先日の日記
2個ある4Ω スピーカーを並列にしたら4Ω?(真空管アンプでバイアンプはNGなのか?)
の続編です。
[:image2:]最近は、バイワイヤリング接続に対応したスピーカーが多くなり、
必然的にバイアンプ駆動にステップアップする人も多いのかもしれません。
この、チャンネルデバイダーなど難しい機材が必要ない
スピーカー内部のパッシブネットワークを活かした
なんちゃってマルチアンプ駆動の事です。
良い表現が見つかりませんが一般的には
「バイアンプ」というカンタンな表現で済ませているようです。
今日の話題は、これです。
サンバレー(SunValley)社では、独自に?
チャンデバのアクティブクロスオーバーと対比したかたちで
上記の「バイアンプ」を「パッシブバイアンプ」と表現しています。
「パッシブバイアンプ」はしっくり来ますが、他メーカーがこの表現を
採用する気配はありません。やっぱり単純に 「バイアンプ接続」かな。
AccuphaseでもMcIntoshでも、両者とも、
バイアンプ駆動を意識しています。
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■Accuphase A-75(ステレオアンプ)
[:image1:]図:カタログより転載(Dual Monoモードでバイアンプ接続します)
■McIntosh MC901(バイアンプ用アンプ)
[:image4:][:image2:]図:ホームページより転載(最初から Accuphaseでいう Dual Monoモード)
●Accuphaseは普通のアンプなので、何も心配する必要はなく、
カタログのように接続すればいいです。安心。
●McIntoshの方は・・・High側が真空管アンプという事もあってか一工夫あります。(Low側もソリットステートでありながらアウトプットトランスフォーマー)
[:image3:]図:上面のツマミ(レベルとクロスオーバー)
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注意:いずれの場合も『ジャンパープレート』は”絶対に”取り外して下さい!!
McIntoshの方にありますクロスオーバー調整は、
実はクロスオーバーではありません。
チャンネルデバイダーやクロスオーバーネットワークの代わりになるものでは無いです。
低域出力ではハイカットを施し、高域出力ではローカットを司るためのフィルターです。※厳密にはそうだと『思う』。説明書を読み解く限りは。
ツマミがクロスオーバーではない・・・。それについて補足します。
下記はMC901のマニュアルからの転載です。
[:image5:]ここは、’スピーカー側の’ クロスオーバー周波数をセットします。
厳密なものではなくてある程度自由に設定できます。
”アンプの” 「遮断(カットオフ)周波数」でもなければ、「クロスオーバー周波数」でもありません。 そこにご注意ください。
釈然としない人は以下のようにマニュアルを読み進めて見てみましょう。
[:image6:]図:MC901マニュアルに赤で追記したもの
ツマミをスピーカーのクロス周波数100Hzに合わせた場合、
アンプの周波数特性は100Hz前後はまったくのフラットです。
つまりスピーカーのクロス付近に影響を与えません。
音質的な配慮かな?。
スピーカーのクロス付近に、外部から別のクロスを与えるとせっかくのスピーカーのネットワーク特性、スピーカーメーカーが設計した特性が崩れます。ですので、McIntoshをお手本に?カットオフ(遮断)周波数は、スピーカー本体のクロスオーバーから(通過帯域とは反対側へ)十分に離れた場所に設定するべきです。そのようなメッセージなのかもしれません。(プロフェッショナルオーディオ分野ではお馴染み、DSP内蔵パワーアンプと同じような使い方は出来ないように敢えてしていると思われます。目的というか、用途が違う。これはスピーカーの周波数分割をするためのものでは決してなく、自らの動作条件を最適に整えるためのフィルターであると、そう言っているようです。)
******************自分用メモ********************
アクティブフィルターを重ねる場合?、
カットオフ(遮断)周波数を1オクターブ以上離してあげないと
(位相の回転により)アンプが発振してしまう。
そんな事を何かで読んだ気がします。
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例:スピーカー側のクロスオーバー周波数が100Hzなら・・・
外部ローパスのFc(カットオフ)は500Hz
外部ハイパスのFc(カットオフ)は 35Hz
※MC901の取扱説明書の図(Figure.18, Figure.19)から、
ツマミを100Hzにした場合のFc(-3dBポイント)の読取値。
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一般にカットオフ(遮断)周波数というのは、減衰しはじめて
3dB落ちた場所の周波数の事を指します。
上図ではそれは500Hzに相当しました。スピーカーにもよるので
一概には言えませんが、ハイとローのクロスオーバー周波数はもっと高い場所にあります。いろいろな 名称 の 周波数 が ありますけれども、簡単な図でそれを示せば このようになります。
ONKYOのホームページから図をお借りしました。
[:image7:]
このようなバイアンプ駆動の深層は、一から頭で考えると本当に大変なのですが、各メーカーの取り組みによって、それが説明出来るようになってきました。
2020年04月、MC901が世に出て、ホームページで解説を掲載したこ功績が大きい?。転載ここから。
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Vacuum tubes do not perform at their best when they are amplifying lower frequencies that are not being used by the loudspeaker. With the MC901, the vacuum tube amp will not be burdened with low end reproduction as the solid state section will drive these frequencies. The two amplifier sections of the MC901 are designed to work together in a synergistic relationship and are specifically engineered to assure that each section only amplifies its intended frequencies. Each amplifier section has its own discrete power supply so neither siphons power or performance away from the other. All of this results in easy bi-amping with unparalleled performance and sound reproduction from your speakers.
