ウェルフロートの改良 –スピーカーの動きと共振の抑制

日記・雑記
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ウェルフロートのデメリットを抑制する方法を考えてみた。オフ会での会話から思い浮かんだので、手持ちの材料で簡単なお試しが出来る方法でやってみた。試してみると大きな効果があったが、もっと良い方法もありそうだと思った。だから改良のアイデアについての思考内容を順序立てて記載しておく。

ウェルフロートのメリットとデメリットや音への効果のメカニズムなどは開発者自身からも説明は受けたが、実際の現象は単純モデルでは表すことが出来ない複雑なメカニズムとなっている。内部振動のエネルギー吸収装置として大きな効果を生むウェルフロートであるが、そのエネルギー吸収メカニズムからウェルフロート使用時のデメリットも浮き彫りとなる。このデメリットを補完するための仮説立てと効果の検証を実施した。

1、スピーカーが発音する仕組みと弊害

・一般的なダイレクトラジエータ型のスピーカーの発音メカニズムは、振動板を前後方向に動かすことにより、空気を圧縮/伸張して音を出す。(運動エネルギーを音エネルギーへの変換)
・この時に質量を持つ振動板が動くこと及び振動板への空気の反力が振動を発生させる。
・この振動はエンクロジャーや床を伝わり、部屋中を振動させて音を濁らせる。またこの振動は振動源のスピーカーに設置の各種振動板にも作用し歪みや付帯音を発生させる。

2、ウェルフロートの防振構造
・このスピーカーの振動板が発生する振動を、スピーカーが載るボード全体の動きに変換して床(固定部)や振動板に戻り伝わる振動を抑制する機能がウェルフロートの防振の狙いである。

・設計上の考え方は振動板が前後に動くエネルギーをボードの微小な前後の動きに変換しようとするものであるが、現実のメカニズムは単純にはいかない。
・振動板の作用点とボードまでの距離差がモーメントを発生させてしまう。この力を受けて、スピーカーは首振り運動を起こしてしまう。

・さらに振動は伝達系の共振や伝播特性から、振動板の前後方向の振動はボードに伝達する時には全方向の振動に成長してしまう。

3、ウェルフロートの動き

・スピーカーを載せたウェルフロートの動きは、前後・左右・前後首振り・左右首振り・上下ボードの回転と5方向に動く構造となっている。
・言い換えると、上下方向のみ殆ど動かないように設計されている。
・そして、この5方向の動きはバネで支えられている。

4、ウェルフロートの弊害
・5方向の動きがバネで支えられているため、発音源のスピーカーが動いてしまうことが第1の問題である。この動きが音を滲ませ、濁らせる。
・更に、5方向の動きがバネで支えられているので全方向に共振点を持ってしまう。これが第2の問題だ。1次、2次、3次・・・共振と考えてゆくと複合の動きも合わせて、ウェルフロート上のスピーカーの動きは数えきれないほどの共振モードを持っているはずだ。この共振が特定の音を膨らませたり、打ち消したりしてしまう。

5、弊害の対策の考え方
1)動いてしまうことに対する対策=バネを固くして動き量を減らす
2)共振点への対策=減衰効果を付加して共振のピークを抑える

6、具体的な対策案
・ウェルフロートの四隅にαゲルを挟み込むことで、ボードが動く時の1)バネを固くする、2)減衰の付加の二つの機能を狙った。特に首振りを抑えるためにウェルフロートの4隅にゲル材を挟み込んだ。

・追加の部材はαゲルでなくとも問題ないが、部品を手持ちしていたことと柔らかい材料なので挟み込むときの圧縮度合いの調整が容易と考えて選んだ。100均ゲルの柔らかいものでも構造的に問題ないはずだ。

