先日の「カンツオーネ・ワークショップ」で、もう一つ印象に残ったことがありました。ワークショップは「4階サルビアホール」で行われました。普段、コンサートを聴きに行くのは「3階サルビア音楽ホール」です。
サルビアホール:多目的ホール(定員600名)
サルビア音楽ホール:音楽ホール(定員100名)
定員数が6倍も違いますので、サルビアの中では大ホールと小ホールの位置づけだと思います。ですが、音楽ホールの音響はとてもよいのに、サルビアホールの音響はとてもよくないことです。講師の藤原歌劇団の大森智子さんが、冒頭にカンツオーネを1曲披露してくれたのですが、歌声は響かずに、音量も小さく、音質もこもったように聞こえました。
・多目的ホールでの解説は、マイクを使って行われたのは普通としても、以降は歌う時もマイクを入れて音を拾う形で歌われていました。マイクを通した方が断然音がよかったです。
・音楽ホールは、自分がコンサートをやる時も挨拶や解説などはマイクは不要です。普通の話し声でもよく通るのです。もちろん音楽演奏では、響きもよくて混濁しないので、小編成の演奏にはうってつけのホールだと思います。
同じサルビアホールなのに、何でこんなに違うのか?
疑問に感じましたので、スペック比較をしてみました。
サルビアホールと音楽ホールの平面図比較
平面上の床面積比較では、
サルビアホール:15.8×17.6=278 音楽ホール: 7.6×13.4=102・・・床面積はサルビアが2.7倍大きい
◇上記からは音量が小さくなることの説明にはなるが、音質の大きな違いの説明は難しい
サルビアホールと音楽ホールの斜視写真比較
ここから読み解くと、サルビアホールはステージ側から客席側に徐々に先細くなっており、音楽ホールは逆に先膨らみとなっている。
・・・もしかすると、これが原因かもしれないと思いました。
このように客席側に徐々に先細くなっているホールは多いです。視覚を優先して、後方からも舞台がよく見えるようにするためですね。
ウィーンの楽友協会ホールは平土間でした。視界はよくないが、音はいいです。
そう言えば、スピーカーの消音構造や無響室の壁も先細くして音を消していると思いました。
これだけでサルビアの二つのホールの音の差の説明にはなりませんが、このような視点で継続的に聞え方の確認をしていこうと思います。
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ヒジヤンさん、こんにちは。
いずれのホールにも行ったことがないのであくまで写真や図面からの憶測ですが、答えはシンプルに
「サルビアホールでは舞台の袖と天井側に音が抜けてしまう」
ではないかと思います。
眠り猫さん、コメントありがとうございます。
確かにその要素はありますね。
ただ、サルビアの場合は、音楽ホールは特に音がよく、サルビアホールは特に音がよくないです。主な構造や壁面の材質などはほぼ同じなんですね。
おっしゃられている一般的な考え方だと、すべての多目的ホールとオペラ劇場は音が悪いという結論になってしまいますね。特にオペラ劇場は音が悪いと・・・
ですが、新国立劇場など音は悪くないと感じますし、多目的ホールも以前にいろいろなホールを回ったところ、音が悪い方が多いですが、中には音のよいホールもありました。
答えをシンプルに導くのは難しいように思えます。