ウィーンを訪れる機会があり本場のクラッシックを聞けましたので、少し音響環境などレポートしようと思います。Jazz聴きの素人クラッシック音楽探訪記です(笑)。ウィーンは歩ける範囲に音楽、絵画、歴史的建築などがてんこ盛りに存在する正しく芸術と歴史の町で、驚きでした。
主目的は勿論、いや一応”仕事”でしたので(汗、笑)、事前準備などは殆ど無し。出発直前に、ウェブサイトで、シュテファン大聖堂で開かれる小コンサートのチケットのみゲットして、後はクラッシック好きの方にとっては聖地とも言える楽友協会(Musikverein)の見学でもできればいいか・・と思っていました。Musikvereinをムジークフェラインと発音するのも帰って来てからAuro3Dさんに「ムジークフェラインも行って来たのですか・・羨ましすぎる・・」というメールを頂いて初めて知ったくらいです(笑)。ミュージックべラインかと思っていました、まあ、その方が意味はピンときますけど・・(爆)。
ウィーンの中心部はこじんまりした町で、地下鉄(Uバーン)のStephansplatz駅とKarlsplatz駅の間に、シュテファン大聖堂、国立歌劇場、ムジークフェライン、国立図書館、王宮、博物館(ピカソの絵など所蔵)などがあり、クラッシック好きの本会のメンバーの方は、この二つの駅の名を覚えていると、非常に便利かと・・・。これらの駅は隣接駅で歩いても20分くらいしか掛からない距離にあります。シュテファン大聖堂以外はKarlsplatz駅のすぐ近く。夕方になると、大聖堂の近くの通りに面したビストロの屋外席はワインやビールを楽しむ人たちで一杯、ヨーロッパの雰囲気満載でした。
7月、8月はウィーンフィルのコンサートや国立歌劇場でのオペラはお休みなんだそうです。でも、その間も、観光客向けのコンサートが毎日のように開催されているようでした。ウィーンフィルやオペラを見るなら5-6月か秋がベストかもしれませんね。
で・・以下、探訪記です。一つのはずが・・三つも聞いてしまいました(笑/嬉)。
1)シュテファン大聖堂、弦楽5重奏(Vivaldi、四季(Four Seasons))、開演時刻:8:15(18:15ではなく20:15です)
Stephansplats駅の目の前にある、大聖堂でのコンサートです。開演はどのコンサートも8:15なので、近くのビストロでゆっくり食事でもしてから来てね・・・なんでしょう!
大聖堂は以下の写真のように、町の離れたところからでも見える非常に高い尖塔があり、その横にこれもかなり背の高い教会が付随しています。教会の屋根は離れてみると綺麗な装飾模様があり、美しい建物です。コンサートはこの教会で開かれました。
内部は石造りで、幅・長さもかなりありましたが、何と言っても天井が非常に高い。椅子なども木製で吸音するようなものはほとんど無いので、残響はこの上なく長い感じでした。ミサの祈りが後方まで聞こえるための設計なんでしょうね。反響が上から降ってきそう!
そこでの五重奏団による四季の演奏は、敬虔な響きたっぷりでした。黒のドレスに身を包んだ第一バイオリンの女性を先頭に奏者が演台に現れましたが、その位置は、後方の壁からもたっぷり10m以上離れ、天上からは遥か下という所。もちろんPA無し、目をつぶると、五重奏団の音は5m位上から聞こえていました。四季の全曲+アンコール一曲が演奏されました。音量はいいとこ55-60dBくらいだったと思います。クラッシック初心者の私では、演奏の良し悪しなど分かりませんが、あの場所であのような演奏を聞けたのは大変貴重な経験でした。
2) モーツアルト・ヨハン シュトラウス…小コンサート(王宮近くの小さな会場)、開演時刻:8:15
シュテファン大聖堂の演奏で終わった・・と思っていたのですが、王宮の前を歩いていると、モーツアルト風の格好をしたおじさんが、コンサートのチケットはどうだ・・と声を掛けてきました。いや、もう昨日聞いたからね・・と返答をしたのですが、??別のがあるのかな?・・と思い返して、少し経ってから道を逆戻りして、まだチケット残ってる?・・どんなコンサートなのと聞くと、昨日とは違うコンサート!!
