DIATONEの記憶

日記・雑記
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DIATONE、その昔、硬い音を出したかった自分にとって
憧れのブランドでした。結局、カタログを眺めているうちに
ブランドそのものが消滅してしまい・・・今ではカタログが残るのみ。
少し紹介してみます。カタログにあった写真(鳥取砂丘らしい)です。
テレビでCMもやっていたらしいですが・・・私の記憶には残っていません(^^;
[:image1:]大きな画像は こちら
本文紹介ここから 
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半世紀のすべては音楽のために。私たちはダイヤトーン工房です。

<国産初のモニター・スピーカー>として、
愛宕山の放送博物館に陳列されているフルレンジP-62F形。
その美しい音とともに誕生を告げたダイヤトーン・ブランドが、
もうすぐ半世紀を迎えようとしています。
顧みれば、ハニカム・コーンの開発、
D.U.D&D.M.などの高剛性思想を次々と発表し、
その先進性と確かな音で、”選ばれる音、ダイヤトーン”という
キャッチフレーズを、プロに、マニアに、深く定着させていった歴史が思いおこされます。
ダイヤトーンのハイテクノロジーへの評価は、
また、同時にその優れた音楽性への賞賛でした。
それを支えたのは、三菱電機郡山製作所というファクトリーにありながら、
一途に音づくりを進める頑なクラフトマンシップだったのです。
一音一音を丹念に磨くハンドクラフトさながらの手法。
コンピュータはもちろん、多くの工作機械を駆使しながらも、
材料の選定から組み立て、仕上げに至るその最終過程まで
熟練したベテランたちの技術と勘が注がれる幸福なスピーカーたち。
その独特な工場の雰囲気のせいでしょうか。
いよいよ半世紀を迎えようとするこの郡山製作所は
いつか”ダイヤトーン工房”と呼び慣らされていました。
美しい音楽を育む先進技術と木工技術の粋。
しかし、それを支えるのは、
ただ音楽を愛するというひたむきな情熱であったのかもしれません
●    
ダイヤトーン工房の音づくりは、また、
音を見据える実験の歴史でもありました。
資料も何もなかった昭和28年に、
民間企業として日本で初めて無響室を作り、
経験や勘だけに頼っていた当時のスピーカーづくりに一石を投じたダイヤトーン。
そして、ご覧の写真も科学的に音を検証しようという実験のひとつです。
スピーカーを大地に埋めて、慣らしてみる。
ユニークな実験ですが、これは、地球にバッフル板の役目をさせ、
無限大バッフルの音を測定しようという試みです。
純粋に前にでる音だけを聴く。
現在ならばコンピュータで計測できるデータも、
気象条件に左右されながらの悪戦苦闘が続きました。
こうして得られた測定値は、エンクロージュアーの理想値として、
やがてダイヤトーン独自のラウンド・バッフルに昇華されてゆくのです。
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ここまで

最後のDIATONEといえば DS-3003 でしょうか?
オーディオの足跡さんのページから画像を拝借して・・・
https://audio-heritage.jp/DIATONE/professional/2s-3003.html より
[:image3:]重量もたった54kg そんなに持て余す代物でもなし。
ただ、価格は凄い。

こんどは季刊ステレオサウンドNo.111 1994年SUMMERより
[:image2:]
同誌での評価は面白い程に2分しています。
『超弩級スピーカーが聴かせる魅惑の世界 Classic』では「菅野」「東条」「山中」の3氏が。
『超弩級スピーカーが聴かせる魅惑の世界 Jazz』では「朝沼」「佐久間」「菅原」の3氏が。

前者(Classic)から少しご紹介 ※前者の塩対応が凄い
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  ~略~

【菅野】
非常に優秀なスピーカーという印象ですね。
ただ、いまの状態ですと、音楽を楽しむというよりは、
やはりモニターしているという気分になってしまう。
先ほどのB&Wもモニタースピーカーでしたけれど、
あちらは、音楽を楽しむという感じがあったのにたいし、
ダイヤトーンは文字通りモニターという感じで鳴った。

  ~中略~

【東条】
 ぼくは仕事柄、ダイヤトーンの放送局スピーカーは、もう30年近く
スタジオで聴いています。ですからこの2S3003にしても、
いま鳴った音だけではなく、違う鳴らし方をしたらどうなっていくのか、
ということはある程度想像がつきます。

