雨の降る大阪市北区にあるザ・シンフォニーホールの正面玄関に着いたのは、日曜日の午後2時過ぎ。
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中に入ってホワイエでコーヒーを飲んで心を落ち着かせる。
1982年に完成した日本で初のクラシックコンサート専用ホールだけあって、その後に建設されたサントリーホールにも引けをとらないほどデザイン性があって重厚な造りとなっている。
座席数1704で残響は満席時でも2秒あり、豊かな響きを聞かせてくれる。
今日は今年37回目のコンサート。
ショパン生誕200年の記念イヤーで、ここシンフォニーホールでも、数多くのショパンコンクール覇者の演奏会が開かれている中で、小生のお気に入りピアニストの一人、2005年覇者であるラファウ・ブレハッチの演奏会だ。
今日は贅沢にも、1部がオールショパン・ピアノリサイタル、2部が大友直人指揮、大阪センチュリー交響楽団との競演で、ショパン:ピアノ協奏曲第2番を演奏する。
ほぼ満席の客席だが、今回は1階中央やや後ろの左という席を確保した。
上を見上げると天井の反響板が照明に輝いて幻想的なイメージをかきたてる。
曲目はポロネーズ 第1番 嬰ハ短調 op.26-1、ポロネーズ 第2番 変ホ短調 op.26-2、マズルカ 第26(27)番 ホ短調 op.41-1、マズルカ 第27(28)番 ロ長調 op.41-2、マズルカ 第28(29)番 変イ長調 op.41-3、マズルカ 第29(26)番 嬰ハ短調 op.41-4、バラード 第1番 ト短調 op.23。
休憩をはさんで、ピアノ協奏曲 第2番 ヘ短調 op.21。
小柄で華奢なブレハッチが、大また歩きでステージに現われ、客席に向かって一礼するなり、ピアノに向かって弾き始めた。
柔らかい、あくまで柔らかく輝きのあるタッチだ。
例えるならユンディ・リのピアノがクリスタルの鋭さと煌くばかりの輝きだとすれば、ベルベットの柔らかさと輝きだろうか。
ブレハッチの真骨頂は、力強い響きよりも、儚く消え入りそうな繊細な音の連続。
まるでオーロラの神秘的な光の揺らぎのように感じるほど、透明感と空間の大きさを感じさせる。
第1部はアッというまに時が過ぎていったと感じるほど、ブレハッチの世界に連れていかれた。
20分の休憩時に、ステージ中ほどにあったピアノがステージ最前列に移動し、オーケストラのセッテイングがてきぱきと行われる。
ステージマネージャーの指示のもと、沢山の人がアッというまにステージを作り上げるのを見ているのも楽しい。
第2部は大阪センチュリー交響楽団との競演で、指揮者の大友直人氏を従えてブレハッチがステージに現われ、コンサートミストレスと軽く握手を交わして、演奏が始まった。
ショパンのピアノ協奏曲は第1番が有名で演奏機会も多いが、この2番は1830年に1番よりも先に作曲されという、より繊細なショパンの世界を楽しめる。
ベルベットのように柔らかく煌くタッチが比較的小編成のオーケストラの伴奏にのって展開する。
リサイタルとは一味も二味も違う協奏曲の魅力がここにある。
演奏が終わると万雷の拍手が鳴り止まず、2曲のアンコールを弾いてコンサートは終了した。
夜想曲第20番嬰ハ短調、マズルカOp.50-2変イ長調。
演奏会がハネた後東京へ移動するためそのまま空港に向かったが、頭の中にはいつまでもマズルカが鳴り響いていた。
素晴しいコンサートの余韻はいつまで続く。
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