この日記は今年6月、7月に書いた以下の2つの日記の続編です。
OmniMicの位相特性インパルス応答特性機能によるスピーカー調整
OmniMicの位相特性インパルス応答特性による調整顛末
スピーカーを構成する各ユニットのタイムアライメントと位相整合を目的とした調整についてのお話し。
最終目標はマルチchサラウンドを構成する全スピーカーの位相整合。
具体的には全スピーカー、全ユニットの位相を正相に統一すること。
正確なマルチch再生において音場を得るためにはこれが必要と考えているからです。
でも、メーカー品のスピーカーを使ってステレオで聴いている方にとっては、つまり大部分のかたにはほとんど必要のない情報かもしれません。
ほぼ私の個人的な備忘録になってしまうことをお許しください。
元々自分のスピーカーシステムはチャンデバ使用でLinkwitz–Rileyの4次(24dB/oct)のフィルターを用いているのですべてのユニットを正相接続にすれば位相は全部そろうと考えていて、それを信じていたのです。
でも、前回の日記では位相特性を確認したら全くダメだったので何とかそれをねじ伏せましたという内容でした。
しかしながらその強引な方法がとてもまともではないように思えて悩ましいというところで終わっていました。
その後、ケンさんのアドバイスをいただき、自分なりにいろいろ考えて追加実験などを行い、ようやく事態が見えてきて一応の落着を見たのでレポートすることにしました。
私としてはOmniMicの奴隷になって人間Dirac Liveとして悩みながら汗もかきかきやっとここまで来たということなのでちょっと感慨深いものがあります。
7月の状態からもかなりの変更があったのですが、大きな変更はサラウンド・スピーカーの方になります。
9月8日のAuro3Dさんの日記 「K&K邸再訪―人間Dirac Liveの成果拝聴!」はその変更が反映された状態を聴いていただいたものです。
前置きが異常に長くなりましたが、今回はフロント・スピーカー編です。
ウチのフロント・スピーカーはウーファ(WF)、トゥイータ(TW)、スーパー・トゥイータで構成されています。
[:image1:]
HS-500を2段重ねにしていますが、上側は上下反転させ、真ん中にSTWを挟んでいる仮想同軸のバーチカルツイン構成。
WF 受け持ち帯域 3KHz以下 接続 正接続
TW 受け持ち帯域 3KHz~8KHz 接続 正接続
STW 受け持ち帯域 8KHz以上 接続 逆接続
ここで正接続というのはメーカーの表示通りに接続していることを意味し、逆接続とはメーカーの表示とは逆に接続しているという意味です。
前回の日記の時点でSTWのパイオニア PT-R100 の極性表示を疑ったのですが確信が持てなかったので確認実験を行いました。
正接続(メーカー表示通りの接続)の場合
[:image2:]周波数特性(緑の線は位相)
[:image4:]Wavelet
やはりこの接続ではクロスオーバー周波数の8KHz付近でディップが生じて位相も乱れるし、Waveletでは同周波数の赤のセンター部に空洞ができる。
インパルス応答波形も一つの大きなパルスにまとまらない。
それに対し逆接続(メーカー表示とは逆の接続)
[:image3:]周波数特性(緑の線は位相)
[:image5:]Wavelet
ディップもないし、位相の乱れもなく、Waveletも整っている。
インパルス応答も一つの大きなパルスにまとまっている。
ということで結論としてはパイオニアの極性表示が違っていると判断しました。
この「STW逆接続」の状態でやっとWF、TW、STWが揃って正相になったということになります
このSTWは市販スピーカーへのアドオン用途が多くアドオン時に使用される別売のフィルターは12dB/octなので逆相で繋ぐ方がうまくつながりやすいからなのかなぁと思っています。
私みたいのこのSTWをチャンデバと組み合わせて使う場合には注意が必要だと思います。
最後にSTWのアライメントを再調整した後の特性を以下に示します。
なお、ここでは周波数特性の解像度が1/6 octave になっています。
20Hzまでほぼフラットなのは41Hz以下をサブ・ウーファが支えているからです。
上記のSTWの極性比較時の周波数特性も同じ条件です。
[:image7:]FR 周波数特性(緑の線は位相)
[:image6:]FR Wavelet
最初にも書きましたようにこのアクティヴィティの最終目標はマルチchでの正確な音場再現なのですが、この改善効果はステレオで聴いても歴然です。
Auro3Dさんが拙宅に最初に来られたのは昨年ですが、その時はSTWは当然位相が逆でした。最近訪問いただいたのが2回目ですが、最初にお聴きいただいたのがコレ。
[:image8:]
白鳥英美子のさくら。
ステレオです。Auro3Dさんは最初の一声で前と明らかに違うことが分かったというのですが…
これはうれしかったし、ホッとしました。
サラウンド・スピーカーについては次回に続編として書くことにします。
今回に比べてさらにややこしくなっています。
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