週末から四国中国に接近上陸した台風12号のせいで大阪に帰る予定が急遽キャンセルとなった9月初めての日曜日の昼下がり。
2週連続でJR錦糸町駅前のすみだトリフォニーホールに出かけた。
台風から遠く離れていても雨雲が沸き起こっていて東京スカイツリーが霞んで見える。
今日は今年19回目のコンサート。
東京アマデウス管弦楽団の第75回演奏会だ。
1973年に東大オーケストラ卒団者を中心に結成され、年2回の演奏会を重ねてきて、今日の演奏会を迎えていた。
指揮者は読売日本交響楽団を経て現在は東京音楽大学名誉教授の三石精一氏を迎え、オールフランスもののプログラム。
曲目は、ベルリオーズ:序曲「ローマの謝肉祭」Op.9、プーランク:シンフォニエッタ、ベルリオーズ:幻想交響曲 Op.14である。
全席自由ながら2000円のチケットだが、客席はほぼ満席の盛況ぶり。
演奏が始まった。
1曲目の「ローマの謝肉祭」は、出だしから陽気なアップテンポでリズムもノリノリ。
特長的なのはヴァイオリンをはじめ弦楽器群の音がとにかく大きく響いて聞こえること。
弦楽、木管、金管、パーカッションとそれぞれのパートがよく訓練されていているのが判る。
三石精一氏の指揮ぶりは、全盛期の朝比奈隆を髣髴とさせる、背筋をピンと伸ばしたパントマイムのように体を揺らし、右腕でタクトを振り回しながら左手をブルブル震わせて奏者を煽っていく。
管楽器群も音の通りが良くて、それぞれの楽器ごとの和音の変化やアンサンブルの妙技が、すっきりと見通せる。
オケ全体の音色は、一言でいうと光り輝くブリリアントな音。
響きがホールの上にスゥーっと消えていく様が見て取れるようだ。
最後までアップテンポで陽気なまま大団円を迎えると、1曲目としては異例なほど客席が一体となり盛り上がったのかが判るほどのドヨメキと大きな拍手が沸き起こった。
フランスもののエスプリタップリなプーランクのシンフォニエッタは、木管パートがそっくり入れ代わって演奏が始まった。
軽妙洒脱というのがぴったりの演奏で、奏者も心底楽しんでいる余裕さえ感じさせる素晴しい演奏だった。
休憩を挟んだメインの幻想交響曲。
この曲は数多くのオケが取り上げているのを聴いてきたが、今回の演奏はアマオケとしては抜きん出て素晴しい演奏だった。
第1楽章から聴衆のハートを鷲掴み。
ここでも、ヴァイオリンがピンと筋の通った完璧なアンサンブル。
1stVnはいうに及ばず、素晴しいのは2ndVnの音量が1stVnに負けじと大音量でハーモニーを響かせる。
これは木管、金管も同様で、美しい和音を構成できるのが、このオケの特長であり長所だと感じた次第。
三石氏の指揮は、早くもなく遅くもなくだが、その中で一瞬の「揺らぎ」が随所にあって、それが非常に効果的。
まるでジェットコースターに乗せられたかのように自在にアップダウンを繰り返し、トゥッティでは弾けるような速い速度で、楽器から放射された音楽が聴衆の方にすっ飛んでくる。
アマチュアがこのような大曲を演奏する場合、音量を稼ぐために楽器の人数を増やしたりするのだが、弦楽器も管楽器も正式な編成の人数だけ。
その代わり、一人一人の演奏技量が高い証として音量がとても大きく、それ故に個々の楽器が朗々と響いているのが感じ取れる。
2楽章、3楽章とすすみ、4楽章の断頭台への行進から5楽章の魔女の夜宴と曲が進むにつれ、奏者と聴衆がシンクロし完全に一つに融けあった。
そして、フィナーレ。
ステージから放射された音響が残響となり、ステージから立ち昇って消えてからしばしの沈黙の後、ウォー!といううなり声とともに熱狂的な拍手の嵐が沸き起こった。
演奏会がハネた後の聴衆は、興奮の余韻が冷めやらぬといった上気した顔、顔、顔。一部からスタディングオベーションが起きるほどの興奮をもたらしたのは何だったのだろうか?
それは、弛まぬ練習による演奏技能の高さと確かさ、好きで好きでたまらない音楽への情熱と愛情、そして素晴しい音楽を聴きたいと馳せ参じた素晴しい聴衆の三位一体となった奇跡の演奏会だったからではないか。
いやー素晴しい!!
弦楽合奏の音量とアンサンブルの精密さが桁違いにレベルが高い!!
管楽器パ-トが技巧派揃いというのはよくあるんですが、弦楽パートのレベルが高くてしかも音量が大きいというのはあまり無いんですよね。
どんな難しいパッセージでも、超難度の弱音ハーモニーでも、全員が自信を持ってサッと出音を揃えることができるってのは、凄いことです。
小生が味わった興奮を少しでも感じていただけるでしょうか?
東京アマデウス管弦楽団。
これからも目が離せない、アマチュアオケの一つです。
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