ドビュッシー好演二題:ドビュッシー四重奏団,マット・ハイモヴィッツ&児玉麻里

日記・雑記
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ドビュッシー没後100年の今年は、その楽曲の録音や演奏が
やはり増えている印象があります。
今晩は、そんな中、最近耳にしたり、目にしたりして
印象に残った演奏を2つご紹介します。

最初は『ドビュッシー…とジャズ~弦楽四重奏のための「前奏曲」
(Debussy… et le jazz)』です。
「Debussy… et le jazz – Quatuor Debussy and guests
(album presentation)」
https://www.youtube.com/watch?v=1A9HGSD3a24

作曲者の名を冠した弦楽四重奏団「ドビュッシー四重奏団」は
1990年結成ですから、もうヴェテランと言ってもいいキャリアなのですが
なぜかほとんどドビュッシーの楽曲を録音してきませんでした。
そんな彼らが満を持して(だと思うのですが)
このアルバムでは、ジャズ畑のゲストを招き、
ドビュッシーがピアノ独奏のために書いた
全2巻24曲から成る「前奏曲集」から楽曲を選択し
弦楽四重奏+ゲスト演奏というフォーマットで、演奏しています。
ゲストはジャッキー・テラソン(ピアノ)
ヴァンサン・ペラニ(アコーディオン)
フランク・トルティレル(ヴィブラフォン)
ジャン=フィリップ・コラール=ネヴン(ピアノ)など。

まず「前奏曲集」の弦楽ヴァージョンを私は初めて聞いたので
その新鮮な驚きがありました。
あのドビュッシー唯一の弦楽四重奏曲と比較しても
遜色のないできばえのアレンジなんじゃないかな~と感じました。
くわえてゲストの演奏がとても自然にそのアレンジに溶け込んでいる
そんな印象を強く受けました。
たとえば1曲目の「≪ C ≫の影響」
(「亜麻色の髪の乙女」と「奇人ラヴィーヌ将軍」をアレンジ)での
アコーディオンの響きは、
(意外性はないと言われそうですが)笙のような感じで
ジャポニズム風の趣を強めています。
9曲目の「ビュスィのブルース」(「ヒースの荒野」をアレンジ)
の冒頭でのジャッキー・テラソンのピアノは、
どことなくビル・エヴァンスを思わせ、
でも徐々にガーシュイン風のブルーズへと変遷していきます。
他にも洒落た趣向がアルバム全般に随所に感じられて
私は相当気に入りました!

次に、NHK・BSで9月4日に放映された『クラシック倶楽部』
「マット・ハイモヴィッツ&児玉麻里 デュオ・リサイタル」
https://www4.nhk.or.jp/c-club/x/2018-09-04/10/15696/1894463/
のご紹介です。

チェロのマット・ハイモヴィッツと
ピアノの児玉麻里とのデュオ・リサイタルでした。
曲目は放映順に
ベートーヴェン「マカベウスのユダの主題による変奏曲」
ドビュッシー「チェロ・ソナタ ニ短調」
プーランク「チェロ・ソナタ」

ハイモヴィッツの演奏は
Pentatoneレーベルと、彼が看板である「Oxingale Records」レーベルが
組んで出した数枚のアルバムの一部を聞いたぐらいで
あまりよく知らなかったというのが実際でした。。。
デュオのお相手である児玉麻里とは古くからの友人だったそうで
彼から児玉さんを指名したとのこと。
児玉麻里といえば、ベートーヴェンのイメージが
私にはあって、むしろドビュッシーやプーランクであれば妹さんの方かな~
と思っていたので、ちょっと意外な選曲でした。

果たして実際のところはどうだったか。
このデュオのコンビネーションは、なかなかいいな~と思いました。
どちらかと言えば、快活でメリハリのある演奏ではあろうと思いますが
児玉さんが番組中のインタビューで述べていた
ハイモヴィッツの弾くチェロの不思議な温かさのようなものが
全体のトーンをうまくまとめている印象が強く残りました。
ふくよかな中低音に支えられた彼のチェロは
そんなにケレン味にあふれるといった感じはなくて
しばらく聞いているといいな~と思えるような音でした。

さらに児玉さんは、彼の複雑な音楽的バックグラウンドが
その温かさを醸しているのではないかとコメントしていたのですが
これは児玉さん自身のバックグラウンドとも重なっているような
気がしました。
表面上の技巧の面ではない・なんともいえない音の含みのようなものに
この2人の音楽的な説得力があるように感じました。
興味を持たれた方は、オン・デマンドでも配信中です、ご一聴を。

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