2個ある4Ωスピーカーを並列にしたら4Ω?(真空管アンプでバイアンプはNGなのか?)

日記・雑記
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最初に少しだけ思考実験。
ユニット単体で8オームのツイーターがあります。
ムンドルフの10uFフィルムコンデンサー1個を挿入して
シンプル-6dB/octなハイパスフィルターを形成して
低音を阻止する。
【問】
さて、このツイーターとフィルムコンデンサーを
合わせたインピーダンスは幾つになるでしょうか?
【答】
入力が10khzなら8オームとコンマ1程度?。
入力が1kHzでは18オームくらい。
入力が100Hzでは160オームくらい。
入力が10Hzでは1600オームくらい。
パワーアンプの8オーム端子に、このツイーターを接続し、
重低音ソースをガンガンに再生したら、パワーアンプから見た
ツイーターのインピーダンスは数百オーム相当かも???
※わたしは電気の素人です。間違っていたらゴメンなさい (_ _)
思考実験終わり。

皆さんは、Philewebの連載をご覧になった事はあるでしょうか?
今日はその一つの紹介とその他です。

林 正儀のオーディオ講座 – PHILE WEB
[:image1:]案外、こういった「オーディオの基礎」の内容の記事は
見過ごされがちですが、書籍にも負けない内容でとても良いです。
ベテランを自負されている方も、改めて目を通してみると
新たな発見があるかもしれません。
発見が無くてもゴメンナサイとしか言えませんが(^^;

小学校で習った、抵抗?。
4Ωを直列に繋いだら8Ω。4Ωを並列に繋いだら2Ωです。
それは抵抗器で成り立つ話。直流でも交流信号でも
理想的な抵抗器は周波数によらず一定の抵抗値を示します。
[:image2:]図:Thomannのアンプから取り外した抵抗器

しかし、相手がスピーカーだとそう単純ではありません。
以下は見慣れたスピーカーのインピーダンスカーブ(右)です。
[:image3:][:image4:]図:JAS JOURNAL 2021 WINTER 学生スピーカー製作レポート
  MTMスピーカ 「SUPERNOVA」の製作
  芝浦工業大学 オーディオ研究会 菅野 純
より転載

周波数によって一定ではないので、このような図があります。
インピーダンスの一番低いところが、大抵の場合、そのスピーカーの
公称インピーダンスとしてカタログ等に記載されています。

※絶対ではありません。「大抵は」そうだという事です。

普通、同形式のスピーカーを2台、並列に繋いだ場合は
インピーダンスは半分になります。これは間違いありません。

ただし、異なるもの同士だったらどうなるのか?

特に、
バイワイヤリングスピーカーの「ハイ側」と「ロー側」は
どのようなインピーダンス特性になるのか?
すぐに頭に浮かぶ人は少ないはずです。

分かっているのは、「ハイ側」と「ロー側」を並列に繋いだ時
そのスピーカーの公称インピーダンスになるという事だけ。
そのスピーカーの公称インピーダンスが4Ωだったといて、
「ハイ側」のインピーダンスが8Ω、
「ロー側」のインピーダンスが8Ω、そんな事になっていない事は、
すぐに想像できるでしょう。抵抗器では無いからです。

そんな疑問に答えてくれるのが・・・、
冒頭の「連載」です。

2007年 07月 26日 (木曜日)
第6回:スピーカーの仕組みを知ろう(3) ネットワークについて(前編)
[:image6:]
[:image7:]

●コンデンサーは直流を全く通しません。ブロックします。
もっと言えば低音をブロックします。高音はよく通します。
 (高音域ではインピーダンス低い。ケーブルと同等。)

●コイルは高音の流れを邪魔します。(インピーダンス高い)
でも低音や直流はスルーします。(インピーダンス低い。ケーブルと同等)

そんな風な事を図を使って著者は説明してくれています。

ですから、
4Ωを公称するバイヤイヤリング対応のスピーカーで、
「ハイ側」のインピーダンスが4Ω、
「ロー側」のインピーダンスも4Ω、なーんて不思議な事は
起こり得る事です。

抵抗器とは違い、スピーカーは
————————————————-
1.周波数によってインピーダンスの値が異なる
2.スピーカーの公称インピーダンスというものは『低いところだけ』
指し示していて、高いインピーダンスは 無視している 指標。
————————————————-
上記の2点の特徴があるからです。

