現在、音屋とらたぬさんに依頼して、新しいDACの製作をお願いしています。
2筐体になりますが、音質の中核となる電源基板である、LT3042 or LT3093(24パラ)基板は全て、DDCやDAC基板と同じ筐体にあります。
LT3042 or LT3093(24パラ)にクリーンな電源を供給するための、LT3045 or 3094 (4パラ)基板は、トランスと一緒に別筐体になります。
24パラ基板は、いままでは12パラ基板を組み合わせて使っていましたが、今回新しく、基板から作成して下さることになりました。
LT3042を例にとると、
1つでも、0.8μVRMS (10Hz to 100kHz)という超低ノイズなのですが、並列にn個繋ぐことによって、理論上、更に1/√nまでノイズが減ります。
24パラですと、0.16μVRMSという驚異的なノイズの低さです。このノイズの低さを理論値に近づけるために、24枚基板には、LT3045 or 3094 (4パラ)基板から電源を供給します。
また、DC電源は必要電流量の4倍ほど余裕があった方が音がよいことが、海外のフォーラム等で報告されていましたので、今回は基板の枚数を大幅に増やすことにより、低発熱で電流に余裕をもたせることになりました。
枚数でいうと、4パラ基板が18枚、24パラ基板が17枚にもなります。
DAC基板は ESSですが最新のものをつかうかどうかはまだ決まっていません。
DDCは Matrix X-SPDIF 2から取り出したものを使います。もっと良いDDCもあるかと思いますが、
・TAIKO Audio のASIOドライバーに対応しているので、大幅な音質アップが見込まれる。
・クロックをDuCULoNに換装した実績がある。
などの理由から、引き続き、X-SPDIF 2を利用することにしました。
ただ、X-SPDIF 2にはミュート回路・ミュート基板がないので、私の環境では、サンプルレートが変わる音源を再生すると、大きなノイズが入ってしまいます。
この影響を最小限にするために、FIFOバッファをDDCとDACの間に挟むことにしました(詳しい説明は省略)。
FIFOバッファは理論上、上流の影響が無視できるものと思っていましたが、テストした結果、上流の影響はやはり無視できません。
むしろ、TAIKO AUDIO SGM Extreme の音を聴くと、上流の改善でこれほどの変化があるのだとその変化量に驚いてしまいました。
しかし、やはりFIFOバッファには音質改善効果はあります。TAIKO AUDIO の Emileに FIFO バッファを挟むことによってTAIKO AUDIO SGM Extremeに悪い影響があるか確認したところ、
音に悪影響がでるとは思えないとの回答もいただけました。
FIFOバッファにはMcFIFOを使います。
この機器の素晴らしいところは、一旦メモリにI2S/DSDのデータを保存し、クロックでデータを取り出すため、マスタークロックだけでなくI2S/DSD信号全体の位相ノイズが低減できるところです。(この仕組みから上流の品質が無視できると考えていました。結局無視できませんでしたが・・・)
このクロックでデータを取り出すために、McFIFOにDuCULoNを2基つかいます。そしてDDCであるX-SPDIF2にもDuCULoNを2基使います。
計4基のDuCULoNを用いますが、McFIFO側は、プレミアムケース付きDuCULoN、DDC側では普通のDuCULoNを用います。
これは、単に、普通のDuCULoNを現在のDACに使っていることが理由で、本来であれば両方ともプレミアムケース付きDuCULoNの方が良いだろうとは思います。
(通常のDuCULoNをアップグレードしてプレミアムケース付きにはできないとの事です)
普通のDuCULoNには、振動対策のため、αゲル(ゲルブッシュ)を用います。そしてαゲルの効果を最大化するために、銅製の土台を切削加工で作成していただき重さを調節します。
作成は野方電機工業にしていただきました。
この方法で問題ないかどうかをαゲルの製造元のタイカに問い合わせたところ、直接電話を下さっていろいろ教えて頂きました。
クロックは、精度も大切ですが、電源の質と振動対策に大きな影響を受けます。たとえば振動についてはこちら。
また、良いクロックを用いたとしても、前段の様々なクロックの影響は無視できません。
高品質のクロックは、前段のより劣るクロックをよりよい状態にしてくれるようです。PCオーディオなどは特に沢山のクロックの影響を受けますが、
McFIFOのDuCULoN2基で大幅に改善し、もう2基のDuCULoNでさらに改善させるイメージです。
シャーシに関しては今までのタカチ製ではなく、専用ケースをCADで作成してもらい、外注することにしました。
一点物なので高価にはなってしまいますが、やはりシャーシの音に与える影響は思ったよりも大きいことを、自作PCのシャーシを作成する過程で確認しました。
シャーシの足には、Taiko Audio から購入した、パンツァーフォルツのフッターを用いる予定です。
その他としては、
コネクター等は、可能なものは、全て金メッキにしました。一部最低ロット数の関係で断念しました。
内部配線は、Mundorf Wire 15.5awg Silver/Gold か同線材の24awgを使います。
全てのパーツが揃うのが、来年の5月末になりますので、まだ先の話ですが、完成が楽しみです。
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きょやさん
これまた凄いDACになりそうですね。
信号の純度に拘っていた時、USBを介さないI2S受けを実現するため、SymphonicMPDのバックエンドにIAN CANADA FIFOPI Q3をHDMI Transmitterとともに使用しました。
FIFOPI Q3は非常に良く考えられた造りで、CRYSTEKのクロックに換装した際、効果が大きいのに驚きました。 Lifeバッテリーで駆動した音は純度が高く、暫く一番出番が多いトランスポートでした。DuCULoNでは別次元になりそうです。
質問です。2基のDuCULoNを分岐して前・後段をカバーするより前段2基+後段2基とクロックを分けた方が良くなるのですか?
