2020 HiVi グランプリBronze受賞のAVプリISP MK2 24を試聴してきました

日記・雑記
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一般にはマイナーですが、このコミュニティの方であればかなりの方がご存じであろう、フランスStorm Audioの最新AVプリアンプ、ISP MK2を、このほど、AVAC横浜店(渡辺さん)にて試聴してきました。

この製品、昨年9月に日本で発売されるも、元々、販促用のデモ機が国内に2台しかないうえに、コロナ状況下でどこのAVショップも、いわゆる大々的な「試聴会」という客寄せを自粛しているため、「2020 HiVi グランプリBronze受賞」という割には、まだ一度も見たことも聴いたこともない方がほとんどではないでしょうか(私の知る限り、「X1おやじ」さんは自宅試聴されたようです。また「しょうへい」さんはMK1をお持ちです)。

先ほど、このサイトの「製品レビュー」機能を使おうと思ったら、この製品(メーカーも)がまだ登録されていないほどです(笑)。

ゆえに、カタログ情報は上記サイトに任せ、ここでは輸入代理店のNaspecの営業担当の方(Mさん)にいろいろ伺ったことと、小生の駄耳による感想を少しご報告したいと思います。

まずはカタログに書いていない(または読んでもはっきりとわからない)ハード面の使いこなし関連情報から。
[:image1:]

1. この写真は、Mさんから頂いたカタログに記載されていたSpeaker Configurationです。HPには記載が無いので、参考資料として添付しました。ご存知の通り、このメーカーはAuro3D直系なので、3層構造の概念図となっています。私の手書き数字は各層でハンドリング可能な最大スピーカー数です。
2. この3層の最大スピーカー数を合計すると25となりますが、これらをすべて同時に鳴らすことはできません。HPにもあるように、最大チャンネルデコード数は、「13.1.10」と記載されています。これは、Base Layer(1F)に設置可能な最大スピーカー数(1チャンネル=1スピーカーの場合)が13台、Height Layer(2F)とTop Layer(3F)として設置可能な最大スピーカー数が合計10台という意味です。
3. 「13.1.10」というのは現行の家庭用Dolby Atmosの最大定義数で、Atmosであれば、フロアに置いた13台と、前から後ろまで片サイド5台、両サイドで10台の頭上スピーカーを同時に鳴らすことができます。
4. ただし、Auro3Dを再生する際は、フォーマット上の上限であるBase Layer7台、Height Layer5台、Top Layer1台の計13台までしか同時には鳴らせません。
5. ではなぜ、このAVプリには最大32chの設定があるのか。ハンドリングの上限チャンネル数は24chなのに。実は、ここからが私の8805との決定的な機能上の違いなのですが、このAVプリは複数のスピーカーユニット(サブウーファー含む)を、「一つのまとまり」として管理する機能があるそうです。
6. 具体的には、複数台のサブウーファー(最大数はわかりませんが、設定画面を見せていただいたときに6台ぐらいまでは大丈夫そうでした)を6つのXLR出力で接続しても、それらを相互に干渉しないよう調整し、他のスピーカーのウーファーとも合わせて「一体的に」運用することができるようです(8805は2台まで)。
7. さらに、例えば拙宅のようにセンタースピーカーを3台つないでいる場合、「センタースピーカーの設定」の画面で「スピーカー数」を「3」と入力すれば、その3台のスピーカーに同一の音情報を出力するだけでなく、その位置や特性を測定したうえで、「1台であるかのように」調整するそうです。
8. 極めつけは、チャンネルディバイダ―としても使えることです(これはTrinnovなども同様の機能があるようですが)。設定画面で、例えば、フロントLのところで、「マルチウェイ」という設定があり、ここに「2」とか「4」とかユニット数を入れて、クロスオーバー周波数などを指定すると、それぞれ2Way, 4Wayのチャンネルディバイダ―として機能させることができるようです。
9. すごいと思ったのは、上記7,8の機能が、フロントやセンタースピーカー限定ではなく、全スピーカーで設定可能となっている点です。つまり説明を受けた私の理解が正しければ、その気になれば4wayのマルチスピーカーシステムを8台設置して、それらをマルチチャンネルオーディオとして一体的に制御可能ということになります!