ついチケット買ってしまいました(笑)。しかし、一つ下のランクのチケットで、最前列の席を用意してくれたので、おじさんに大感謝です。
目の前で、小編成ですが、かぶりつきのコンサート(笑)。オペラッタやバレエも少しあり、触れそうな距離ですから、大感激でした。ただ、音響的には極普通の部屋。ただし音量的には85dBは軽く超えていたかも(笑)。アリアを歌った女性の声の凄いこと・・。声楽をチャンと学ぶとあんな声が出るんですね。
(コンサートの様子)
3) ウィーンモーツアルトオーケストラ(ムジークフェライン)、開演時刻:8:15
仕事であった人に聞くと、「ムジークフェラインのコンサートチケットが道端で売られているよ・・・」。何ということでしょう・・!(爆)
仕事の後にムジークフェラインまで歩いていくと、案の定、モーツアルトの扮装したおっさん(基、おじさん)がチケット売っていました。チケットあるかと聞くと、モチロンあるという返事。どうしよう、3回目か??でも、これが最後の機会だし・・・。迷いながらどの席が空いているかを聞いていると、また、一ランク下のチケットで、一つ上の席を用意すると・・。何時もこの手を使っているんじゃあないかと、訝りましたが、つい買ってしまいました。
ウィーンフィルの2023ニューイヤーコンサートのAuro3D版を購入して聞いていたこともあり、Auro3D友の会の方々も、興味を持つだろうということで、”仕事を終えた後に”行くことにしました。
第一印象は残響が長い・・でした。基本石造りなんでしょうけども、ここは教会と違って木製の内装がある(床も木製)ので、シュテファン大聖堂よりは短いですが、一般のコンサートホールよりはずっと残響が多い・長いと感じました。拍手の響きが耳に刺さるくらいです。それと、意外と狭い。横幅は一般の大ホールの半分くらいです。前方の演壇はそう高くはないですが、階段状に後ろに行くほど高くなっています。横幅が狭いので、ウィーンフィルのフルオケだと一杯になる広さだと思いました。
残響の長さと、広くはないことが理由かと思いますが、低音楽器がかなり響きます。つまり低音が比較的ドーンと来ます。ダブルベースは一本しか使っていませんでしたが、軽く腹に響きました。ムジークフェラインのコンサートを聞かれて、「床を這うように伝わってくる低音の豊かさが印象に残った」と仰る方がおられましたが、分かるような気がしました。
演奏は、写真のような具合でオーケストラとしては比較的小規模、オペラッタもあり初心者の私としては楽しいコンサートでした。モーツアルトの曲が殆どだったようですが、最後に美しきドナウ(ヨハン シュトラウス)、アンコールに観客にリズムに合わせた拍手を呼びかけるRadetzky Marschが演奏されました。定番なんでしょうね。ニューイヤーコンサートでも同じ曲を最後に演奏しています。ニューイヤーコンサートで少年合唱団が歌った場所は写真にも写っている2階バルコニーです(パイプオルガンの前)。オケの5m位上にあるようでした。私の席(12列目)から見ると、仰角15-20°。拙宅のロケットシアターでニューイヤーコンサートを再生すると、この辺りか、もう少し後ろから聞いたような高さに合唱団は聞こえますね。
ということで、楽しい探訪(いや仕事、笑)の旅でした。
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Tomyさん、こんにちは。
ウィーンで楽しんで来られたのですね。仕事の合間でしたか。。。Auro3Dさんのブログでも拝見していました。
季節的にはヨーロッパのバカンスシーズンで残念でしたね。それ以外の時期でしたら、毎日コンサートやオペラが各所で行われています。それでも、観光客向けのコンサートは盛んにおこなわれている様子ですね。
日記に書かれていますが、演奏とホールの大きさはとても大事と感じています。楽友協会ホールのよさの一つは、「その小ささだと」私も思います。観光客向けの”モーツァルト・コンサート”は編成が小さいですが、それでも十分聴けたのではないかと思います。(私も一度聴きました)
この3つですと、2)のサロンコンサートが最高だったのではないですか?
このくらいの空間で、アンサンブルとソプラノの身体に響き渡るような音楽が聴こえてくるようです。
羨ましい・・・また行きたくなりました。
ヒジヤンさん、
レス有難うございます。お待ちしてました!(笑)
今回の体験は、ホント予想以上でした。仰る通り、サロンのコンサートが一番印象的でしたが、どれも心に残るコンサートでした。最後のムジークフェラインのコンサートでは思わず立ち上がって、拍手してましたから(笑)。まあ、町全体の雰囲気もありますし、開演直前までビールを飲んでから、歩いて数分、もしくは一駅電車に載って、出て直ぐのところでコンサートですから、良い音に聞こえますよね!
ムジークフェラインの低音の話はヒジヤンさんの日記からの情報であったように思いますが、如何ですか?
