Auro3Dについて、前回の「ハード編」に続き、今回は「ソフト編」を。
前回書いたように、Auro3DのNativeソフトはまだ非常に少ないですが、それを補って余りある(?)のが、ソフトによってはかなり効果的なEmulationです(AuroMaticと呼んでいるようです)。
前回、「ソフトを選ぶ」と書きましたが、具体的にお見せすると、例えばここにある3枚のCDです。それぞれ、ロック系、ジャズ系、クラシック系から一枚ずつ選んでみました。(『危機』by Yes, 『In Concert』by Chick Corea & Gary Burton, 『ブルックナー交響曲第5番 オルガンバージョン』by Matthias Giesen)。[:image4:]いずれも2chソースですが、これをAuroMaticでマランツのアプリで入出力を表示するとこのようになります。[:image3:]
『危機』と『第5番』はオルガンを使っています(もしかすると『危機』の方はシンセサイザーによるEmulationかも)が、はっきり言って、「オルガン」はAuro3Dの超得意分野です。オルガンの生演奏を聴いたことのある人はわかると思いますが、オルガンって、「定位」や「音像」なんてものはないんですよね(笑)。あるのは、「音場」のみ。どこのオルガンを聴いても部屋(ホール・教会)全体が鳴ります。これはAuro3Dそのものです(ちなみに、ここに写っている『危機』は、DVD-Audioの5.1chのもので、私はこれをAuro3D化しています。やはり2chバージョンよりさらにサラウンド効果は高いです)
チックコリアとゲーリーバートンのCDは、ピアノとビブラフォンだけの演奏ですが、恐らくこれは教会のような天井の高そうなホール(クレジットには、チューリッヒの「リマートハウス」とある)で録音されているようで(行ったことないので、違ってたらごめんなさい)、これもAuro3D化すると、オリジナルの2chには戻れなくなります。
さて、次の写真に写っている3枚の音楽ソフトには、ある共通点があります。わかりますでしょうか?[:image2:]
これらはすべて、Atmosで録音されている、ブルーレイディスクなのです。Atmosというと映画の効果音のイメージですが、ここの方ならよくご存じのように、音楽ソフトにも採用されているものがあります。またまたロック系、ジャズ系、クラシック系から一枚ずつ選んでみました。他は見ればわかる超有名版なので、ジャズ系(というよりはほとんど映画音楽ですね。楽器はJazzっぽい選択で生演奏中心ですが、オケも入ってます)だけ紹介しておくと、Hans Zimmer Live in Pragueというものです(これだけ映像付きです)。
ここで一つ面白い実験をしてみます。聴きなれているのでカラヤンで行きますが、このソフトは、実はAtmosのほかに、5.1DTS-HD MA 24bit/192KHzという、結構なハイレゾ品質の5チャンネル収録もされています。さて、これをAuro3D化[:image5:]したら、Atmos[:image6:]とどっちが音がいいか?
ちなみに、Atmosは、48kHz / 24bit 収録、Auro3Dは96kHz / 24bit という規格なので、24bit/192KHzの5.1chをAuro3DにEmulateしても、スペック上はAtmosを上回るはず。ただし、相手はNative soft、こっちはEmulation。出力スピーカーの違いで見れば、トップミドルLR(Atmos)vs センターハイト+トップスピーカー(Auro3D)による13ch頂上決戦!
注目の「主観的」結果発表!
これは脳内に「Atmos=映画音楽」という刷り込みがなされているせいかもしれませんが、どうも、Atmosの方は映画音楽か環境音楽みたいに聴こえてしまいます。つまり、音が広がって、楽器が全体的に後ろに下がって、BGMみたいな感じ。一方のAuro3Dの方がちゃんとコンサート会場で聴いているような、前中心の音作りです。実際にサラウンドバックとか、トップミドルなどのSPに耳を近づけて聴くと、Atmosの方があきらかに大きな音が出ています。Auro3Dは前側にある、1層2層の合わて6本のSPを中心に音が出ています(ちなみにAtmosは前は5本しか鳴りません)。
音質については、正直申し上げて私の駄耳でははっきりとした優劣はわかりませんでした(オリジナル録音自体が70年代と古いこともあるかと思います)。
次で今回最後のネタです。以下の写真は有名なウィーンフィルのニューイヤーズコンサートのブルーレイビデオです。このソフト、パッケージの裏面にある録音情報のクレジットには、1. LPCM/Stereo (48KHz/24bit), 2. DTS HD Master Audio/5.0ch (48KHz/24bit)と書いてあり、ソフトを再生する際にもこの二つのどちらかを選択するように聞いてきます。[:image1:]
しかーし、これらのソフトは、知る人ぞ知る、「Auro3D隠れソフト」なんです。8805の設定で、普通にDirectモードで再生すると、下記の写真のように、入出力とも「正しく」5chと表示されます。[:image7:]ところが、手動で8805の出力設定を「Auro3D」に変えると、なんと、入力の表示が「Auro-3D/DTS-HD MSTR」と変わり、入力チャンネルにFHR/LとSHR/Lの4チャンネルが追加されるのです。[:image8:]これは何らかの誤表示とかではなく、カラヤンの5.1をAuro3D化した時の写真と比較すれば一目瞭然ですが、5.1chソフトをAuro3DにEmulationしさえすれば、何でもかんでも入力側の表示がこのように変わるわけではありません。つまり、明らかにこのソフトには、Auro3D信号が「隠されて」9ch録音されているのです。
私はこれを雑誌の記事で知ったのですが、面白いので他のDTS HD Master Audio/5.0ch (48KHz/24bit)表示のあるソフトをいくつかAuro3Dで再生してみたのですが、今のところ、「隠れAuro3D」はこれしか見つかっていません。これからも「宝探し」を続けて見つかったらまたご報告しますね(笑)。
以上、なんらかのご参考になれば。
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