他にも細かいことをいろいろ伺ったのですが、取り急ぎこのAVプリで一番重要と思われるところのみ記述しました。

次にソフト面ですが、最も驚いた話は、Dirac Liveによるキャリブレーションによる位相を補正する技術です。位相に関しては、拙宅のSonetto VIIIではかなり勉強させられました(汗)ので最も気になるところなのですが、私の8805のAudysseyなど恐らく日本のメーカーのAVアンプについている位相チェックの仕組みは、特定の周波数を発出して、その各スピーカーからの反応をマイクで拾って判断していると思うのですが、Dirac Liveは全周波数帯域(20-20000?)でチェックするそうです。具体的には、超低音からリニアに周波数を上げていって超高音までスピーカー1台1台で再生させ、どの周波数帯域が他のスピーカーと位相がずれているのかを判断し、修正するのだそうです。つまり、私のSonetto VIIIだと、270Hzから上が逆相になっているのですが、Dirac Liveはそれを検知し、270Hzから上の周波数帯域のSonetto VIIIへの信号の位相を反転させて出力するよう調整するらしいのです。これだと、聞くところによると某ハイエンドスピーカーの一部に、スコーカーだけ逆相接続されているものもあるそうですが、この場合、例えばスコーカーの受け持っている周波数帯域が300Hzから3000Hzだとすると(=クロスオーバーが設定されている)、Dirac Liveはそれを検知し、このスピーカーのこの周波数帯域だけ位相を逆転させて出力することもできるのではないでしょうか。

ただし、Mさんによると、「これによって、そのスピーカー本来の音が変わる可能性はある」とのことでした。それが嫌な場合は、このアンプはスピーカー一台一台ごとに、補正をOn/Offすることができるそうで、これも驚きの機能だと思いました(普通は、All or Nothingですよね?)。

最後に、「音」についてです。AVAC横浜店で試聴させていただいたシステムは

> > 今回は7.2.4.6chの19ch、ISOtekの電源付で構成しました。
> > フロントは804D3、センターはHTM72S2、ブリッジ接続しています。
> > 後は店舗のシステムでリアは805D3、ハイトにAP1.2、後は埋め込みのスピーカーで構成しております。
> > また、サブウーファーはTD520SWにMonitor audioのPLW215-2EBの構成です

というものですが、まず、はっきり言って、拙宅の8805-Sonusと比較することは同じソースを使っても無意味だということにすぐに気が付きました。スピーカーの違い(配置も異なる)やパワーアンプの違いもさることながら、部屋の形(6面の壁が平行VS平行の壁がない)や素材(コンクリート+カーペットVS木造)が全然違うからです。結局、8805をISP MK2に入れ替えたらどう音が変わるかは、AVACの渡辺さんにお願いして、フロントLRの2chのみつなぎ変えていただき、横浜店の環境内で比較試聴しました。ちなみに、両者ともルーム補正をかけた状態のフロントLRでした。

時間の関係で聴いたソフトは、小澤征爾・水戸管弦楽団のモーツァルト交響曲40番の第二楽章だけです。

まずすぐに気が付くのは低音の違いで、8805の方が、よく言えば「ふくよか」、悪く言えば「重層・混濁」感があるのに対し、MK2は「Solid」で、「すっきり、分離感のある」低域です。これは人によって好みが分かれるような気がしました。

次に気が付くのは、定位感です。この楽章は、途中でフルートとかオーボエなど様々な管楽器が入れ代わり立ち代わりリードを取る部分があるのですが、MK2は8805よりはっきりと、「どこにフルートがあるか、どこにオーボエがあるか」がわかるのです。

つまりB&Wの良さをより引き出しているのはMK2の方でした。しかし、私の好きなSonusの音はモニター系の音とは正反対の方向性なので、相性的にはどうなのでしょうか。最終的には自宅の8805をMK2に入れ替えて聴いてみなければわからないのは明らかなのですが、そこまでお願いしておいて「やっぱ買わない」という度胸はない(笑)ので、悩ましいところです。

最後に、昨秋からの予約であったとはいえ、こういう状況の中で完全な配慮をしつつ、試聴をさせていただいた、AVAC横浜店の渡辺さんと、NaspecのMさんに、この場をお借りしてお礼を申し上げます。

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