・挟み込んだαゲルは20×20×10mm品と10×10×3mm品を組み合わせたもの。
・きつく挟み込みすぎると音の伸びがなくなった。軽くつまんで上下のボードの間に挟み込める程度の厚みと大きさの調整を実施した。
・圧着力調整のため、上部に設置の10×10×3mm品は1個又は2個の取り付けとした。
・ボード後方は前後のバネ固さの調整のために真ん中に1か所追加した。この対策品では、4隅+1か所の計5か所の取り付けとなった。

7、スピーカーの動き方からみた対策効果
・スピーカーが載るボードの5方向の動きは、軽く押したときの動きが抑制され、バネが固くなった効果が確認できた。
・スピーカーを押したときにゆさゆさと揺れる動きの収まり方が早くなったので、減衰効果が付加された確認が出来た。

8、音への効果
・一言でいえば、音の芯が明瞭となり、重心が下がり安定する効果があった。(ヒジヤン)
音の細かいソノリティや音場の空気感が改善した、個別音の質感や色彩感が上がる(ベルウッド)

9、今後に向けて
・今回のお試しではαゲルを挟み込みことで、・バネを固くしスピーカーの動きを抑えること ・減衰を付加することを同時に実施することを狙った。ヒアリング結果から、狙い通りに動きを抑制し滲みを減らし、共振点での音の膨らみや打消しを減らすことが出来たと思う。だがこの構造がベストとは考えていない。手持ちの材料を活用したものである。

・理想はすっと動いて振動を逃がし、すっと止まること。そして、可能な限り共振の影響を避けるために減衰効果の高い材料や構造が望まれる。良い材料や構造が思いついたら再度試してみたい。

・また、ウェルフロートユーザーは簡単なお試しで確認できるので、実施効果の感想や意見などを教えていただけるとありがたい。これからも効果的なエネルギー吸収装置であるウェルフロートの活用について更に研究していきたいと考えている。

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《振動板の作用点とボードまでの距離差がモーメントを発生させてしまう。》

スピーカーが前に行くほど頭が下がる、スピーカーが後ろに行くほど頭があがるという動きを説明されているのだと理解しました。(間違っていたらすみません)

そのように動くためには天板が水平でなくなるようなたわみや前後で不均衡な釣り構造の上下動が必要になります。(おそらく後者でしょう)

一方で、ウェルフロートの釣り構造は短い振り子。水平方向(前後左右)どちらに動いても板全体が持ち上がる力が生じる気がします。

水平方向の移動量が十分に小さい、または振り子の回転半径が十分に大きい場合、振り子による上下動は無視できるほど小さくなりますがどうなんでしょうね。ちょうど別の上下動と打消しあったりしていたら面白いですが。

何れにせよ、上下動の減衰特性が一つのカギになっていると思われます。どんな減衰特性が理想的なんでしょうね。Ge3あたりがそのへんのノウハウを持っていそうですが。

以下蛇足な思考実験。

1) 釣り構造を撤去しαゲルのみで板を支える … ウェルフロ+αゲルより減衰早い?横方向と縦方向のバランスが合わなくなりそう

2) SEISIS-Cの間にαゲル … ウェルフロより上下動しにくく水平動しやすい、球支点はかえって減衰しない?

3) 板+シャフト+板の間にαゲル … 上下も左右も動きにくい、減衰は可能だが不足?

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high speedさん、レスありがとうございます。

ウェルフロート上のスピーカーの動きですが、現物を見ればわかりますよ。自宅ではトールボーイなのでその影響が大きく出ます。スピーカーの頭を持って押すと傾きます。前後方向はそれほどでもないですが、スパンの狭い左右方向は倒れやしまいかと思うほど傾いてしまいます。バネで支えているからでしょうね。

動きの絵は、1次元で考えたときと、2次元で考えたときと、3次元で考えたときの比較です。現実は3次元なので複雑な動きとなっていると想定します。この時に、ウーファーは低音で波長が長いですし、もともと振動板が見えるほどに動きますから殆ど影響はないだろうと想像しますが、一番上部で動き量が多く波長も短いツイーターへの影響が大きいと思われます。

