イザベルファウストの奏でるバッハ無伴奏ソナタ&パルティータ

日記・雑記
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αGELをCDTからパワーアンプまで使用してからずっと聴いてきましたが、やはりSPからの振動伝播の影響が排除とは言わないまでも、相当弱められたのでしょうか、録音から自然な空間を感じられるアルバムが増えてきました。

そこでこのアルバムです。

イザベルファウスト(Isabelle Faust)は、ヴィジュアル的に華があるフレッシュな演奏者がコンサートシーンで話題をさらう風潮の中では失礼ながら比較的地味な存在であるが、その演奏キャリアといえば1987年15歳の時にレオポルド・モーツァルト・コンクールで優勝して演奏家としてスタート。
その後1993年パガニーニ国際コンクールに優勝後は、フランスに拠点を移して、リサイタルや弦楽四重奏、名だたるオケとのコンチェルトでの共演と充実したキャリアを積み上げてきている。

そのイザベルファウストが、最近リサイタルを行ったフィリアホールでの演奏会を聴いたマイミクの方からも、是非聴いた方が良いということから、手に入れたのがこの2枚のアルバム。

バッハの無伴奏ヴァイオリン・ソナタ&パルティータ集(BWV1001~1006)といえば、ヴァイオリン独奏の名曲であることは疑いも無い事実。
古今のヴァイオリン奏者がそれぞれ独自の演奏解釈で演奏し、聴く人それぞれが独自の名演を記憶に刻んでいる。

中でもパルティータ第2番の5曲目にある「シャコンヌ」は、リサイタルやアンコールで単独でも演奏される名曲と讃えられているが、この曲だけでなく曲集を通して聴いてこそのソナタでありパルティータだと思う。

2枚のアルバムは、後半のBWV1004~1006が2009年9月1-4日にベルリンのテルデックス・スタジオで前半のBWV1001~1003が2011年8&9月に同じテルデックス・スタジオで録音されているが、最初のアルバムはピリオド奏法と弓を使用し、2枚目ではモダン奏法と弓を使用していると記載してある。
楽器はいずれの録音も 1704年製ストラディヴァリス 「スリーピング・ビューティー」を使用している。

早速BWV1001から順に通して聴いてみた。

冒頭から一切の淀みがない音楽が紡ぎだされ、運弓・運指にあわせてヴァイオリンの弦と胴からバッハの調べがまるで伸縮する球の様に放射され空間を漂う。
それらの音が連なることで一つの音楽を構築してバッハの世界が開けるようだ。

耳を通して頭に体に浸透していく音楽に身を委ねる。

音が陰影を伴って連綿と連なり一つの音楽となっていく、抑制の効いた表現と柔らかな弓の運びから生み出される音の放射。
音楽自体がまるで生き物のように放出されてくる。

優しくあくまで優しく。
ヒステリックにツンザクような演奏スタイルを個性としている演奏家もいるが、イザベルファウストの演奏は一貫して優しくあくまで優しく。

目を閉じて聴くと、太陽から放射されるコロナのように音楽が球状のイメージから放射されてくるかのように感じる。
輻射熱で体の心から暖められるように音楽が浸透してくる幸福感。

2枚のアルバムを通して聴いた印象だが、モダン奏法とピリオド奏法の違いは、そういう意識で聴けば判るのだが、そのどちらも紛れもなくイザベルファウストの演奏だと判る。
2枚のアルバムを敢えて弾きわけて違いを出そうとしたわけではなく、バッハの時代のピリオド奏法をモノにした後により豊かな音楽表現を可能にするモダン奏法に進化したというべきであろう。

良いアルバムを紹介していただいたことに感謝。
この日記はブログでも。

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