Pink Floyd – The Dark Side of the Moon 聴き比べ (その2)

日記・雑記
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先日のThe Dark Side of the Moonの各種音源を聴き比べる日記の続編です。

今回、比較したのは以下の4音源です。

① アナログ盤 EMS-80324 (Japan) 1974年

1977年に入手したもの。普段はダビングしたカセットテープで聴いていたので盤もスリーブも状態は良好です。付属のポスターやポストカードも有りますが「帯」を紛失してしまいました。残念。日本盤は欧州でもオリジナルに次いで人気があり、「帯」があると一段と価値が上がります(売りませんが!)。

② SACD/CD マルチレイヤー盤 TOGP-15001 (Japan) 2003年 オリジナル盤リリース30年を機に発売されたマルチレイヤー盤。日本出張の際、2003年に購入しました。5.1chも収録。発売当時、「高音質盤」と評価されました。

③ SACD/CD マルチレイヤー盤PFR24/19075810332 (US) 2021年 米国Analogue Productionsによるオーサリングで米国盤と称されていますが、ディスクは日本製です。

④ 2track/15ips テープ – 2016年に友人から頂戴したもの 当地の友人が「あるSafety Master Copy」 からダビングしたもの。音の厚みを重視して通常のキャリブレーション・レベルより+3dBで録音しています。

再生は、スピーカーがB&W800D3、プリアンプはMark Levinson No.32、パワーアンプはMcIntosh MC1.2KW(低域)、First Watt SIT-1(中高域)のパッシブ・バイアンプです。ソース機器は以下の通りです。

① アナログ・レコード

TechDas Airforce One

  • 光カートリッジ: DS Audio DS003 + Graham Phantom II + DS-E1
  • MCカートリッジ: 光悦 Onyx Platinum + SME 3012R Special + 光悦 MCトランス+ Mark Levinson LNP-2L

せっかくのダブルアームなので、光とMCの2タイプのカートリッジで聴きます。

②③ SACD Roon Server + Symphonic MPD (AoE) + Holo May KTE (I2S入力NOSモード、PLLオフ)

部屋の都合もあるのですが、音の厚みと馬力に重点を置き、ラダー型マルチビットのMay KTEで聴くことにしました。

④ 2track テープ Studer A810 (2track 15ips, CCIR) 手許にある3台(Nagra T-Audio、DENON DH-710F)の中で一番音がニュートラルだと思うStuderを選択しました。

試聴では、前半の「Time」と後半の「Brain Damage」を重点的に聴きました。 Timeでは、まず冒頭のさまざまな時計の音が入り乱れる箇所で、上下・左右・前後の広がりと音の厚みを、続いて中盤からのギルモアのぶ厚いギター・ソロ聴きます。Brain Damageでは、やはり冒頭、ギターのリフと鼓動のようなドラムの中にボーカルが入ってくる辺りの各パートの分離と混ざり合い具合を聴きます。

① アナログ盤 EMS-80324 (Japan) 1974年

音場の厚みは十分。ベルの重量感もある。SACDとの比較では解像感に劣る。 音量を上げなくても聴きごたえがある。

光悦ではドラムのOff-beatがぼやける。その点ではDS Audioに軍配が上がるか。ただし光悦の方がアナログの良さが出る。

② SACD/CD マルチレイヤー盤 TOGP-15001 (Japan) 2003年

解像度の高い音。アナログLPでは少し聞き取りにくかった細部まで苦も無く聞こえる。音場の広がりはあるが充足感はアナログより劣る。全体的にアッサリしていて音量を上げたくなる。

③ SACD/CD マルチレイヤー盤PFR24/19075810332 (US) 2021年 アナログLPとSACD2003年盤の良いとこ取り(もちろん2003年盤に近い)。ベルの響きの厚みで2003年盤に差をつける。テープよりも細部にアクセントがあり、少しスーパーリアリズムのような描写となるが、デジタルのネガをあまり感じない。

④ 2track/15ips テープ

エネルギー感が半端なく、音が満ち溢れる。 音場の充足感では今比較でトップ。音場の広がり・深さともに最大。細部の描写にも優れるがその点ではSACDが上回る。ただテープの方が自然な描写に感じる。 ギター・ソロ、タムドラムのロールで他のメディアに差をつける。音の密度・質量感が素晴らしい。

音の評価は極めて主観的です。いつもそうですが、今回は更に憚らずに主観的に聴くことにしました。

2ch派として、音の動きやキレよりも充足感やエネルギー感を重視しました。広く柔らかく包まれるより、ギッシリとした音の圧力を感じたいということです。また、あの当時のアビーロード・スタジオで鳴っていた音をイメージして、それが一番格好よく聴こえる音が「正しく、良い音」だと考えて聴きました。 まあ、自分のイメージより音が立派もしくは新し過ぎると、「作り物感」がして音に浸れないという「オリジナルの呪縛」に嵌っているだけかもしれません。

 

「総評」

音の傾向は、アナログLPとSACD2003年盤が対極にあり、SACD2021年盤とテープがその間にあると言えます。総合的なクォリティでは、アナログLPとSACD2003年盤は同等で好みの問題、SACD2021年盤は更に上位にあることは間違いないと思います。

ただ、細かい比較などせず単純に「聴いた満足度」という点では「光悦」で聴いたアナログLPは素晴らしいです。この音が一番正解かもしれません。

SACD2021年盤は良い出来です。今から1枚だけ買うならこれだと思います。

それでも、時代と録音背景に思いをはせればテープの音の威力は他を寄せ付けません。拙宅のA810は30ips(76cm/s)対応ながら全くのノーマル仕様でヘッドアンプ部が弱く、そこを改造すれば解像度が向上することを申し添えます。

アナログはあらためてカートリッジやイコライザーの影響が大きいことを認識しました。誤解を恐れずに言えば、オリジナル盤、外盤、国内盤の評価を簡単にひっくり返すほど大きいです。

アナログやテープが回る光景はやはり良いです。音楽を聴く気持ちにさせてくれるという点でデジタルが到底及ばない何かがあります。音が出る前から嬉しくなります。

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※ソース機器の紹介にある通り、拙宅ではSACDも全てリッピングしてファイルとして聴いています。理由は、2010年にKLIMAX DSを導入して以来、ファイル再生に重点を移して来たので、SACDがかかるプレーヤーがOPPO BDP-105D J Ltd しか無いことと、OPPOでの再生であればRoon+DACの再生の方が音が良いことです(もちろん利便性も)。その点を斟酌して頂ければ幸いです。

※SACDのリッピングは、英国でも2015年の判例で私的利用であっても違法であることが明確になりました。日本と違い、メディアの複製はコピープロテクトの有無に関わらず違法になります。ただし、合法的に入手したメディアを個人的に利用する限りは違法であっても罰せられないと広く理解されており、リッピング行為は実質的に容認され、それに関する記事も多く掲載されています。これは2015年以前の経緯に拠るところが大きいのですが、ここでは説明しません。議論も遠慮させて頂きます。

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