>何れにせよ、上下動の減衰特性が一つのカギになっていると思われます。

この上下動はhigh speedさんが言われているとおりに、振り子が動く時に起こる現象ですから、前後、左右の動きを抑えることで必然的に上下の動きも抑えられるのです。(同じ力を受けたときの前後の動きの抑制が大事ですが、前後だけ硬くすると左右に逃げる動きを持つことが想定できます。)

この動きの抑制効果は、フルコンメカでバネが硬くなったときに音がよくなったと皆さんが言われていることで証明されていると考えています。その他のフルコンメカの変更は、耐荷重を上げるための強度アップだと。

⇒つづく

理想は本文にも書きましたが、
「すっと動いて振動を逃がし、すっと止まること。」
だと考えます。いい材料や構造がないものかと。。。

>蛇足な思考実験
1は、αゲルは柔らかいので、上下方向のたわみと前後左右方向のたわみ量バランスがウェルフローとより悪くなると想定できます。振り子現象が益々強くなるはずです。なのでボツ。

2は、SEISISはよく知らないのですが、通常使用時は水平方向はロックされているのでは?遊びがあって微小に動くのかな?SEISISの多数の球で支える構造だとαゲルの減衰が効きそうです。ですが、多球構造だと転がり抵抗がどの程度になるか疑問です。すっと動きそうにないです。

3は、どんなものか???SEISISの球を円柱にしたものですか?この場合は、SEISISよりも動きにくくなりますね。動きの方向性を規制できる点はよいと思います。

以上、ウェルフロートのデメリットと思われることをクローズアップしましたが、このボードの構造は大変優秀だと思っています。だから、もう10年近くも使い続けているんです。それでも、マイナス面はいろいろありますね。自分はデメリットを可能な限り減らして、更に良くするために育てて行きたいと考えています。

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ヒジヤンさん、こんばんは。

大変御無沙汰しております、おいけです。ってお忘れかも知れませんが・・・
要はウェルフロートボードをぶった切った奴です(°▽°)

さて、少し違うアプローチから意見させて下さい。
先日のベルウッドさんの日記を読ませて頂きました。
その際にαゲルを置く位置の事を書かれていましたが、今回の記事では言及されていませんね。
と言いますのも、ウェルフロートの弱点はボードであると言う点だと考えています。中にはバーチ材でされている方もいらっしゃるようですが、それはボード自体の響きの質を変えてチューニングしたという事ですよね?
αゲルで特に上側の板の鳴きも一緒にダンプした事による効果も今回の効果に現れているのではないか?と私は考えました。
何の変哲も無いMDFの四角いボードですから、場所によって鳴きが大きい箇所が必ずあるはずです。そこにピンポイントで置いてやるとどうでしょう?

ヒジヤンさんも良く知っている方でプレーヤーに直接ウェルフロート機構をマウントされてる方がいらっしゃいます。私もあの方法が1番理想的ではないかと思います。
とは言えスピーカーの足下をくり抜いて取り付けるのは現実的には厳しい物がございます。

他にもバネ定数が4箇所一緒というのも共振周波数の一致となり音の癖として現れるのでは?と思います。

フルコンに変える前に、現状のバネ其の物の上から薄いバネ材を貼り付けるなど方法はいくらかありそうですよ。
私はワイヤーをタングステンなんかに替えたいなぁとずっと考えていますが( ^ω^ )

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ウェルフロートをぶった切ったおいけさん

覚えてますよ。あの時は、すごいことをやる人もいるもんだなぁと思いました。

今回の取り組みで、αゲルを置く位置はボードの4隅です。6の具体的な対策案で図入りで記載しています。その理由はトールボーイ型のスピーカーの首振り現象を出来るだけ抑えたかったので、最大スパンが取れる位置としました。

そして、ボード上面の板のダンプはスピーカーの下面の見えないところで実施しています。それでも、fo.Qを載せることで効果がありましたから、鳴き対策もまだ不十分だったのでしょうね。

