この日記は先日の?helicats様の日記「パソコンで歪率の測定をしました。」に
触発されて書こうと思い立ったものです。
こちらの内容は、私が過去に思いもつかなかった比較。
矩形波と三角波の歪率の理論値に言及されてその理論値とPC測定値の比較をしようというものでした。非常に興味深い日記でした。そこに触発されました。
PCで測定と聞くと 当然?
『理論値 と 歪率計 の 比較』 も したくなるものです。
それが本日の日記になります。万人向けに細かい事は省略して淡々と紹介してみます。
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で、いきない出落ちですが
私はマトモな波形生成器(ファンクションジェネレーター)を所有しておりませんで、簡易的にパソコンの波形生成ソフト WaveGene(efu様作)を使用してパソコンに接続のDAC(Topping製 UDB-DAC D10)から信号を出力します。出落ちというのは・・・一般に、CDプレーヤーやDACからはまともな矩形波は出力できない!!という事実です。
程度の差はあれど、皆様のDACから矩形波を出力するとこんな波形になります。
(例外的に、最近流行のR2-R型DACなら矩形波も綺麗に再現しますが)
↑図:Topping D10Sから出力の1kHz矩形波の観察
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以前にも一度紹介しましたが、ふたたび
AudioDesign社のコラムから画像を紹介してみます。
引用ここから
CDプレーヤーが言いました「私脱いだら凄いんです」 -知っているようで知らないCDプレーヤーの怖さ-
引用ここまで
new_western_elec様は レコードの矩形波応答も記事にされています。
こちらも少しだけ引用をば ここから
引用ここまで
つまり、DACが矩形波を綺麗に再現できないからといって
落胆する必要は全く無い!! ということですね。レコードだって矩形波を再生したらリンギングっぽいのが出る。
もちろん綺麗に再現できた方が気分は良いのですが・・・
20kHzだとか40kHzだとか低いところが上限の限定的な周波数帯域では
原理的に矩形波の再現は不可能なんですね。
(例外的に、最近流行のR2-R型DACなら矩形波も綺麗に再現します)
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というわけで(前置きが長い!)
今回は 三角波 だけにフォーカスします。 三角波も 矩形波とおなじく 無限に近い 奇数次の高調波を含むらしいですが、上の帯域に行くに連れ減衰するらしいので矩形波ほど再生が難しいわけではありません。
↑図:Topping D10Sから出力の1kHz三角波の観察
安価なDAC、D10Sでも 見た目にはふつうの三角波ですよね(^^
ここで三角波の歪み率のおさらい。
真空管オーディオの実験部屋様
引用ここまで (赤線は nightwish_daisukiが入れた)
よく理解できていませんが、三角波の歪み率は計算上で
10.3%らしい。 そして、筆者さんが歪み率で測定してみたら
12%だったらしい。
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そろそろ実測です(遅い!)
使用する歪率計なんですが、私は高価で校正もしっかりした測定器をもちあわせていません。
というか校正サービスが終了した古い製品ばかり・・・。
これを聞いた時点でページを閉じる人もいらっしゃるでしょう。気持ちはわかります。閉じてもらっても大丈夫です。。。
私は古い測定器を複数台所有して、相互に測定値を観察しています。おかしい値を出すようになった測定器は、前線からは退いてもらっています。このように複数台、似たような値を指す測定器を持っていれば・・・メーカー校正せずともアマチュアが趣味で使うには十分な?結果を得ることができます。 セルフ 相互プチ校正?
↑図:三角波を歪み率の測定の様子(最下段は前線を退いた測定器)
最上段の測定器は歪み率(THD+N) 12% を指しています。
真空管オーディオの実験部屋様とまったく同じですね。
2段目と3段目はアナログメーターなので読み取り方が少しわかりにくいですがフルスケールで30%のランプが点灯していますので針を読み取ると・・・・
2段目が 12%、 3段目が13% を指しています。
3段目はともかくとして、12%っぽい事がわかりますね。
余談になりますが 3段目の歪率計は
フルスケール30%のレンジでの歪み率を本当の値よりも多めに指す傾向がありそうだと考察できます。
とはいえ、こんな数十%もの歪み率を アンプやDACで測定する事はあり得ないのでオーディオ分野ではこのレンジの不調は無視できます。
オーディオ趣味では0.1%の歪み率を持つ供試信号をちゃんと0.1% ±0.2%、 0.03%の歪率を持つ供試信号をきちんと0.03%±0.05くらいの精度でもって指示してくる性能があれば個人的には合格にしようかなと考えています。
メーカーはどんな条件で歪み率を測定しているのでしょうか?
実はそんなにメーカー間で統一された決まりごとがあるようで実際は無い(使用する測定器も測定条件も統一されていない,測定条件は最低限記載が必要だが不十分なものも少なくない?)のが現状のようです。
「情熱の真空管」で有名なぺるけさんのMy Tube Amp Manualから歪率のお話を少し紹介します。その辺りの雰囲気が感じられます。
LPFをかけるのが普通なので?無限の高調波を持つ矩形波や高調波を先にも述べたような
20kHzだとか40kHzだとか低いところが上限の限定的な周波数帯域で測定しても
理論値通りの結果が得られないことは何となく想像できます。CDは元より 20kHz(22.05kHz)以上の信号を記録できないし、当たり前の事ながら再生もできない。
※冒頭で書きましたが今回の測定に於いてLPFやHPFの介在が実際にはあるものの、測定器が違うと全くおなじ設定を施すことができない(条件を統一できない)ので、あえて測定条件は省略している背景があります。細かいことは省略して淡々と。。。と省略したことは本当は重要なこと。重要な事をこの日記は省略して書かれています。
余談おわり。とりあえず三角波の測定の結論?は・・・・
理論値 10.3%
実測値 12%
もう少し遊んでみます。
2段目の測定器と3段目の測定器は非常に近い値を出しています。
↑三角波:16% 今回の環境+設定では 値が大きく出るっぽい。(窓関数はHanningなんだけどなぁ何でだろう?)
