絶縁トランス使用時の感電対策について

日記・雑記
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絶縁トランス(NCT含む)利用時の感電対策についてまとめましたので、参考にしてください。

なお、本内容は素人による電気工事を推奨するものではありません。

特に、新たに漏電ブレーカーやアースを設置する場合には、電気工事士の資格を持った者に依頼してください。

先ず、AC100Vや200Vの電源配線(ここでは電路とします)で、何故感電するのでしょうか。

それは、電路の一端を柱上トランスのところで接地(B種接地)しているため、接地されていない側の電極に触れると地面経由で電気的なループができて人体に電流が流れるからです。

それでは、感電の原因になるのに、電路の一端を何故接地しているのでしょうか。

それは、送電の高圧6kVを低圧200Vや100Vに降圧している柱上トランスが絶縁不良を起こしたり、送電線が雷を受けたときに、危険な高圧がそのまま低圧側に侵入しないように大地に電流を流して接地点の電圧上昇を低減するためです。

逆に考えると、B種接地された中性線(N極)は、柱上トランスの絶縁不良や送電線の被雷等で電圧が上昇したり、同じ柱上トランスを共有する家庭等からのノイズが混入する可能性もあるので電気機器の筐体アースとして利用するのは不適切です。

前置きが長くなりましたが、絶縁トランス(NCT含む)を導入する目的の一つに、上記のB種接地を絶縁して切り離し漏電や感電を防止することが挙げられます。

この様子を示したものが図①で、このような使い方をしてB種接地を絶縁すれば、故障して絶縁不良を起こしている電気機器の筐体に触れても感電は発生しません。
(カラスが電線に停まっても感電しないのと同様です。)

ところが、絶縁トランス二次側の感電対策をしようとして漏電ブレーカを導入すると、漏電ブレーカは漏電電流を地面経由で流すための接地が必須になります。

図②に示すように絶縁トランスの二次側を接地することで、漏電のループ(赤色)が形成されて人は感電してしまいます。

もちろん、一般的な家庭用漏電ブレーカの例では漏電電流が30mA以上なら0.1秒程度で電流は遮断されますが、この間は人が感電していることになるので注意が必要です。

次に、絶縁トランスの二次側を接地していなくても人が感電する例を、図③に示します。

これはレアケースになりますが、絶縁トランス二次側に電気機器を2台以上接続していて、2台が別の極で絶縁不良を起こしているときに、人が両方の機器に触った場合に感電します。

これを防止するには、図④のように絶縁トランス二次側に接続した全ての電気機器の筐体を接地(D種接地)します。

電気機器の筐体を接地する場合、すでに壁コンセント等にアース端子(D種接地)が用意してあれば新たな工事は不要で、これを利用することができます。

さらに電気機器がショート状態になったとき、絶縁トランスや電気機器の発熱や焼損を防止するため、ヒューズを挿入する方法もあります。

最後になりますが、絶縁トランスの感電対策はこれらのことを考慮したうえで、慎重に決める必要があります。(①②④のどの対策が良いかは、ケースバイケースということです。)

繰り返しになりますが、漏電ブレーカやアース(接地)の設置工事は電気工事士の資格を持った者に任せましょう。

*図が手書きのため見難くてすみません。
 時間が取れたら、PowerPointで作成して入替えます。

—– 参考 ———

「電気設備技術基準・解釈の解説(日本電気技術者協会)」より抜粋 

 〔電路絶縁の原則〕
   電路は、大地から絶縁しなければならない。ただし、構造上やむを
   得ない場合であって通常予見される使用形態を考慮し危険のおそれ
   がない場合、又は混触による高電圧の侵入等の異常が発生した際の
   危険を回避するための接地その他の保安上必要な措置を講ずる場合
   はこの限りでない。

  ・大地から絶縁しなくても良い場合
   保安上の必要から電路の一部を接地した場合の接地点
    低圧電路に接地工事を施す場合の接地点
     B種接地工事による接地点

  ・B種接地の規定
   電気設備の必要な箇所には、異常時の電圧上昇、高電圧の侵入等に
   よる感電、火災その他人体に危害を及ぼし、又は物件に損傷のおそれ
   がないよう、接地その他の措置を講じなければならない。

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