前回の日記で、ツイーターの後方にある高音用振動板の取付け部から振動を逃がす構造までを記載しました。この日記ではツイーターで試した結果はどうであったのか。また、中域をカバーするスコーカ―にも応用が可能なのかを書いてゆきます。
ツイーター後方の振動板を引っ張り取り付けてある部分(アルミ製)の上部に振動伝達用のステンレスボールをエプトシーラーで転がらないようにし、上部から金属製の振動板を被せる方式です。ツィーター振動板の取付け部に伝わる振動を、振動吸収用の振動板の動き(運動エネルギーに変換)とエプトシーラーの変形(熱エネルギーに変換)から逃がす(吸収する)アーシングの手法です。
試した結果は、音像定位がピタリと決まりぶれない効果です。これにより、音像の明瞭さも増すと感じます。使用する金属の種類や板厚に係わらず、この効果は程度の差こそあれ同様なものでした。違いは音色の傾向に出ました。
1、アルミ板 板厚0.5mm
⇒音色は明るい。半紙設定で落ち着くが、定位はややぶれる。
2、アルミ板 板厚1mm
⇒音色はやや明るい。音色は半紙設定でオリジナルに近くなる。定位はぶれない。
3、銅板 板厚1mm(写真中央)
⇒音色は落ちつく傾向。半紙なしで高域の伸びがある。定位はぶれない。
定位のぶれのなさは、下記のDiscが効果がわかり易かったです。
このDiscは歌声の定位がぶれやすく、左右に動いてしまったり、右を向いたり左を向いたりしながら歌っているように感じたりします。実際に自宅でも、そのような変遷を辿っています。最近では、左右の動きや歌う向きのぶれはなくなっていましたが、歌声の響きが上下に動くと感じていました。これがピタリと定まる感覚になります。ぶれがなくなると、これまでに増して歌声に芯が出て音像の明瞭さが増すので、音量を下げても力強さを感じます。
これは声楽やオペラのレッスンで言われることと同じです。
「体を動かさずに直立不動で歌うのが、一番聴く人に訴えるのです。」
「声を額の中心に出来るだけ小さく集めて、歌声に芯を持たせなさい。」
生演奏もオーディオも同じだと思いました。歌声は動かずに芯がまとまる方が、聴くものへ訴えかける力が強いと感じます。これが、ツイーターの不要振動を逃がす効果だと思います。この音像定位がピタリと定まりぶれない効果は、オーケストラの楽器群などでも同様な効果がありました。音像が定まり音に芯があるので、実在感が増します。
ツイーターと同様な取り組みの結果、スコーカ―も同じ方法で不要振動を逃がすことが可能と判断しました。
音像のぶれのなさはツイーターだけでも効果が出ましたが、スコーカ―までやることによって音の力強さが増す感覚です。音がより明瞭になると言った方がわかり易いかもしれません。断面図で書くと親亀と子亀みたいですね。
たったこれだけのことでしたが、音楽性が上がったと感じました。聴く音楽、聴く音楽が楽しくて、次々と手持ちのDiscを聴きたくなる感覚です。市販品の、しかもB&Wのスピーカーがこんなに容易にポテンシャルアップすることが自分でも信じられない気分です。このスピーカー・アーシング・システムは容易に脱着可能ですし、馴染み取りの時間もかかりません。ですので、この先のオーディオ・オフ会の中でアーシングの有無による効果や材質の違いによるサウンド変化などを感じてもらい、率直な感想をもらおうと思います。
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興味深い内容ですね。
私もB&Wを使っていますが、こんなにノーチラスチューブが後ろに延びていないんですね。真似することはできませんが、参考にさせていただきます。
やはりメーカー品は量産品であるため、工夫の余地が結構あるように思っています。例えばコンポーネントの足などは工夫の余地があるように思います。
スピーカーを作るのは職人系の人たちだと思いますが、組み立て工程のやりやすさなどや、メインテナンス上の問題での構造の簡素化など、音だけではない要素で構造が決まることも多々あるのではないでしょうか。
そこにマニアのつけ込むすきがあるやに思いました。
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うつみくん、初めまして。
凝りに凝ったB&Wのスピーカーが、不要振動を逃がすという簡単な工夫でこれほどのポテンシャルアップを果たすとは想像していませんでした。自分でもびっくりで耳を疑います。
量産品は様々な制約条件の中で作られているので、手工業的な面では手を入れる余地がありますね。逆に、ガレージメーカーでは、このような手工業的な部分に手を入れられる点が売りになりそうです。
一流メーカーの量産性や研究開発でしか出来ないこと、ガレージメーカーの手工業的な製品づくりでしか出来ないこと、更にマニアのきめ細かな取り組みでしか出来ないことなど、いろいろあって楽しいです。
ご参考になりましたら嬉しいです。
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なるほど〜
芯が出る感じですか!
