レコーディングを見学しました (その1)

日記・雑記
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去る10月31日に友人のエンジニアに誘われて、レコーディングを見学する機会に恵まれました。

彼は、ヨーロッパの複数のメーカーやレコーディング・スタジオと契約して、製品の設計やカスタマイズを本業としていますが、レコーディング・エンジニアとしても活動しています。

私はオープンリールデッキやアンプの修理、メンテナンスをお願いしています。

今回のレコーディングは、以前このコミュでも話題になったChasing the Dragonという英国のマイナー・レーベルのBach Cello Suitesの最終章です。
http://chasingthedragon.co.uk/

録音場所は、ロンドン郊外南東部のSevenoaksにあるSt Botolph’s Church。この教会はJohnson首相の非公式別荘であるChevening Houseの敷地内にあり、静かな環境で録音には最適です。
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組曲の第1番から第5番は既に録音が終わっていて、この日の録音は組曲第6番と、第4番の第6楽章の取り直しが行われました。

独奏者は、第1番から第5番まではJustin Pearson。
https://www.nso.co.uk/about-nso/justin-pearson-general-manager-artistic-director
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第6番は、オリジナルに忠実に5弦のチェロを使用するためPedro Silvaという若い演奏者です。5弦のチェロを初めて見ました。
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録音機材は極めてシンプルです。
マイクは、バイノーラル録音用のNeumannのダミー・ヘッドと2本のNeumann U-47のアレイ。演奏者とダミー・ヘッドまでは1m強、マイク・アレイまでは2m強の距離です。
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その出力をカスタマイズされたFocusriteのマイクアンプでブースト後に分岐して、Nagra 6 (24-bit/192kHz WAV) 、Tascam DA-3000 (DSD5.6MHz)、Studer A810 (2tr/15inch)に入力します。コンプレッサーもイコライザーも無しのアマチュア録音のような構成です。
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録音は、基本的に楽章ごとに行います。演奏者が納得するまでということで、楽章ごとに通常は2から3テイク、この日は最大で6テイクまで録っていました。

録音後は、基本的に演奏の編集を施すだけで音を加工することは無いとのこと。
Chasing the Dragonの録音は、テープ、CD、レコード、WAV、DSD5.6のフォーマットで配布されます。

オリジナルのマスター・テープは編集され、1:1コピーで配布される販売用テープのマスターとなります。また、そのテープは、ロンドンにあるAIR Studioに持ち込まれ、マスタリング・エンジニアのJohn Webberがアナログ・レコード用のマスター・テープを作成するそうです。
https://www.airstudios.com/john-webber/

録音の詳細な様子については、その2以降で記します。

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