再生環境で評価が分かれる録音

日記・雑記
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最近、前から欲しかったCDをやっと手に入れました。

以前、山梨のお城を訪問した時にお聴かせいただいた、このCDです。
ユーリ・テミルカノフのマーラー交響曲第5番。

[:image2:]

お城の訪問記はコチラです。

正確にはお城で聴かせていただいたのはSACDで、私が入手したのはCDなのでちょっと違います。
SACDを購入するつもりでいたのですが、私の勘違いでCDの購入になってしまいました。既に絶版のようなので私にとっては大きな出費となったのですが、CDの方は後でもう少し調べたらごく普通の値段で入手できたみたいです。
ガッカリ…

気を取り直して聴いてみたのですが、私にとってはこの演奏と録音はやはり驚きでした。
録音はWater Lily Acoustics という組織(?)によるもので、付属のパンフレットの記述によると、2本のマイクのみを用い、コンプレッサー、イコライザー、リミッターなどは全く使っていないDSD録音だとのこと。
城主もおっしゃっていましたが、録音レベルは普通のCDに較べると恐ろしく低い。ヴォリュームをかなり上げないとグランカッサやティンパニーのピアニシモの連打はほとんど聞こえないし、ピアニシモで弾くヴァイオリンのメロディーは聞き取りにくい。

で、そのピアニシモがちゃんと聴こえるようにヴォリューム設定すると第5楽章のフィナーレの金管群の咆哮とグランカッサの強打にのけぞることになる。

ライブ録音でほとんど何の加工もしていないようなので聴衆の咳などの環境ノイズが頻繁に聴こえる。
そして、オーケストラがスピーカー後方に展開するのに対し聴衆の咳は時としてかなり手前から聴こえる。山梨のお城ではリスニングポイントとスピーカーのちょうど中間付近から聴こえてビックリしたのだけれど、ウチではスピーカとリスニングポイントが近いせいかそこまで手前からは聴こえない。スピーカの位置か若干手前くらいの近さ。
最後の拍手に至っては、明らかにスピーカーの手前や外側からも聴こえる感じ。

以上のようないろいろ難しいこともあるのですが、原寸大に近い音量での再生を行うことで得られる音場感、臨場感はまさに生のコンサートホールそのもの。この録音の魅力はそれなのです。

テミルカノフの指揮によるセント・ペテルスブルグ・フィルの演奏はこの音と奇妙に調和していてゆっくりなテンポなのだけれど時に豪快、ピアニシモは限界に近い微音で繊細というのとはちょっと違うかもしれないけれど演奏自体のダイナミックレンジも広大、全体としてはちょっと荒削りな感じ。ライブ独特の高揚感、緊張感あふれる演奏。
このCDに較べると私が持っているジンマン指揮、チューリヒ・トーンハレのSACDは演奏も録音もはるかに洗練された印象。ジンマンのSACDは楽器の音も細部まで聴こえて響きは美しいのだけれど…

私としてはなぜかこのテミルカノフ盤に魅力を感じる。

[:image1:]

思えば最近マーラーはあんまり聴いていなかった。曲が長くて聴き通すには集中力がいるので…。若いころはよく聴いていたような気がするけれど。
5番を最初に聴いたのは学生時代、たぶんバーンスタイン、NYフィルのLPだったと思う。テミルカノフの演奏はバーンスタインともかなり違う印象なのだけど、若いころ聴いたあの感激がなぜかよみがえるような気がする。

というわけでこのCDは私にとっては大切なものになりそう。
ただ、この録音はたぶん再生環境を選ぶ。
AMAZON UK やAMAZON USの購入者レビューでもこの録音の評価は割れている。

個人的な意見だけれど、この録音が向くひとは

1.最大ピークで100dB位が可能な再生環境を持っている
2.聴衆の咳などのノイズは気にしない
3.生のコンサートの臨場感を味わいたい

向かない人は

1.再生環境の制約でピークで100dBに近い音は出せない
2.再生環境のノイズが大きく、ピアニシモの聞き取りが難しい
3.CDに聴衆の咳などのノイズが入っていることには耐えられない
4.オーケストラの各楽器の音を克明に聞き取りたい

演奏が好みに合うかどうかということもあるので、このCD、SACDを安易にお薦めすることはできませんが、興味があり、リスクをとる覚悟のある方はAMAZON USを探してみるとよいのではないかと思います。

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