Diretta TargetPCと電源、USB DAC、HostPCからの接続ルート、これらの組み合わせをクラシック向けとジャズ・ロック向けで分けたところ、たいへん良好な結果が得られました。部屋が狭くスピーカーを２セット置けませんので苦心します。環境はマイルーム詳細を参照ください。
アバドとジルベルシュタインによる「ラフマニノフ・ピアノ協奏曲第2番・第3番」です。BPOとのライブ録音で冒頭にマイク接触ノイズがありますが、鮮度は抜群。
クラシック向け：
HostPCのアダプターTG-3468から有線LAN直結、Diretta Target Pi3B+ にリニア電源とFX-AUDIO-PetitSusie+PetitTank、DAC ES9038PROの組み合わせ
ラズパイは電源と電圧に敏感に反応します。ラズパイ４は定格5V3Aですが3B+は2.5Aで、１Aでも動くことは動きます。しかし電力不足で電圧が下がるとThrottlingというCPU動作周波数を下げた、音痩せ状態になります。（追記：CPU温度60°C以上でもThrottlingが始まります。ラズパイ４はCPU速度が上がったため熱くなりやすく冷却が必要です。私の使い方ではラズパイ3B+は55°C以上にはなりません）
モバイルバッテリーでは残量半分くらいになると電圧が落ちThrottlingが始まります。バッテリーの宿命としてフル充電状態では電圧は高く、残量に比例して下がっていきます。モバイルバッテリーは約3.6Vの複数セルを５Vに昇圧していますので、そのノイズと電力も2.4Aくらいと小さいのが欠点です。
スイッチング電源は窒化ガリウムGaN充電器でも高周波のノイズがありますが、ノイズフィルターを噛ませればある程度クリーンにできます。
しかし問題となるのがノイズフィルターPetitSusieによる降圧です。ラズパイ3B+は4.63V（誤差５％）になるとThrottlingします。５Vのスイッチング電源にノイズフィルターを噛ませるとMoOde AudioではThrottlingの表示が出ます。
バルクキャパシタ（コンデンサーの集合体）PetitTankを追加しても電圧は変わりませんので、瞬間供給電力が向上してもThrottlingは消えません。では６Vのスイッチング電源を使ったらどうでしょう。今度はUSB DACが認識されなくなります。USBの電圧定格はハイパワーポート4.75V～5.25V、ローパワーポート4.40V～5.25Vです。その範囲に収めるためにはノイズフィルターPetitSusieを２個直列につなぐとぎり5.25Vになりますが、やたらと元気が良い若々しい音になります。
電圧調整のできるリニア電源が最適です。スイッチングノイズこそありませんが外来ノイズが全くないわけではありませんので、フィルター降圧分だけ予め昇圧します。フィルター通過後4.9Vあたり僅かに低めに設定すると、クラシック向けに落ち着いた重厚な音になります。低域の沈み込み、ノイズ皆無の静けさ、中高域が力強く滑らかな弦と貫くようなハンマーが両立し、ホールトーンが鮮やかに描かれます。
ウィッシュボーン・アッシュの代表作「百眼の巨人アーガス」のオリジナル版です。リマスターは帯域バランスを崩してダイナミックレンジを狭めてますから（モバイル市場向けに音圧競争したのでしょうか）オリジナル版がお勧めです。アートワークはヒプノシスで、LPでは戦士が雲海に浮かぶUFOを見ている絵になっています。レコードの楽しみアートワークで屈指のヒプノシスは後日紹介します。
ジャズ・ロック向け：
HostPCのマザーボードから有線LANハブ経由、ネットワーク上の Diretta TargetPC LIVA Z2 にGaN充電器とFX-AUDIO-PetitSusie、DAC PCM1794Aの組み合わせ
インターネット無線中継器、Mac mimi、HostPC、TargetPC LIVA Z2が有線LANでぶら下がった100Mbpsスイッチングハブ経由で再生しています。イーサネットは初期設定のまま全自動です。直結に比べると音質低下があるかもしれませんが、電源による音質の違いが大き過ぎて比較できません。（追記：HostPCにアダプターTG-3468追加して直結にしました。100Mbpsハーフデュプレックスで機能削減すると鮮度が違います）
Diretta Target Pi3B+ とリニア電源にDAC PCM1794Aをつないでも躍動感は薄く、高域のアタック特にシンバルが弱く、ギターの鳴きもどこか遠くなります。電圧のせいでしょうか、PCM1794Aの特長を生かせない、白けたような音になります。
TargetPC LIVA Z2 にGaN充電器20V3AとFX-AUDIO-PetitSusieでは、タイトで歯切れ良い低音と押し出しの良い中高音、ギタリストの熱気と汗が降り掛かるような迫力と感動があります。このGaN充電器では保護回路が働いてPetitTankはつなげないのですが、それでもジャズ・ロックの表現は優れています。楽しくなって思わず体が動き出します。
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