3回目のワクチン接種の効果があるうちにと、今年はじめて PAC定期を聴いてきました。
昨年末以降のコンサートはすべて移住のバタバタとオミクロン株の蔓延で行くのを諦めて、関西在住の友人に代わりに聴きに行って貰っていたのです。
昨年9月にメンバーの入替があり半年が経ったPACオケのサウンドはかつてないほど分厚く重厚な響きに変化して好ましく感じました。
今まではどちらかというと管楽器パートのレベルが優っていましたが、今は弦楽器それもビオラやチェロ、コントラバスのレベルアップが目覚しく今後が楽しみです。
今回の指揮者は2024年に引退することを宣言している井上道義氏、ヴァイオリン独奏は、若くして著名なコンクールで数々の賞を取っている話題の服部百音さんで、プロコフィエフのVnコンチェルト第1番と交響曲第7番の2曲です。
今回の演奏プログラムは昨年春には予め決まっていたのですが、旧のロシア帝国時代に今のウクライナ東部で生まれた作曲家プロコフィエフの曲目だけというのは何かしら運命を感じます。
服部百音さんはとても小柄で華奢な身体ですが演奏中の表情は何かに挑むような厳しい目つきで何処かを見つめているよう。
プロコフィエフのVnコンチェルトは本人が一番弾いてみたかった曲だったとのことですが、フラジオレット奏法を多用した難解複雑な曲をアッサリ弾き切ったテクニカルな凄さとどこかでポキッと折れそうな危うさを見せたのです。
ところがアンコールで弾いたプロコフィエフの「3つのオレンジへの恋」からの行進曲では、行進しながら弾いたり指揮者のパントマイムに絡んだりとお茶目な面も見せたりして、流石に若くして海外の著名なコンクールに多数挑戦しただけの胆力も持っているのだと安心しました。
メインの交響曲第7番は第1番の古典交響曲に続いて有名な交響曲ですが、実演を聞くのは初めてでした。
何処かしらバレエ音楽と言われたらそうとも思えるような特徴的なリズムと緩急や明暗の唐突な切り替わり、時折効果的に使われるグロッケンシュピーゲルやシロフォンなど多数の打楽器群の響きは、誰が聞いてもコレがプロコフィエフの作品だとわかるもの。
プロコフィエフの楽曲はウクライナだとかロシアだとかの民族的アイデンティティを超えたモノに感じます。
同時代のロシアというかソビエト連邦の作曲家ショスタコーヴィッチの作風にも相互に影響受けているようにも思えたりしますが、それが20世紀の初めから激動の時代に生きた作曲家の世界観かもしれません。
ここで驚いたのはPACオケのサウンドがとても分厚く重厚に変化していたことです。
特に骨格を成す低弦楽器群の充実した響きが底辺を支えているのでメロディ楽器や打楽器が散りばめる音がとても光り輝いてるように感じました。
アンコールではプロコフィエフの交響曲第1番から第3第4楽章が演奏されて、2時間に渡るコンサートがお開きになりました。
アカデミーオーケストラとしてロシア出身のメンバーも居るので苦労もしているのでしょうが、オケのメンバーが一体となった演奏を通じて会場内を一体感で満たしてくれる音楽の強さを感じたひとときでした。
コンサートの後は久しぶりに梅田に出て友人と会食のひととき。
90分制限で追い出されるので結局2軒梯子してしまいました。
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