2月2日、東京辰巳にあるWOWOW本社で開催された、イマーシブ・オーディオに関するセミナーに参加してまいりました。
講師は、WOWOWエクゼクティブ・クリエイターの入交英雄(いりまじりひでお)氏、司会はオーディオ&ビジュアル評論家の麻倉怜士氏、参加者にはプロのインストーラーの方もいるという、本格的なものでした。
セミナーは、1部:イマーシブ・オーディオを理解するための講義、2部:イマーシブオーディオ音源の実演、3部:Q&Aと3部構成となっておりました。2月3日にも同内容が開催されております。
講義は、
1)オーディオ再生のための基礎知識
2)オーディオ再生のための聴覚心理
3)イマーシブオーディオのスピーカー配置
という内容でした。
2)ではハース効果(先行音効果)について分かりやすい解説がありました。スッキリ理解できました。
・同じ音が同じ音量で別方向からリスナーに到来した場合、それらの音のリスナーに届く時間差が40ミリ秒以内であれば、先に到達した方向に(偏って)音源があると認識する現象。
・40ミリ秒以上に時間差があると別々の音として認識する。
それから、両耳間レベル差(IDL)と両耳時間差(IDT)についても詳しい説明があり、勉強になりました。
3)が、実際には一番役立つ情報ですが、以下のような内容が紹介されました。
※制作スタジオの設計指針
①スピーカーからスイートスポットの距離を同一にする。
②基本的にはスピーカーのディレイ補正はしない。
それらの理由は、スイートスポット以外での音作り確認を行うため。
③AURO-3D配置でもATOMOS配置でも破綻しない音作りを行う。
現在主流がヘッドフォン受聴なので、スピーカー聴取用の調整が十分に為されていない。
※リスニングルーム
①スイートスポットを決める。左右は対象が望ましい。
②スピーカーのディレイ補正は最小限。特に左右に差があるのは×。
③ハイスピーカーの仰角は25~30°が良い。45°ではファントム定位が喪失する。
④天井が低い場合、トップスピーカーはデフューズ(注)がベター。 (注)複数個のスピーカーを用いてトップチャンネル成分を再生すること。
⑤左右とセンターのスピーカーが定位置であれば他のサラウンド用のスピーカーの位置は規定どうり置けなくてもあまり気にしない。
⑥自動調整(多分Audysseyなどを指している)はxなことが多い。レベルのみ自分の耳でマニュアル調整するのが吉。
これらを総合的に考えると、AURO13.1の設置方法を基準にATOMOS聴取や製作をした方が合理的である。
ということでした。
われわれの部屋におけるスピーカーセッティングについて、
「Atmos音源とAuro-3D音源の両方を同一スピーカー配置で聴くということでしたら、Auro-3Dのスピーカー配置、すなわちハイトスピーカーは天井ではなく壁に30°の仰角以下になるよう、かつフロントスピーカーとサラウンドスピーカーの位置のなるべく真上に設置するのが良い。」
ということと理解いたしました。
第2部では、マスター、22.2ch、Dolby Atmos(天井スピーカー又はAuro-3D用の低めのスピーカー)、Auro-3D等のフォーマットについて様々な音源を用いての比較試聴が行われました。本日のハイライト!
donguri の感想としては、
① WOWOWのプロレベルの機器と大きなスタジオで聴く音質と音場を確認することが出来きました(donguri初体験)。音のリアリティとしては現状のdonguriの部屋でもそこそこ行けるかと思いますが、音場の表現についてどこまでこれに近づけられるかが今後の課題だと感じた次第。そもそも無理かもしれないが、、、
② Dolby Atmosでも天井スピーカー(仰角45°以上)を鳴らすときより、Auro-3Dの位置(仰角30°ほど)の方が自然な音の広がりと感じた。ただ、これは嗜好の範囲であるかもしれない。
③ やっぱりマスター音源が一番リアリティ・迫力を感じる。
④ ステレオ再生とイマーシブ再生の比較では、スタジオがデッドなこともありステレオ再生の音がさみしく感じられる。
となりました。
2月3日には、プロの評論家、オーディオショップ、インストーラーの方々もさらに多く参加されたようですので、この日記での内容以外にも様々な内容が様々な方面で紹介されることと思います。イマーシブオーディオに興味のある方々にとって有益な情報が広がることを期待しております。
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Donguriさん
スゴイ「講義ノート」だなあ(笑)。私も二日目の司会をしながらメモを取っていましたが、ここまでの理解に及んでいませんでした・・・汗。Cmiyajiさんに二日目の様子は録画していただいたので、あとでこの「ノート」を横にして復習しよっと(笑)。
初日は私は出ることができませんでしたが、両方参加された方のお話では二日目と少し内容(雰囲気?=笑)が違っていたようです。ご指摘の通り、オーディオ業界(SONY=Donguriさんのここでの「案内」を見て参加されたそうです!、Fostex)、オーディオショップ(営業マン、インストーラー)、音楽業界関係者(バイオリニスト、新国立劇場)、オーディオマスコミ業界関係者(音元出版、オーディオ評論家=山之内先生・土方先生)が参加された質疑応答およびその後の懇親会での議論は非常にDeepで、「さすが」と思わせる各分野のプロのコメントが聞けてプレゼン内容を企画した側の私でも気づきが得られるものがあり、改めて相当勉強になりました。
Donguriさんも誘導のお仕事をお手伝いいただき、感謝です。次回はグランドスラムさんとSiltechさんが中心になって関連イベントを企画・運営してくれると思いますので、期待して待ちましょう!!!