ご提案のウェルフロート機構を一つずつ使用する案ですが、賛成しかねます。なぜならば、ウェルフロートのバネが独立して動いてしまうために、トールボーイの首ふりが非常に大きくなってしまうからです。high speedさんの書き込みにもあるように、構造体として一体として動かした方が互いが規制し合うので水平を保ちやすくなります。でこぼこな路面を走るような自動車では、4輪独立懸架が効果的ですが、スピーカーからの振動を受けてのエネルギー吸収装置としては、一体構造として水平を保つ方が大事かと考えます。その意味から、4箇所のバネ定数を変えるのは、水平を保つ上で不利になりますのでいかがなものかと思いました。

もう一つ、ワイヤーをタングステンに替える案ですが、ワイヤー部分の振動の伝播速度は上がりますが、伝達系トータルで考えると、その他のメカ部や特にボードの部分の伝播速度が遅いため、それほど効果が出るとは思えないです。何か考えがあるようでしたら教えて下さい。

⇒つづく

フルコンメカは、本文5の弊害の対策の考え方に対して、1)動いてしまうことに対する対策=バネを固くして動き量を減らすことへの効果と捉えます。

一方でαゲル挟みは、どのくらい減衰に効くかはわかっていませんが、、1)動いてしまうことに対する対策=バネを固くして動き量を減らす効果と、2)共振点への対策=減衰効果を付加して共振のピークを抑える効果の両方が期待できるので、個人的には得策かな~なんて考えています。

また、今使っているウェルフロートに足すだけで済みますから、経済的で労力も要りません。

それでも、フルコンメカ+αゲルなら更に良いとは思います。バネを硬くする効果と減衰を付加する効果は別物ですからね。

でも、ウェルフロートを切ってしまうほどの大業師なおいけさんから見ると、つまらない対策かもしれないですね。また情報交換させてください。

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お返事ありがとうございます。
まず覚えてくれてらっしゃった事嬉しいです(°▽°)

さて、やはり今回の対策の一番の悩みは首振りへの対策なのですね。
私の要約だと振幅を小さくする事で振り幅を小さくしたという事です。
とすれば出来る出来ないは置いといてもしワイヤーが長ければ長いほど上下変動は小さくなります。その上でαゲルなどでダンプしてやれば更に変動は小さくなります。

ウェルフロートをぶった切って分かった事もございます。
仰るように全てがバラバラの動きをするので減衰どころか暴れ出す訳です(>人<;)
私が今回申し上げたのは、天板は不要だと言いたかったのです。
下側のベースは勿論1枚の板で、機器またはスピーカー其の物に機構を埋め込めば間の板の鳴きや滑るなどの苦策が不要となるからです。
言葉足らずをお許しください。

フルコンメカは確かグランドピアノ用の物を転用だったと記憶しております。当たり前ですが、その重量に耐え得るバネ定数のバネを採用しているのは勿論の事ですが、同時にワイヤーも通常品とは比較にならない太さの物が付けられている筈です。
メカニカルアースを実践なさっている方なので説明不要でしょうが、エネルギーは必ず低い所を目指します。
ウェルフロート構造を考えると1番弱い部分はバネと全ての荷重を支えているワイヤーだと私は考えています。
通常のスピーカーの設置でもスパイクの材質やそれを受けるベースで音がコロコロ変わりますし、物によっては歪んだりもします。

続きます

ワイヤーと言えば楽器では弦です。
弦は長さと太さで音階が変わります。という事はその太さや材質で全然違う音になるとは考えられないでしょうか?