のびーさん、ご質問ありがとうございます。
音屋とらたぬさんには、電話にて説明を受けていましたが、デメリットがあることだけを記憶しており、のびーさんに説明できるほどではありませんでしたので、もう一度説明していただきました。
音屋とらたぬさんによると、
McFIFO/DualXOの良い点は2つあり、電気的に絶縁(デジタルアイソレート)して、ジッター(位相ノイズ)の少ないクリーンなクロックに置き換えることです。
これにより、I2S/DSD信号の発生装置(PC〜USB DDC)側の電源等のノイズやジッターに影響されないとしています。
(実際には影響はゼロではないようです)
電源等のノイズはデジタルアイソレートによる効果で、ジッターはクリーンなクロックで置き換えることによる効果です。
DuCULoNのクロックをMcFIFO/DualXOとUSB DDCで共有するためには、2つの方法があります。
1つ目はMcFIFO/DualXOのデジタルアイソレートを無効にして、DuCULoNのクロックをDualXOとUSB DDCに直接供給する方法です。
デジタルアイソレートを無効にすると、McFIFO/DualXOとUSB DDCが電気的に繋がりますので、I2S/DSD信号発生装置側の影響を強く受けます。
2つ目はMcFIFO/DualXOのデジタルアイソレートを有効にするため、USB DDCに供給するDuCULoNのクロックをデジタルアイソレーターICを経由させる方法です。
McFIFO/DualXOにはDuCULoNから直接供給します。
その場合、デジタルアイソレートICの性能が問題になります。デジタルアイソレートICは電気的には絶縁しているので、信号を磁気や光などに変換して伝達し、受け取った側で電気信号に戻します。その過程でジッター性能が悪化します。
McFIFOで使われているデジタルアイソレートICでは、350ps(ピコセコンド:10の-12乗)という大きな値になります。
DuCULoNのジッターは、10~100fs(フェムトセコンド:10の-15乗)程度だと思いますので、1000倍以上に悪化してしまいます。
USB DDCのクロックはDuCULoNから送られてくるものの、ジッターはとても多くなります。
この様な理由で、1セットのDuCULoNからMcFIFO/DualXOとUSB DDCの両方にクロックを供給することは望ましくないと思われます。
(DuCULoNを共有するよりは、McFIFO側をDuCULoNにして、)USB DDC側のクロックを、DuCULoNを製造しているNDKのNZ2520SDAにした方が、良好な音質を得られるのではないかと思います。
との事です。
きょやさん
非常に丁寧で分かりやすい解説ありがとうございます。
世の中では10MHzのマスタークロック1基からPLLやDDSで必要なクロックを創出する方法が一般的で、それを分岐して使っています。それでもクロックによる音の差は相当大きく、私も幾つかのマスタークロックを所有しています。
他方、DuCULoNはダイレクトにワードクロックとして機能して、更に段階ごとに独立させてデジタルアイソレートするわけですから凄いことになりそうですね。
のびーさん
10MHzクロックは、EtherRegen(以下ER) 2台によるLANの光アイソレートに使っています。クロックの質、ケーブルの質も影響してきますね。
サイバーシャフトの10Mクロックは正弦波で、ERは矩形波で受けた方が若干音質が有利とのことなので、ERのうち片方だけ、正弦波を矩形波に変換するコンバーターを使っています。変換のデメリットも当然ありますが、若干改善があるようです。
とらたぬさんのDACを先にアップグレードするか、お金を貯めてハイエンドDACを買うか迷いましたが、
とらたぬさんのDACを電源基板も、DuCULoN 4台 + FIFOで大幅にアップグレードしたほうが、音源がもっているポテンシャルを最大限に引き出すという意味においては世界最高峰のDACになるのではないかと思いお願いしました。
ちなみにですが、Taiko Audio SGM Exrtreme のユーザが使っているDACは
Lampizator, MSB, Chord Dave(DIYで電源強化している人もいます)
で全体の50%になります。
4位から7位が、AquaFormula、Totaldac、DCS、Esoteric
なのだそうです。このうちTotaldacはFIFOを使っています。
Lampizator Horizon DAC などは、日本での試聴は難しそうですが、とても気になっています!
きょやさん、こんにちは
すごくレベルの高い試みですね。
DuCULoNについて調べていて、遅ればせながらこちらの日記を拝読しました。
とても参考になりました。
きょやさんからすると超低レベルながら、参考にして自分で試したことなどを、現在、YouTube動画にしようと考えています。
こちらの日記についても、ご紹介したいと思いまして、取り急ぎのご連絡でした。
百十番さん
YouTube 拝見しています。
お役に立てれば幸いです!
DACはもう完成していますのでそのうち記事にしたいと思います。
きょやさん、おはようございます。
動画が、本編、空気録音比較編とも完成し公開しました。
https://youtu.be/UN6ky82BH9I
https://youtu.be/0YZRUepBglI
空気録音比較で、ちょっと変わった現象が起こりましたので、別途日記で報告しようと思います。