長年使用してきたThiel Audio CS3.6を下取りに出して新しいスピーカーを購入したことは先日日記に記しました。(新しいスピーカーを購入)
Thiel Audio CS3.6を30年近くも使い続けていたのはもちろんその音に魅了されていたからですが、下取り、中古売買、発送方法などの手間を考えるとなかなか踏ん切りがつかなかったという面もあります。 もし開発者のJim Thiel(ジムティール)が健在で会社が継続していたらもっと以前に買い替えていたかもしれません。
購入したスピーカーはPS AudioのFR20です。 FR20のFRはFull Range。 なぜ20かはわかりませんが、上位機種がFR30。 現在開発中の下位機種がFR10のようです。
PS Audioのスピーカーは日本には紹介されていないのでご存じの方は少ないと思います。
PS Audio初のスピーカーFR30は2021年末から販売されています。 昨年FR30はthe absolute sound誌の2022 Golden Earを受賞しました。
FR30は大きさ、価格ともに導入できるものではなかったので下位機種のFR20の発売(2022年末)を待って導入した次第です。
最初からPS Audioのスピーカーだけに的を絞っていたわけではありませんが結果としてこうなりました。
配達日、パレットに載ってFR20はやってきました。 配達形式は俗に「Curbside delivery」と言って玄関前で配達終了。 家には自分で運び込めというものなのですが、道から玄関まで階段7段。 一つ70㎏くらいあるバカでかい箱をどうやって運ぶのか、途方に暮れたていたら哀れに思ったのかドライバーが「しかたねーなー、このじじぃ」という感じで手伝うことに同意してくれました。
別に要求はありませんでしたが作業後にお礼として少々手渡しました。
室内に入れてからの開封も一苦労です。 外箱を上にあげて抜き取る必要があるのですが天井に引っかかって抜けません。 箱を斜めにするには重すぎる。 横にしても重いから抜くのは大変でしょう。 幸い窓際の天井が高くなっている場所があるのでそこまで箱を押して行って何とか抜き取りました。
その後は下の写真の通り四方に開く構造なので特に問題なく開封できました。
スピーカーは安定性、取り扱いを考慮して最初から天地逆に入っています。
グリルの背面。 3つ穴が開いているけどウーファーは2つです。
初日とりあえずCS3.6が置かれていた場所に置いて音出しして最初に感じたのが音の実在感、奥行きの深いサウンドステージです。 まだ位置調整もしていない全くToe-in(内振り)なしの状態で既にCS3.6を超えた音です。
さらに感心したのがファントムセンターイメージの明瞭さです。 両スピーカーの間、後方に75インチのTVを据えてYoubuteや映画などを観るのですが、言葉が明瞭に聞き取れるし、サウンドステージがスピーカー後方、ちょうどTVが置いてあるあたりに来るので正に画面の人が話しているような、まるでTV画面そのものから音が出ているような感じです。 CS3.6でも中央に定位して自然な音でしたがFR20だと実在感が別次元です。 はっきり聞こえるだけではなく細かい周囲の音、雑音などもさりげなく(自然に)聞こえてきます。
現在2週間ほど経過、正面壁、スピーカー間の距離、内振り度合(ごくわずかToe-inしています)、そして角度(視聴位置が若干低いのでわずかに前向きに傾けています)を調整しました。
まだまだBreak-in中ですが、やはり深いサウンドステージ、実在感に感心しています。 名前の通りフルレンジで重低音もこなしますが、決して重々しい音ではない。 音離れの良さと言うのでしょうか軽やかな音再生も得意なようで繊細、細やかな表現も好感が持てます。
しかしここぞという時の低音は圧倒的です。 一度パイプオルガン曲(J.S. Bach – Toccata and Fugue in D minor BWV 565)を掛けたら隣室にいた妻が家が振動しているのは何事かと飛び込んできました。
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Multi_Hobbyistさん
FR20のメーカーサイトを確認しました。
とても良さそうなスピーカーですね!
ツィーターとミッド共に平面型で中高域は特に繊細で澄んだ音がしそうです。
ミッドはそれ1発で28Hz〜20kHzをカバーする超広帯域のフルレンジユニットなので、フルレンジに超高音と超低音だけをアシストするようなクロスオーバーかと思いきや400Hzと2.5kHzなのでミッドレンジは比較的狭く使っていますね。
フルレンジの実力はあるけど最も美味しい所だけを贅沢に使った設計なのでしょう。
20cm×2発のウーファーと25cm×2発のパッシブラジエーターが鳴らす中低音の音が気になります。
発泡素材にカーボン繊維をコーティングして軽さと強度を両立させつつ強力なコイルで立ち上がりと立ち下がりのスピードをミッドの早さに負けないように頑張ってるのだと想像しますが、実際はどうなのでしょうねー(興味津々)
想像以上に厚みのある中低音に、キレがあって繊細で透明な中高音、LR4の急峻なスロープでカットされつつ位相を合わせた混ざりけが少なくて3D展開される音場。
こんな贅沢なイメージが湧きます。
CENYAさん、 ありがとうございます。
澄んだ音、というかとにかく自然な音です。
>フルレンジの実力はあるけど最も美味しい所だけを贅沢に使った設計なのでしょう。
正にその通りだと思います。 クロスオーバーが4次なのはミッドレンジにあまり低い周波数が入らないように配慮してのことだというのが設計者の言葉です。
ウーファーコーンの素材を非常に軽くしているのもまさにCENYAさんがおっしゃる通り中高域とのつながりのために必要だったようです。
上位機種FR30は同じ口径、モーター部分も基本同じですがアルミコーンウーファーで素材が違います。
ミッドレンジ、トゥイーターはどちらも同じだけど上位機種はアルミコーンウーファーが4つ、パッシブラジエーターも4つです。
FR20では同じサイズで2発なので匹敵する能率を稼ぐためにアルミと同じくらいの剛性があるけどさらに軽い材質にしたそうです。
単純に上位機種からユニット数を減らして小さくしたわけではなく独自の設計になっているわけです。 だから低域特性はほとんど差がないというのが設計者の言葉です。