このゾーンでは経験がないので次回の箱根越えの楽しみが増えましたね〜
色々と聴かせて下さいね!
ところで…
イラストは亀ならぬ、可愛い親子の「肉球!」に見えているのはバズケロだけでしょうか?!
思わず握手したくなります(笑)
素材の音色がかなり大きく影響しそうな感覚ですが、加工が大変なので色々と試すのも大変ですね〜
どうして、メカニカルアースってこんなに夢中になれちゃうのかなあ..
いつまでも夢の中の住人で楽しめれば幸せだな〜(^^)
では、では
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バズケロさん、よくお分かりですね~
本当に金属加工が大変でした。まずは設計どおりの大きさにカットすることから始めたのですが、金ノコで切るとギダギダになったのでカッターで何度も何度も切り跡をつけてカットしました。手先が器用ではないし、気も長くないのでイライラしながらのカッティング作業でした(笑)
こんな感じでしたので、硬い金属(ステンレスと真鍮)はパスして別のお試しもやったんですよ。
ですが苦労の甲斐があって、定位がぶれないご利益をいただきました。この特性はこれまで、スピーカーセッティングと室内音響によるものと思っていたので、自分の事ながら目から鱗の感覚でした。
イラストは肉球に見えますか。。。こちらも親子ですかね。
本当にメカニカルアースは楽しいですね。こんなもので…..と思うような効果が飛び出しますのでやめられません。夢中になりすぎて、目が覚めたら夢だったと言うことがないことを祈ります。もし夢でなかったなら、次の箱根越えの時に有り無しや素材別の変化をお聴き下さいませ。
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一連のメカニカルアース対策もいよいよ大団円でしょうか?
先日は大和市にある事業所に行った帰りに小田急江ノ島線とJR乗り換えで近くを通りましたが、平日なのでそのまま帰阪しました。
今度機会があれば聴かせてください。
今回のはノーチラスシリーズならではの対策法ですね〜。
拙宅のようなDDDユニットには無理のようですが、ロードホーン構造のキャビネットにはホーン内部に3本の魂柱が取り付けてあり、これでキャビネットの振動を制御しているようです。
ユニコーンへの応用は難しそうですね!?
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椀方さん、コメントありがとうございます。
一連のメカニカルアース対策は一旦落ち着かせて、その効果を確認していただくステージに入ります。ですが、次のステップの材料はすでに入手してありまして、聴き込みや感想をいただく中で再考し、更なるレベルアップを図ろうと考えているところです。ベルウッドさんお勧めのαゲルも10K以上買ってしまいましたし、意地でも成果に繋げなければなりません(笑)
このお試しは楽しくて、当分止められそうにありません。お近くに来られた際には、是非お立ち寄りいただき聴いてみてください。
ユニコーンへの応用ですが、音を発しているスピーカーは空気の圧力変化を振動板の動きで作っています。ですから、必ず運動エネルギーを発生させると共に、反力が生まれます。なので、どんなスピーカーにでも振動のアーシングは効果があるものです。
ユニコーンの場合は、DDDユニットの振動板が重くないこと、360度放射であることから、振動板が動くことによる悪影響は少なそうですが、バックロードホーンで共鳴させている部分で発生するエネルギーとエンクロジャーの共振が問題だと思います。振動板が薄く軽い分、外部から受けるエネルギーの影響を受けやすく、ここで歪みや位相乱れが生じていると予測できます。
この共鳴や共振のエネルギーをどのように逃がすかがポイントだと思います。簡単には思いつきませんが、熟考すれば必ずよい方法が見つかると思います。難しそうですが、難しいから面白いとも言えますね。
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800d3も、盛大に振動していました。
この対策はいろいろ、楽しめそうです❤️
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X1おやじさん、ですよね。
自分もツイーターとスコーカーのお尻をさわったら、ビリビリ振動していたので、ここでいける!と思いました。
やり方はいろいろあると思いますので、試して情報交換致しましょう。
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