最後に共振点ですが、コレはバラせば分かります(・Д・)
機構其の物を爪でピンと弾いてやるとやはり音がします。それが機構が持ちうる共振帯域です。ヒジヤンさんは良い耳をお持ちな方ですからバラさずともお分かりなのかも知れませんね(^-^)

バネだけでなく、下板と機構を支える支柱も果たしてあのステン6角柱が最適解なのか?など、まだまだこの製品に本気で向き合ってる方はいらっしゃらないのでは?と私は思っています。
悪口ばかりのように聞こえるやも知れませんが、私自身がこの機構に未来を感じるからこそもっと改善していけるんじゃないか?と思ってのエールです。
ヒジヤンさんの取組みを否定するものではございません。気を悪くなさらないでくださいね。

長文失礼致しました。

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筋道を整理して図解もあると、わかりやすいですね。

確かに、モーメント振動(首振り)がウェルフロートの特徴で、それが独特のメリットを生んでいる反面、デメリットも生じているということでしょう。

メリットについての私の考え方は、拙日記で述べた通りで制振体(バネ)と拘束体(ボード)の接続を振り子にしたことで接触歪みを解消したことです。

デメリットの方ですが、仰るように、スピーカー全体にモーメントによる新たなモード振動を生じさせてしまっていることだと思います。

普段、スピーカーのセッティングでとても気を使っているのは、両スピーカーの高さを厳密に合わせることと、水平を取ることです。この基礎合わせが、意外に大きく音に影響するからです。そのことは、以前に、そねさん宅を訪問した時の体験をレポートしたことがあります。

モーメント振動は見た目ではわからないほどの微少なものですが、振動であるだけに、基礎が合っていないと起こるような聴感上の影響を生じさせているということだと思います。ひと言で言えば、焦点が合わずボケるということです。これは波長の長い中低域側ほど大きいのだと思います。

フルコンメカへの改造は基本的にこのモーメント振動を抑制しています。それによって音質向上が得られたということです。そのことを今回のヒジヤンメソッドで検証できたということだと理解しています。

メーカーのHPなどでの説明では、スピーカーを吊るという方式からの類推でウェルフロートの原理を説明していますが、いかにも振り子(吊り構造)が、制振(振動吸収)の主体かのような錯覚を生んでしまいます。これは間違いで制振の主体はあくまでもバネ(弾性体)にあります。接点歪み解消という振り子のメリットは、振り幅を小さくしても消えないので、振り子の可能な限り極小にする方がよいのです。振り子の周期は、軸長さの平方根に比例しますが、等時性が強大で数㎝の長さでも可聴帯域外の周波数なので共振は全く問題にならず、むしろ、吊りワイヤーの剛性などの材質の方が影響ははるかに大きいはずです。

フルコンメカは、きっかけは何であれ、そういうことにメーカー自身が気がついたということだと思います。

ヒジヤンさんの感じたことと、私の感覚は、言い方の違いだけで一致します。

>音の芯が明瞭となり、重心が下がり安定する効果があった。(ヒジヤン)

これとよく一致するのは、こちらのほうです。

>地球の引力場を感じるかのように静けさが落ちてきて、音がすっとまっすぐに立ち上がる(ベルウッド)

オフ会の現場やコンサート評でもそうですが、一緒に聴いた同志で感想が一致するとうれしいものです。自分が言う前に言われても、ウンウンとうなずくし、他の方の感想にうまいこと言うなぁとうれしくなるときもあります。

ちょっと、そのことが言いたくて追レスしてしまいました。

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おいけさん

言われていることを理解しました。
どちらかと言うとウェルフロートを構成する部材や取り付け方に対しての問題意識を持っているんですね。自分の日記は、ウェルフロートとスピーカーが一体になった時の動きと全体の共振についての問題意識の内容なのでかみ合わなかったようです。

両者の視点で共通する内容で言うと、ウェルフロートメカ部の取り付け方ですが、ダイレクトラジエータ式のスピーカーで言えば、前後力を受けた時に水平を保ちやすい天板一体式がよいと考えます。あるいはスピーカー下面に直接ウェルフロートメカを取り付けてしまうかですが、諸々考えてウェルフロートの天板対策をする方が容易で合理的かなと思いました。