  ~中略~

 しかし趣味として、家庭で音楽を聴くスピーカーとして見た場合にはどうなんでしょうか。イ・サロネスティの演奏など、じつに生真面目な音楽に聴こえてしまう。
音楽のおもしろさとか、エロティシズム、デモーニッシュな感じ・・・・、そういうものを削ぎ落して、あまりにもストレートな表現になってしまうのが、
ぼくには気になりました。

【山中】
むしろ、そういうものを拒絶しているような感じがありますね。

【菅野】
音楽を聴いていると、スコア(譜面)が見えるような鳴り方をします。

 ~中略~

【東条】
ですが、もしこの2S3003で、今日は聴きませんでしたけれど、ワーグナーの
「トリスタンとイゾルデ」を聴いたら、
あの官能の世界は、まず出てこないのではないでしょうか。

【山中】
いや、それを出してみたくなる気持ちになるんです。オーディオマニアというものは。
このスピーカーは、そういう気持ちを抱かせるだけの優れた素材であることは確かなんですよ。

【菅野】
もちろんそうです。

【東条】
はじめから諦めていては駄目だということですね。

【山中】
そうですね。それに、こういうちょっと始めは厳しい音を出すスピーカーのほうが、
最終的な結果はよかったりする場合もありますからね。

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前者紹介ここまで

後者(Jazz)からご紹介 ※前者との温度差が凄い
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【菅原】
いやあ、これは凄かった。

【朝沼】
ほんとうに凄い音でしたね。

【菅原】
これは、今回の試聴のハイライトでしたね。まさか、あれほどまでとは・・・・。

【佐久間】
日本的な真面目さと、ジャズの熱気とガッツ、そういったものが全部うまい具合にいきましたね。いままでの日本的に真面目なスピーカーって、律儀すぎてジャズにはどうも、という部分がありましたけれど、ダイヤトーンはぴったりとはまった感じがしました。

【朝沼】
今回聴いたスピーカーのなかで、いちばんショッキングな音でしたよ。

【菅原】
いい音してました。

【佐久間】
まとまりもよかったし、なによりもジャズがリアルに鳴った。

【菅原】
日本のモニタースピーカーの意地を見せましたね。

【朝沼】
はい。

【菅原】
圧倒的なパワーが出ましたね。このパワーの凄さは、
おそらく現場にいて聴いた人にしかわからないと思う。
とにかく圧倒的。

【佐久間】
読者の方が、この話を読んで想像するより、たぶん、
はるかに超えた音が出ましたね。

【菅原】
これは、言葉で説明しにくいですね。ちょっと特殊な状況が出来上がったと言うか・・・・もう、こういう音は2度と聴けないかもしれない。

【朝沼】
そう。

【菅原】
いい音って、一期一会のとこがありますからね。

【朝沼】
とにかく、なんのためらいもなく、鋭角的にズバッと音が出ましたね。

【佐久間】
ストレートにダイレクトに。

【朝沼】
上段の構えから、いきなり切り込まれたような。

【佐久間】
それで、いい意味でもモニターらしさ、正確さというものがあって、かと言って一歩退いたクールさにならず、ジャズの現場に飛び込んだような・・・・。

【菅原】
 熱気がありましたね、熱気が。もう、びっくりした。
 どのソースも良かったんだけど、最後にとうとう来ましたね、強力に。
「サークルのオーネット・コールマン」。これは、アナログレコードで聴いたわけですが、朝沼さんがレコードに針を落としたのと同時に出たショックノイズを聴いた瞬間、
岩崎千明さん(故人・オーディオ評論家)が、
この部屋にやってきたような気がしましたね。

【佐久間】
おれも仲間に入れてくれよって。

【菅原】
岩崎さんはとにかくボリュウム全開で針を落とす人でしたからね。
昔、岩崎さん宅でJBLのハーツフィールドを聴かせてもらったとき、
同じショックノイズの音がした・・・・。

【朝沼】
あのレコードは、これまで数限りなく聴いてきましたけれど、
ダイヤトーンで鳴った音は、屈指の音!