初心者には本場の生演奏はホント刺激的。クラッシックファンになりました。
Tomyさん
ブログの記事を脱稿してこちらを覗いてみたら、きれいな写真をUPしてくれましたね!(ブログのレス欄には写真がUPできない仕様になっているのが残念…)
>クラッシックファンになりました
マジっすか?(笑)だったら、これからは「ダブルベース」ではなく、「コントラバス」ですよ!(爆)
冗談はさておき、Liveな空間での「コントラバス」(笑)の音は、ふくよかな温かみがあってClassic的には私は好きですが、Jazz聴きの方は、「ダブルベース」は音の芯が欲しいんじゃないですか?
ムジークフェラインでもしロン・カーターのコンサート(昔、village vanguardで聴きました!)があったら、観客からブーイングかも(笑)。
Auro3Dさん、
>マジっすか?(笑)だったら、これからは「ダブルベース」ではなく、「コントラバス」ですよ!(爆)
マジですよ。でも、Jazzが一番なのは変わりませんけどね。ところで、Jazzではウッドベースと呼ぶことが殆どですね!ダブルベースって、クラッシックの人が使う言葉だと思ってました(笑)。
>ムジークフェラインでもしロン・カーターのコンサート(昔、village vanguardで聴きました!)があったら、観客からブーイングかも(笑)。
ロン・カーター良いでけど、確かに、ムジークフェラインは合いませんね!
向こうの(笑)ブルーノートに来ないかな?
>ブログの記事を脱稿してこちらを覗いてみたら、きれいな写真をUPしてくれましたね!(ブログのレス欄には写真がUPできない仕様になっているのが残念…)
実はビデオも撮れたんですよ!
楽友協会大ホールの低音はしびれました。
下からわき上がる様な低音で心地よかったです。低音は下に、ピカピカの中域が真ん中にあって、上から降り注ぐような高音で、「これぞ音楽を聴くためのサウンド」と思いました。mixiの日記にはつばが飛ぶような日記を沢山書きました(笑)
ですが、やはり大編成オーケストラで豪快な曲が印象的でした。
第1位:マーラー交響曲第5番 アラン・ギルバート&ニューヨーク・フィル
この公演は、聴衆が興奮して終演後に総立ちでした。
第2位:チャイコフスキー交響曲第5番 イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管弦楽団
そして、アウェイのオーケストラの低音が爆音でした。普段の感覚で低音を鳴らすと、轟音になるんでしょうね。ホームのウィーンフィルは綺麗にしっとり聴かせる感覚でした。
でも足もとはビリビリしているし、明らかに床が鳴っていましたね。当時の感想は、「このホールで聴く音は、ホールが鳴っている」と言うものでした。帰国した日に床下に潜って、補強の束を外したり、緩めたりしたことが思い出されます。
https://mixi.jp/view_diary.pl?id=1723177904&owner_id=20058209
ヒジヤンさん、
>第1位:マーラー交響曲第5番 アラン・ギルバート&ニューヨーク・フィル
この公演は、聴衆が興奮して終演後に総立ちでした。
第2位:チャイコフスキー交響曲第5番 イヴァン・フィッシャー&ブダペスト祝祭管弦楽団
これはニューヨークフィルとブタペスト管弦楽団をムジークフェラインで聞いたということですか?
私は春の祭典も聞いてみたいです。
Tomyさん、YESです。
ベルリンフィルもこのホールで聴きました。
ベートーヴェン交響曲第5番とシュトラウスの交響詩”ツァラッストラはかく語りき”でした。
https://mixi.jp/edit_diary.pl?id=1844342804
振り返ってみると5番が多いですね。
「ベルリン・フィルの血沸き、肉躍るようなアドレナリン・サウンドを堪能させてもらいました。」と記録していました。
ウィーンには世界中から一流の音楽家たちが集まって来ますから、本当に「音楽の都」です。
「春の祭典」も凄そうですよね。
自分は単身で音楽旅行&オーディオ修行のために6回も1都市滞在しました。
是非、再訪されてください。
ヒジヤンさん、
>自分は単身で音楽旅行&オーディオ修行のために6回も1都市滞在しました。
6回もですか!!
そのうち少なくとも三回はウィーンですよね!素晴らしい。Karlsplatz駅付近は目をつぶってても歩けそうですね(笑)。あの環境(近くのホテルに泊まって、ゆっくりと夕食を取ってからコンサートに出かける)は日本ではなかなかできない環境であることも、魅力の一つですよね。近くにホテルを取ることはできても、開演時刻20:00は日本ではあり得ないです。ムジークフェラインではインターミッションがあって、その際、ワインやシャンパンを飲めたんではないですか?