> 真空管は、スピーカーで鳴らさない低音を増幅している場合、
> 最高のパフォーマンスを発揮しません。
>
> MC901を使用すると、ソリッドステートがこれらの周波数を駆動するため、
> 真空管アンプに低音再生の負担がかかりません。
>
> MC901の2つのアンプセクションは、
> 相乗的な関係で連携するように設計されており、
> 各セクションが目的の周波数のみを増幅するように特別に設計されています。
> 各アンプセクションには独自のディスクリート電源があるため、
> 電力やパフォーマンスを他のセクションから吸い上げることはありません。
> これらすべてにより、
> 比類のないパフォーマンスとスピーカーからのサウンド再生を備えた
> 簡単なバイアンプが実現します。
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転載ここまで
※中・高音を担当する真空管セクションに対して、低音カットするのは
壊れるからという理由ではなく、性能を発揮させるため。
前回の日記を読んで、真空管アンプでパッシブバイアンプ駆動すると
”壊れるのかも?” と心配された人は心配無用かも。
バイアンプ駆動時には
外部(アンプ)側のカットオフ周波数をスピーカーのクロスポイントから
離した方が良さそうだというのは初見でした。
言われると「なるほど~」という感じです。
JBL4344の時代は・・・外部デバイダーのクロスーバー周波数の
指定があったので悩む事はなかったです。内部ネットワークでは
クロスオーバー320Hz,外部なら290Hz 18dB/octを使えと。
これはJBL社が内部のネットワークとの兼ね合いから出した数値なので
厳密に守る必要はありますが、この日記で取り上げていますバイアンプ。
巷の、バイワヤリング対応スピーカーをバイアンプ駆動する方法では
そこまでの厳密さは必要なさそうです。McIntosh MC901のように
クロスから離れた場所でお好みで微調整するが良いのでしょう(^ー^
■おまけ(MC901の取扱説明書より)
MC901で両方のツマミを1kHzに設定した場合のシミュレーションです。
普通ならクロスするはずですが、クロスポイントが存在しません。1kHz前後は完全に重なり合います。この図から、ツマミが ”アンプの” クロスオーバーでない事が分かります。”スピーカー”のクロスオーバー周波数を見て、このツマミに入力する感じです。そうすればスピーカーのクロスポイントを乱さずに、ローカット、ハイカットしてくれます。親切設計(^^
[:image8:]Figure.20 クロスポイントが存在しない (クロスバンドだ)
Mcintosh MC901の例を見てきましたが、
これを見てしまうと、スピーカー内部にネットワークを残して外部でもフィルターをかける二枚屋根?な構造では・・・・やはり、
Fc(カットオフ(遮断)周波数)の近いフィルターを複数重ねるは避けた方が良さそうです。今まで余り意識していませんでしたが・・・(反省)
※Accuphaseなど普通のアンプの場合はこの限りではありません。
[:image9:]図:ハイパス・二枚屋根のイメージ
上の屋根が大きくて、下の屋根を覆ってしまうと、
下の屋根には雨が当たらない・・・。
下の屋根、スピーカー内部のネットワークに、
本来の屋根の仕事をさせるためには、
上の屋根は出しゃばってはイケナイ。
上の屋根はスピーカーのインピーダンスが高くなり過ぎる周波数帯域をカットする働きをして、下の屋根は本来のスピーカーの周波数分割のお仕事に専念する。マッキンMC901とスピーカー分業体制が見えてきた?
●既存の真空管アンプを用いたパッシブバイアンプ構成に
MC901のような ローカットを施すには?
[:image10:]中・高音を担当する真空管アンプのカップリングコンデンサ(C2)と
抵抗(R2)から構成されるハイパスフィルター(HPF)の
Fc(遮断周波数)を、赤で示した抵抗を追加することにより
Fc(遮断周波数)を DC(直流)近くから、100Hz近くへと
押し上げると良いかもしれません。
マッキンの言っている事が正しければ、アンプが低音を増幅しなくて
よくなって余裕が生まれて音質向上する・・・かも。
ツイーターを駆動する高音セクションの、「真空管」や「アウトプットトランスフォーマー」を「重低音で」フルスイングさせているのはナンセンスですしね(^_^;。そんな事さえさせなければコアボリュームも大きくなくていい訳ですし・・・。小型の良質なトランスが採用出来たりするかも?
※「R2」と「追加抵抗」の合成値が10kΩを下回らないように注意。
前段の機器が負荷600Ωに対応しているなら600Ωまで下がってもOK。
※Accuphaseなど普通のアンプの場合、このローカットは意味ありません。
※私は電気の素人です。書いてある事を鵜呑みにしないように!!
すべては自己責任で!!
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