小学校だけの知識ではこれは説明できません。
それどころか、
高等教育を受けていても説明できる人は
少ないのかもしれません。

話はこれで終わりません。ふと真空管アンプなどの
スピーカーターミナルを思い出してみます。
[:image8:]これは真空管では無いですが、スピーカーによって
「2Ω」「4Ω」「8Ω」どこのスピーカーターミナルに接続するか
決定します。これは厳密ではないですが、スピーカーのインピーダンスと
合わせておかないと設計してある性能が発揮できません。動作点がズレる?
こういう、ちょっと一風変わったアンプでは注意が必要です。
相手のスピーカーのインピーダンスが多少上昇したとしても、
それに応じて送り出すパワーが下がらないように電圧をグワッ!っと上昇させる事があるからです。※追記:電流帰還の要素があるアンプの場合を想定しています。

インピーダンスが4Ωだったのが、ある周波数で10Ωになった場合、
普通のアンプなら出力がガクーンと下がるだけです。問題ありません。
でも、こういう変わったアンプの場合は10Ωになっても
出力が下がりません。4Ωのときと変わらぬ出力を出そうと
スピーカーに送り込む電圧を上げて頑張ります。
※追記:電流帰還の要素があるアンプの場合を想定しています。真空管アンプの場合は8Ωや16Ωスピーカー出力端子を選択しなければ「変わらぬ出力」を得ることはできません。4Ωの端子のままではたぶん無理。

この ”頑張る動作” が、
『スピーカー端子を開放した状態で音量を上げてはいけない』
と言われる所以かも? 壊れるぞ・・・っと。 ※ド素人の妄言です
※追記:真空管アンプでスピーカー端子の開放はアウトプットトランスフォーマーの一次側の電圧が高くなり過ぎて耐圧オーバーやスパークして壊れるとか何とか。

負荷が巨大(インピーダンスが大き過ぎる)なので、
あっという間に、最大出力を出そうとアンプが頑張ってしまう???

関係ないですが、
拙宅の 至って普通の AVアンプ NR1711 も、スピーカー未接続で
音声信号突っ込んだ状態で音量だけ上げ行くと・・・一瞬発振したようになって
プロテクションが作動します。スピーカーを接続していない状態で
音量をMaxにすることは 出来ませんでした。
※出来るけどプロテクションリレーが働き、出力無しの状態。

閑話休題?(使い方に自信なし!)

そういう特別なアンプまたは、真空管アンプでもって
バイワイヤリングスピーカー の バイアンプ駆動 を 試みるときには
注意が必要です。というより、止めた方がいいです。

なぜなら
「ハイ側」は、低音域でインピーダンスが「大」。数十~数百Ω?
「ロー側」は、高音域でインピーダンスが「大」。数十Ω?
アンプの想定を越えてしまうから。
※古典的なマルチアンプ駆動はこの限りではありません。
 スピーカー内部のネットワークは撤去して、ユニット直結にするからです。
 逆に言えば、スピーカー内部のネットワークがこの問題の根っこ。

この問題の対策をするには・・・・
————————————————-
1.インピーダンス補正回路を追加
2.外部ネットワーク(チャンデバ)で予め 高音/低音 をカット
3.特別なアンプ(真空管アンプなど)の使用をやめて普通のアンプに変更
————————————————-
などの対策が考えられます。
[:image9:]図:高域側のインピーダンス補正の例
 (http://www.ne.jp/asahi/ryustech/koubou/audio_nouhau/MarutiAMP_kudou_6.-9.htmlより)

Nautilus 804 を バイアンプ駆動に改造?されて、
低音側・高音側の両方にインピーダンス補正を施して楽しまれている人も
いらっしゃいました。考える事は皆一緒(^ー^
http://www6.cncm.ne.jp/~shiro-f/bi_amp_hosei/bi_amp_hosei.htm より
[:image10:]t.shiroyamaさん情報ありがとうございます m(_ _)m

ちなみに、個人的な話で
私が JBL-4344 を真空管アンプを使ってバイアンプ駆動する際は、
JBLの指示の通りに、-18dB/octの外部クロスオーバー(チャンデバ)
を使い、ローをカットした信号を真空管アンプで増幅して
ハイ側のスピーカーターミナルに電力を送り込んでいる感じです。
(ハイ側を担当する真空管アンプには、スピーカー側でインピーダンスが「大」となる低音をカットした信号を入力している。)