Tomyさん、懐かしいです。
自分がオーディオ修行の旅に出ようと決意したのが、2011年でしたので十数年前の話になります。それから、年に2回ずつ一週間程度の滞在をしていました。
>ムジークフェラインではインターミッションがあって、その際、ワインやシャンパンを飲めたんではないですか?
自分は酒が弱いので、一度飲んで爆睡してしまいましたので、それ以降は止めました。
宿泊は殆どがカールスプラッツ周辺のホテルに滞在しました。楽友協会ホールにもコンツェルトハウスにも国立歌劇場にも歩いていけるからです。一度は、教会巡りをするためにシュテファン寺院の目の前のホテルに滞在したこともありました。ここからでも歩いていけますし、地下鉄で1分くらいですね。
ホテルには冷蔵庫がないので、洗面ボールにアルプスから来る冷水を浸し、ワインとチーズとフルーツを冷やして飲んでいました。
なぜオーディオ修行なのか?と言う話は、自分の日記”楽器の科学”のオーディオへの落とし込み日記に書く予定です。本当に懐かしいです。
Tomyさん 仕事でウィーン滞在なんて 何とも うらやましい。
本当に仕事なんですか??
昼間は カメラ担いで 夜は コンサート三昧。いいですね。
来年こそは いけるかな?
X1おやじさん、
レス有難うございます。
>本当に仕事なんですか??
ええ、ホントに仕事でした。こんなにコンサートに行けるとは思っていなかったので、非常にラッキーでした。
>来年こそは いけるかな?
是非、行って聞いて見て下さい。お薦めです。オーディオの楽しみも倍加するのではと思います。
Tomyさん、
ウィーンで音楽を楽しまれた様子を楽しく拝見しました。
私も初めてのウィーン訪問は仕事の帰りに立ち寄った時でした。
オペラ座の近くでモーツァルトの格好をしたチケット売り(私の時は学生のアルバイト風でした)から声をかけられてその晩のムジークフェラインのコンサートに行ったのも似ています。(笑)
もう20何年も前のことだったと思います。
シューボックス型ホールの典型というべきムジークフェラインの濃密な音はすごく印象に残っています。
大聖堂の中に入ったことはないのでそこで音楽が体験できたのはうらやましいです。
ウィーンはきれいな街なのでまた行ってみたいです。
K&Kさん、
レス有難うございます。
K&Kさんも行かれた経験があるのですね!ウィーンはホントに素敵な街です。できるならもう一度行って、ウィーンフィルとオペラを見てみたいです。日本の演奏会場はどこも比較的良く似た音響環境のように思いますが、現代的な音響環境とは一味違う会場でのコンサートは格別でした。
Tomyさん海外出張の合間?にコンサート三昧って羨ましい限りですね。
小生も海外出張ありましたが昼は仕事で夜は駐在員や取引先との会食で潰れたので、シドニーオペラハウスしか経験ありません。
大阪のいずみホールはムジークフェラインを模して作られた小ぢんまりとしたホールなんですがサイズ感も似ているのでしょうね?
Tomyさんは関西在住とのことですので、オーディオ的快感を得られるホールなら西宮北口にある兵庫県立芸術文化センターの小ホールお勧めします。
クラシックの室内楽の他クリスマス時期には澤野工房主催のジャズセッションもPA無しの生演奏が迫力満点ですから興味あれば行ってみてください。
参考に昨年のコンサート情報貼っておきます。
https://www1.gcenter-hyogo.jp/contents_parts/ConcertDetail.aspx?kid=5023313316&sid=0000000001
椀方さん、
レス有難うございます。
>シドニーオペラハウスしか経験ありません。
オーストラリア良いですね!私はシドニーは行ったことありません。また、出張でコンサートに行けたのは二回目で、多分最後かなあ~・・と思います。
>西宮北口にある兵庫県立芸術文化センターの小ホールお勧めします
ご紹介有難うございます。このホールで渡辺貞夫やKeiko LeeなどJazzの有名どころが公演をしているのは知りませんでした。是非行って見たいと思います。
いやいやTomyさんの日記にあてられて、虫が湧いて来ました。
このところは生ウィーンも卒業していたのですが、行きたい気持ちが溢れてきて止まりません。
オーディオのみでなく音楽の勉強も兼ねて行けますからね。コンサートにオペラにミュージカル、そして教会めぐり。音楽に関することなら何でも御座れの都から呼ばれている気がしてなりません。
ヒジヤンさん、
>いやいやTomyさんの日記にあてられて、虫が湧いて来ました。
良いですねえ!思い立ったが吉日ですよ(笑)!
クラッシック愛好家のウィーン再訪記お待ちしております。