ここで、helicats様のPC環境 三角波の測定値 を思い出すと・・・なんと 11.9% でした!! 今から見ると拙宅の歪率計と真空管オーディオの実験部屋様結果の12%と良く合致する値ですね(^^。 helicats邸の結果は・・・ 実は 凄く良い結果だったのかも?
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続いて正弦波!!
↑正弦波:0.007% スペクトルをみると50kHz以上にノイズが・・・
24ビット 192kHzサンプリングレートでAD変換取り込みしているので・・・可聴帯域外のノイズが THD+N に大きく影響しているっぽいのかも? そこで 96kHzサンプリングレートに落として50kHz以上の余計な高域が根本的に入ってこないようにしてみました。(歪率計では 80kHzローパスフィルターを入れてました)
それでも 0.002%かぁ。。。。
今回、アナログ信号の取り込みに使用した RME Babyface PRO FS の性能からすると 工夫したら もっと、歪率計に近い値を出せそうな気がするけれど。今日は時間切れ。
ここまで!!
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PCでの歪み率測定の先達で超有名なのは
善本様です。http://yoshimoto.a.la9.jp/
善本様は WaveSpectraを使って Tektronix社製の歪率計とほぼ同じ結果を叩き出すことに成功しています。この情報はとても参考になります。
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また、WaveSpectraの作者であらせられる efu様。残念ながらホームページが閉鎖されてネット上から消えています。でも、あるところにはあって今でもページを見ることもソフトのDLも可能です。
efuさんのページ(http://efu.jp.net)です。WaveSpectraで有名も有名。
現在は internet archive でクロール結果の閲覧が可能です。ソフトのDLも可能。
■消えたページ Since 1998/06/20
http://efu.jp.net
↓↓↓
https://web.archive.org/web/20191223114706/http://efu.jp.net/
サイト丸ごとコピーされて残っています。
internet archive は消えた過去のHPを閲覧するのに便利です。
まるで タイムマシーンのよう。
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オーロラサウンドさんの測定器の考え方 14分37秒~ です
耳が痛い(笑) 最新の測定器は羨ましい限り。
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コメント ※編集/削除は管理者のみ
nightwish_daisukiさんこんばんわ
前に測定して誤差が大きくてダメだと思っていましたが、
それほどでも無ような感じですね。
使えるといいな~
helicatsさん おはようございます
設定(サンプリングートやサンプル数、窓関数)で出てくる数字が違うのは分かっているので、PC測定した場合には歪率%とそれら変動要素を併記すれば 自分的には使えるかなぁと思います。(そんな思いから当日記のTHD+Nの数値が写った写真は、サンプリングレートと窓関数も写りこむ少し引いた画角を採っています。)
いずれにせよ同一条件で測定する事に心がければ、長期的な目でみて自分の作ったアンプの歪率が増えたのか減ったのか、相対的な比較はできるわけで。。。趣味の範疇では十分かも? PCで測定の歪み率(THD+N)の絶対値はあくまで参考値であって、メーカーが出してくる仕様(カタログスペック)と横並びで比較するようなものではないんだよって事が広く知れ渡るといいなと思います。
画像はとある否定論者さんの日記から(テスターはFFTしてないからなぁ・・・)
nightwish_daisukiさん
以前より不思議に追っていた事が有ります。
パルス信号でパルスの後にリンギングが発生するのは感覚的に理解出来ます。
不思議なのがパルスの前にも同じようなリンギングが発生することです。
リンギングが発生し始める時点では未来にパルスが来るかどうか分からないはず?
まるで未来を予測したようにリンギングが発生する。
物理的に予備動作が必要な事は分かるのですが、どうしてこんな現象が起こるのか不思議です。
ある種の戯言だと思って下さい。
helicatsさん こんにちは~♪
プリエコーは不思議ですよね。私も知識としては持っていても理解は全くできていません。DACのICで有名な旭化成のホームページには、プリエコーが音質にどんな悪さをするか?経験談が書いてあって面白いです。プリエコーの完全根絶の一つの答えが抵抗ラダー型(R2-R型)のDACであって、やっぱりそこを重視する人が居るから日本だとソウルノート、それに中国メーカーが製品を投入してきているんだろうなと思います。
【旭化成 velvetsound】
https://velvetsound.akm.com/jp/ja/stories/meister/meister-tutorial01/
わたしも調べていて知ったのですが、このプリリングングはデジタルだけではなくアナログフィルターでも発生するようなんですね。もっと恐ろしいことに録音やプロダクションの段階で・・・CDに落とす前には 20kHz以上をすっぱり落とせないと折り返しノイズが入ってしまう訳ですよね。で、スパッ!と切るとプリエコーが出る。でもそれをCDにしたら? プリエコー付きのアナログ信号をADCしてら記録されたデジタルデータにもエコーが入ってしまんじゃ? わからなくなります・・・
画像は「96kHzアップサンプリングでDolby TrueHDを高音質化
明らかな音質向上。制作現場の課題を技術で改善」より