天板の小さなウェルフロートリングを数個使って、この上に設置することも考えられますが、振り子現象が起きやすいのでよろしくないかと。

アナログプレーヤーだと、回転系の入力であることから、しっかりしたキャビネットに取り付ける前提では、ウェルフロートメカの直接取り付けはよさそうですね。

同じ回転系のCDPは、ピックアップ部分の揺動に特に敏感なのでウェルフロートメカの直接取り付けはよさそうだと思います。取り付け方が問題ですが。。。ただ、動かすことで吸収することが前提のウェルフロートがCDPにベストマッチかは不明です。

AMPやテーブルタップの類は。。。どちらでもいいかなという感じです。

もう一つワイヤーの長さの件ですが、確かに長くすれば固定位置が不動の前提では、同じ揺動量なら上下の動きはより微少になりますね。ただ、傾いてしまうのはバネのたわみの影響と考えますので、バネを硬くしないと良化出来ません。

>ヒジヤンさんの取組みを否定するものではございません。気を悪くなさらないでくださいね。
まったく気にしていません。それより、考えるきっかけを作ってくれたことがありがたいです。

別欄にウェルフロートを構成する部材について頭の中で考えたことを書き込んでみますね。現物を見ていませんので、間違いなどありましたらご指摘ください。

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「ウェルフロートを構成する部材について頭の中で考えたこと」

1、天板の鳴きや滑りの件は、周知の事実ですし対策品も販売されているので割愛します。

2、次にワイヤーですが、この部材は引っ張りを受ける部材ですね。ですので、一見細く弱そうに見えても強度は強い部品ですし、ここが壊れた話は聞きませんので機能的には現状で問題ないはずです。残る音への影響ですが、共振周波数が問題です。ですが、細く短く高い張力で使用しますので、共振周波数は可聴帯域外にあるかもと思いました。
(揚げ足を取るわけではありませんが、楽器の話は張力の要素が抜けています)

3、メカ部と下板についてはよくわかりませんが、最近行ったfo.Qでの音調整の結果から推定は出来ます。
・スピーカーの台座平面部、WF天板、WF下板についてfo.Qの効果を確認した。
・効果はスピーカーユニットに近い部分が高かった
 SP台座>WF天板>WF下板
・音のチューニングの結果、下記のfo.Q配置が好ましかった。
 SP台座部にA5板 2mm品設置 WF天板にA7板 2mm品設置 WF下板への採用はなし
・どこに置いても音は変わりましたが、SP台座上面が一番効果的で音質的にも有効でした。
・WF上面は聴感調整で、A5板⇒A6板⇒A7板と徐々に小さくなりました。
・WF下面は音は変わるものの音質的に有効とは思えませんでした。
以上から言えることですが、メカ部と下板等の伝達系における音質への影響は2の推定も合わせて、それほど大きくないであろうと思いました。

ですが、元々の設計思想がウーファーの運動エネルギーをスピーカーが動く全体の運動エネルギーに変換する考え方で作られた機構ですので、伝達系における振動影響についてはあまり配慮されていないだろうと推定できます。特に気になるのは、上下方向から垂直に荷重をかけた場合は、バネで受けるリジット構造になりますから問題ありますね。

おいけさんが、「まだまだこの製品に本気で向き合ってる方はいらっしゃらないのでは?」と言われているのはこの点かと思いました。研究成果を期待しています。

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ベルウッドさん、レスありがとうございます。

メカニズム理解も聴感効果も概ね同じということで安心しました。お互いに長年ウェルフロートを使うユーザーですし、このエネルギー置換装置を良きものとして認めている仲間です。

その上で、私の理解が及ばないこと、相違点について書き込んでみます。

1)理解が及ばないこと
>メリットについての私の考え方は、拙日記で述べた通りで制振体(バネ)と拘束体(ボード)の接続を振り子にしたことで接触歪みを解消したことです。

