後学のために、先日にパワーアンプブロック基板上のオ-バーホールのために外した電解コンデンサーの検証をしました(初販から27年経過、※実機が何年目の製造かは分からず)。
電解コンデンサーの劣化条件としては、漏れ電流、電解液の蒸発、静電容量の低下です。
なので、簡単に検証しやすい電解液の蒸発(重さ測定)と静電容量のチェックをしました。
証拠として画像撮影を出そうと思いましたが、数本出しても証拠にはならず、外したコンデンサーを全部出すととてつもない枚数になってしまうので、簡単に文章だけで説明します。
まず、取り外した電解コンデンサーは470μfが10本。4700μfが4本で、全本のミリグラムスケール測定で電解液の蒸発具合を簡易検証しましたが、新品コンデンサーとの比較でも、0.2gから最大0.3g程度しか重さが変わりませんでした。
ちなみに、以前に発熱の激しい某社A級プリメインアンプの電解コンデンサーの重さを何回か測定をしところ、1本辺り2g(新品8g)程度軽くなっていた事があり、同時にこれの静電容量を測定すると、やはり最大で32%の容量低下が起こっていた事もあります。
さて、終売から22年以上経過した電解コンデンサーの気になる容量低下ですが、高精度テスター測定の結果、470μFの静電容量は、測定10本中の最低の容量で463μFだったので、規定の1.5%弱の低下しか起こっていない事になります(新品の時点から1.5%低下している可能性も大いにある)。
確かにA級アンプでは容量低下が激しい傾向にあるのは間違いないですが、こと、AB級アンプではあまり神経質にならなくても良さそうですね。
ただ、特にバブル期の機材では、AB級でも中には発熱の激し目なのもあるので、一概にAB級だからOKという訳ではないです。発熱の激し目な機材は、大抵、Trのアイドル電流が高めに設定している事が多いですが(概ね、25mVを超えてくるとそんな感じ)
今回の測定結果は、同じ時期(モデル)の2台ともほぼ同じ結果だったので、これらが特別という事は無いでしょう。
以前、バブル期のAB級プリメインのコンデンサーを測定してみましたが、高級機ほど容量低下が少ない傾向でした(ローエンドの某大陸製は逆に酷い事もあり)。
ちなみに、測定コンデンサーはニチコンのVR(現行もRoHS指令に対応して存在)で、85℃耐温度で1000時間耐久とされています。
アレニウスの法則からVRの実耐時間を計算すると、シャーシ内温度35℃暴露で連続9年以上持つシャーシ内温度25℃暴露で連続7年以上持つ計算になります。
まあ、24時間電源入れっ放しでもしない限り、それ以上持つ可能性はある訳です。
あくまで可能性としてですが、今回の測定結果が証明しているとも言えますね。
漏れ電流ですが、電源を入れなかった期間が長いと値が大きくなる事がありますが、電源を入れて安定させると、コンデンサーの修復機能が働いて元に戻るのでこれも気にしなくても良いでしょう。
10年で電解コンデンサーが劣化すると言われていますが、あくまで発熱が激しい機材での話と言えそうです。
ちなみに、アキュフェーズのハイエンドに使われている105℃の1万時間耐久コンデンサーは、AB級ではほぼ半永久的と考えても良さそうです。
事実、アキュフェーズの見解で、特に電源ブロックでは20年、30年程度での交換は不要と言っていますしね。



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自己添削です。
>誤:シャーシ内温度35℃暴露で連続9年以上持つ計算になります
正:シャーシ内温度25℃暴露で連続7年以上持つ計算になります
アキュフェーズのAB級ヒートシンク剥き出しアンプは、筐体内(電源トランス、パワーブロック基板)温度はほぼ常温です(※夏はクーラー使用)。