【菅原】
ショックノイズがあまりにも強力だったんで、朝沼さん、ボリュウム下げるかな、と思ったら下げない。このへんが岩崎さん的だと思ったけれど・・・・・。
普通下げますよ、あれだけの音量が出たら。

【朝沼】
・・・・・(苦笑)。
ふだんはあんなことないんですけれど・・・・。
[:image4:](↑写真:余裕をみせる朝沼氏)

【菅原】
結局、そのまま走り続けて、チャールス。モフェットのバスドラムの連打!
ババババッって。

【佐久間】
あのへんでそうとうヤバイ雰囲気がありましたね。

【菅原】
そう。スピーカー飛ぶんじゃないかっていう雰囲気が漂った。でも、朝沼さん、アクセルから足が離れないみたいに、ボリュウムを下げないんだよね。ずっとフルアクセルで行ってる。それで、もう行くならいけと・・・・。

【朝沼】
行きたくなったんです・・・・・。

【菅原】
大迫力だったな。

【朝沼】
火花の出るような音がしましたね。

【菅原】
危ないってことはみんな思っていたんだけど、だれも止められない。
それでついにクラッシュ。
ウーファーが焼き切れてしまってバタッとこと切れた。
焼けにおいがして、煙が出て・・・・。
だからぼくたちは、あのスピーカーの限界の音を聴いたわけなんですよ。

【佐久間】
いや、限界の向こう側までいったのかもしれません。

【菅原】
興奮しましたねえ。

【朝沼】
心臓の鼓動がなかなかおさまりませんでした。

【佐久間】
いやあ、でもいい音だった。

【朝沼】
ほんとうですね。あれこそ、リアリズムですよ。

【菅原】
そういう際どい時って、興奮する音が聴けるんですね。

【佐久間】
スレスレのね。

【菅原】
ティールやクワドラチュアを聴いて、こういう音もいいななんて言っておきながら、
こういう過激な音を聴くと、やっぱりこれだなって思っちゃう。

【佐久間】
顔がニコヤカですよ。

【菅原】
心は千々に乱れています(笑)。

【朝沼】
ぼくは、2S3003は、これまで何度も自分でハンドリングしていますけれど、
いままで知っていた音の何倍も上の世界の音が鳴ってしまいましたね。
緊迫した美しさがありました。

【佐久間】
誤解されるのを承知で言えば、神がかった音がしましたね。

【菅原】
そうですね。

【朝沼】
こういうオーディオの瞬間って、何年かに1度ありますね。

【佐久間】
まあ、スピーカーを飛ばすことはないけれど・・・・・。

【菅原】
ぼくは、いいところに居合わせたわけですね。

【佐久間】
一夜の夢。
[:image5:](↑写真:ボーゼンとする朝沼氏,真剣なフリの菅原氏,早く帰りたい佐久間氏)

【菅原】
オーネット・コールマンは特別だけど、その前にかけた、コールトレーンもエリントンもよかったですね。

【佐久間】
シンバルも、コーントゥイーターから出てくるとは思えないような音がしてました。

【菅原】
あのシンバルの音は、JBLの375みたいな音とはまた違うんですけれど、
ダイヤトーンのトータルなサウンドのなかで聴くと、
あの音でぴったりはまっていましたね。

【佐久間】
低音も出すぎず、締まりすぎず、バランスがよかった。

【菅原】
 音量をそんなに上げなくても、音楽が迫ってくるし。
演奏のノリみたいなものが、正確に出て来たように感じましたね。だから、まったくアラを探す気が起きませんでした。エネルギー感も必要にして充分。エリントン楽団のバリトンサックス奏者、ハリー・カーネイの音もズーンと重心が下がってくれた。
 それから、シンプルな2ウェイ構成というのがいいんでしょうね。密度の濃い音がして、バラバラな感じがまったくない。

【朝沼】
ジャズの再生に必要な、音色美とか、スウィング感、エネルギー・・・・そういうものをこのスピーカーは、非常に高い次元で再現する能力をもっているということでしょうね。

【菅原】
こういう興奮する音を浴びせられて、幸せ者ですね。わたしたち。

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後者紹介ここまで

スピーカーをぶっ壊した犯人たち、メーカーをヨイショするのは
まぁ当然といえば当然でしょうが、それだけではない。
この夜のお祭り騒ぎは本当だった。そう信じたいものです(^^

この誌は捨てられず未だに保管しています・・・
Kindleでも何でもいいのでオンライン書籍化しないものか???

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