※前述の外部クロスオーバー(チャンデバ)に-6dB/octを採用
 して、何だか音がキツい感じがする・・・という人は、
 低音の減衰が十分でないために (特別な) アンプに負担がかかっているかも?
 その場合はインピーダンス補正回路を追加するか、スピーカー内部の
 ネットーワークと同等の遮断特性のチャンデバを前段に挿入する必要が
 あるかもしれません。
(本来は、チャンデバがあるならスピーカー内部のネットワークは
取り外すかスルーするのが理想。特別なアンプではなく
普通のアンプに変更してしまうのも手です。)

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以上が、
「真空管アンプ」で、
「バイヤリング対応スピーカー」 を 「バイアンプ駆動」 する際の
注意喚起を目的とした日記でした。

★世間では『注意が必要だ』という情報を見かけませんので
★私が何かを間違っているのかも!?
 
(ここまで「真空管アンプ」「特別なアンプ」と文中で書いていたのは、
 アウトプットトランスフォーマーを背負ったアンプや
 電流帰還を用いたアンプの事を言っています。McIntoshでバイアンプ
 したのに「シングル接続の方が良いぞ?」と違和感を感じる人が居たとしたら?
 この日記がその違和感解消の一助になったらいいなぁとか思っています。)

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

<蛇足:DALIのカタログから>

■アンプ・フレンドリー
DALIでは、各周波数帯域でのインピーダンス特性は、スピーカーの重要な
尺度の一つであり、このインピーダンス特性はピークをできるだけ少なく
可能な限りフラットに近づくべきということを理想としています。
DALIのスピーカーは高域から低域まで非常になだらかでピークのない
リニアなインピーダンス特性を実現しています。このインピーダンス特性
がリニアであるということは、すなわちアンプの動作条件が改善され、
損失が極めて少なくなり、音楽信号を本来の形のまま再生することが
できるため、音の分解能やディテールを格段に向上させることにつながります。

参照:
https://dm-importaudio.jp/vc-files/dali/catalog/dali15.pdf

<編集後記>
昔は?スピーカー内部のネットワークは撤去、チャンデバを使った
マルチアンプ駆動が普通だったので?今回のような問題は無かった
と、考えます。しかし、近代では スピーカー内部のネットワークを
残したまま、複数のアンプで1台のスピーカーを駆動する
(チャンデバ不要の)カンタン複数アンプ駆動が可能な
バイワイヤリング対応スピーカーが多く出揃ってきて、
より一層、複数アンプ駆動を楽む・・・環境、裾野が広がって
良い感じがしています(^ー^
そうなってくると、改めて (林 正儀などによる)「オーディオの講座」が
大事だと感じさせられます。アンプの種類、選択方法やインピーダンス補正など。

『真空管アンプやそれと似た特殊なアンプでバイアンプはNGなのか?』
答えは、チャンデバを使っていればOK!!
てかそれって 普通の マルチアンプ駆動 そのものじゃん。
これを守らないとアンプに負担をかけることになる?
続編「McIntoshにみるバイアンプの動向」につづく

おわり

おまけ↓
——————————————————————
■特別なアンプの注意書き(恐らく電流帰還要素あり)
[:image5:]>Q:スピーカーが接続されていない状態で、電源をONにしてもいいですか?
>
>NuForceのパワーアンプ動作は、接続されたスピーカーも含めた
>フィードバックループを形成しています。
>そのため、スピーカーを接続しない状態で電源を入れて
>ボリュームを上げていった場合には内部動作が不安定になり、
>アンプ基板が損傷する可能性があります。
>[ご注意]
>電源を入れる場合には、スピーカーを接続していることを
>必ず確認してください。
http://www.fuhlen.jp/

■真空管アンプで出力トランス2次側開放で電源ONしたら壊れるか?
無負荷だと発振する真空管があるようですが・・・とりあえず、
イマドキ、5極管で無負荷とかでなければイキナリ壊れる事はなさそうです。
内部インピーダンスが高くて無負荷だとプレート電圧が上がり過ぎるからとか、無負荷のときだけ発生しうる発振があるそうです。
いきなり煙が出るでないにしても、愛機を無負荷にするのはやめた方が良いです。
参考にしたページ① 「DIYギターアンプ」
http://mykeita.blog59.fc2.com/?mode=m&no=468
参考にしたページ② 「真空管ギターアンプのスピーカーアウトさし忘れによる故障」
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q10242516425
参考にしたページ③ 「負荷を開放してはならない」
http://www9.wind.ne.jp/fujin/diy/audio/koushaku/amp00601.htm
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