この記述は何を言われているのか理解に及びませんでした。出来ましたら、別日記で図入り(?)で解説願えるとありがたいです。

2)相違点
>モーメント振動は見た目ではわからないほどの微少なものですが、・・・これは波長の長い中低域側ほど大きいのだと思います。

ここは自分の考えと違います。スピーカーが首振りをするときに影響が大きいのは、高い位置にあり動きが大きく、波長の短いツイーターだと思います。滲みが取れる効果(音の芯が明瞭となる)はこのツイーター部の動きが減ることによると推定しています。

では、なぜ重心が下がり安定するかですが、スピーカー+WFの共振のピークが抑えられる効果だと考えます。この検証における調整Discに50Hz付近の低域がたっぷりと入っているCDも使いましたが、使用前/使用後では明らかに低域の膨らみ方が違います。ウッドベースの音もかなり変わりました。

これは、拙宅のスピーカーの重量が重く、重心が高いためにこの付近に共振周波数があり、αゲルを追加することでの減衰が付加された効果だと推定しています。

どうしても長くなりますね。
くどいようですが、私はウェルフロートの構造から来る動きと共振の問題は以下と捉えています。
5、弊害の対策の考え方
1)動いてしまうことに対する対策=バネを固くして動き量を減らす
2)共振点への対策=減衰効果を付加して共振のピークを抑える

「理想はすっと動いて振動を逃がし、すっと止まること」

おいけさんへのレスでも書き込みましたが、
個々の部材の問題は考えていません。あくまで全体の動きと共振です。ですが、個々の部材の問題や接触歪みについても考えていく必要がありそうだと思いました。今後もよろしくお願いいたします。

次はfo.Q使いこなし大作戦です!

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ヒジヤンさん、こんばんは。

ヒジヤンさんの日記、とても興味深く読ませていただきました。
私にはこのような図解の説明はできませんので、ヒジヤンさんのお考えが良くわかりました。

フルコンメカは通常のピアノではなくフルコンサートグランドピアノ用に開発された物ですので、その剛性はかなり強くなっていますし、ピアノを弾いていてウェルフロートが動くと困りますので、少ししか動かない構造が出音に功を奏したようです。

今後ヒジヤンさんのようなアイデアで、通常のウェルフロートも上手く使用できることでしょうし、またフルコンメカの方も更なる進化をメーカーには期待したいですね。

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ヒジヤンさん

1)については、私の前日記「ウェルフロートの神学論争 (ヒジヤン邸緊急訪問)」をご参照ください。

>制振構造は、振動を低減させる弾性体と、それを振動源と被振動源とにそれぞれつなげる拘束物とから構成しています。この拘束部分が歪みの発生源となります。ウェルフロートは、その拘束部を振り子にすることで歪みの発生を劇的に低減させているということなのです。

図解は、ヒジヤンさんのように得手ではないのでどうかご勘弁下さい。例えば、上板と下板を単純に板バネでつないだフロートボードをご想像ください。そのバネが上下板にネジで止めてあると想像してみて下さい。ネジに応力が集中しネジのガタなどでいかにも歪みが発生しそうです。WFBは、これを独特の吊り構造で回避しているというのが私の見立てというわけです。

2)については、物理学的なメカニズムの理屈もなしで、ちょっと文系的直観で申し上げているところがあります。あまり科学的なコメントではありませんね。ご勘弁ください。

ただ、聴感上、「重心が下がる」「低域の質感が向上する」「低域の沈み込み」など、その改善点が主に中低域に集中しているので、効いているのは主に中低域かなと思いました。

モーメント振動を引き起こする作用はウーファーですので、それを歪ませている、付帯音が生ずる…とみなすのは理に適っていると考えたわけです。振動はもちろん、ツィターの座標位置への影響が大きいわけですが、ツィターの振動が発生源ではないので聴感への影響は小さいのではないかと考えたのです。

もちろん、スーパーツィターを加えるとベースの音まで変わってしまうというのがオーディオですし、今回の実験でも「空気感」「静寂感」など高域に属する影響もあるので、どちらとも断定はできませんね。

ここは、あまり反証や検証可能性もないし、演繹性にも欠ける聴感からくる直観的なコメントということでご容赦ください。

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Harubaruさん、ありがとうございます!

モヤモヤしていたことがスッキリしました。
フルコンメカではグランドピアノが動かないように、バネを硬くするのみでなく吊りワイヤーを短くしたのですね。それで理解できました。

・吊りワイヤーを短くすることで水平から上下に動こうとする成分が増えて積載物(ピアノやスピーカーなど)を持ち上げようとする反力が生じる。
・同じ大きさの力(振動)を受けた時にこの反力でボードは動きにくくなる。(動き量は減る)
・動き量は減るもののエネルギーは保存される。
・しかしながら、ウェルフロートメカが強化された(可動部の接触面積が増加等)ことにより構造減衰(摩擦等)が増加した。
・これにより、動きが減ると共に減衰効果も高まり共振のピークも抑えられた。

このように考えると納得できます。
一見、設計思想に反するフルコンメカですが、音に対しても有効に働いたようですね。

揺れに弱いCDPなどには特に効くと思います。
そして、上下が動きやすくなったフルコンメカにはαゲル追加によるエネルギー吸収効果は更に増すはずです。

メーカーへの課題
1、吊りワイヤーの長さの最適長さは何mmと考えるか。
2、ウェルフロートが動くときに素早く減衰する更なるアイデアはないのか。
3、更に「すっと動いて振動を逃がし、すっと止まる」ものが出来ないか。

伝道師のHarubaruさんから、よろしくお伝え下さい。

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ベルウッドさん

詳細をありがとうございます。よくわかりました。
1)についての接触歪みと言われているのはガタや滑りのことだと理解しました。これならよくわかります。ただ、ガタや滑りは不具合に近く、これがないのがメリットと言えるかどうか。

2)については、例えば2Wayの場合にウーファーが低音部と中音部を受け持つので、低音のエネルギーを出すために振動板は目に見えるほどに動きます。もともと動くものですからウェルフロートの動きが加わっても影響はさほど出ないと思われます。定位もそうですが、音の芯を感じるのは高域が支配的なんだと思われます。

今回の日記を通じてウェルフロートの様々なことについての認識が深まりました。仲間同士の食べ歩きも、交流もいいもんですね。ショップやメーカーとの交流ではこうはいきません。趣味人同士のコミュニケーションは大事だと改めて思いました。こうしてみると、ありがたいコミュニティですね。

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1)接触歪みは、どうしても避けられない要素です。制振における制振材と対象物との接合点への応力集中や面拘束によるせん断歪みは避けられないので、それは決して「不具合」とは言うべきものではありません。これを解決しようとする方法は、メリットというべき優れた意匠ととらえるべきでしょう。

2)は、どちらがどれくらいなどという話しで、あまり検証可能性のない議論です。低域も高域も、とにかく帯域を問わず良くなったということでよろしいのではないでしょうか。何か具体的にどちらがどうだということを追究することに意味が出てきたら、また、その時には、もっと議論を詰めてみようということになるかもしれません。

ビジネスという利害をからめず、同好の仲間同士で情報を交流し、忌憚の無い意見をぶつけあうことができる場はありがたい…ということには全面的に同感します。有識者や経験者からヒントやアドバイスをいただけるということでもとてもありがたい場所だと思っています。

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ベルウッドさん

確かにそうですね。
効果のヒアリング結果は一致しているのに、確認のしにくいその理由まで決めつけ一致させる必要はないですね。無理に決めようとして、今後の発展可能性まで潰してしまうのはナンセンスです。

コミュニティでのやり取りは人間教育の場でもある、と言うことでしょうか(笑)

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