2022年05月03日
我が家のハーベスのシステムで肝となっていたのは
Musical FidelityのパワーアンプF-15でした。
入力段に真空管ECC88を配し、出力段はトランジスタという
いわゆる真空管ハイブリット方式のアンプで
パワーも100W×2で、SPの駆動力もけっこうあり
A1から受け継ぐ暖色系の濃ゆくて太い音色と力強さを兼ね備えた
愛用の一品でありました。
ここ数か月、徐々に右チャンネルのレベルが下がってきているような
気がしていて、ちょっと測定でもしてみようと思い
周波数特性を計測したのがこちらでした。
(上が左チャンネル、下が右チャンネル)
やはり左と比較して右チャンネルの
500Hzを超えたあたりから3kHzぐらいまでの落ち込みが
気になります。。。
そんなこんなしているうちに、2週間前くらいに
ついに右チャンネルから音がしなくなってしまいました。。。
中古で入手してからも10年近くになりますし
発売以来20年以上経っている製品ですので
よくここまでがんばってくれたとの思いもある一方
はてさて、修理に出して直るものかいな~
どうしたものか。。。と思案し続けています。
というのも、パワーアンプが故障したとはいえ
ハーベスで音楽を聞きたいという思いはあるので
結局、現状、SPECのD級アンプRSA-M1をつないで聞いているのですが
その周波数特性も測ってみるとこんな感じ。。。
(上が左チャンネル、下が右チャンネル)
う~ん、先述の500Hzから3kHzの落ち込みは
傾向としては残ってるな~
つまりは部屋の特性も含めたセッティングの問題か。。。
ですが、それにも増してSPECのアンプも
なかなか健闘していることに心を動かされたのでした。。。
これはこれでありなのかもしれないと。
プリアンプの前段に真空管バッファーアンプを挟んでいるのも
実は我が家のシステムの音色を決めるうえで
大事な役割を果たしているのですが
そのせいか、D級とは思えない豊潤さは醸し出しているな~
ということなのでした。。。
では、それで決まり!というわけにはいかず
優柔不断な状態のままGWに入ってしまいました。
ひとつふたつ代替案は妄想しているのですが
とりあえずやはり可能ならばF-15の修理はするというステップは
踏むことになりそうです。。。
つまらない故障話につき合わせてしまいました。。。
こんな宙ぶらりんな環境下ですが
ハーベスにはまった音源に出会いました。
ロジャー・イーノの新作『The Turning Year』です。
「Roger Eno – The Turning Year (Official Music Video)」
https://www.youtube.com/watch?v=sNiIgA8JY4I
まあ、いつもの。。。といった感じは正直否めません。
ドイツ・グラモフォンからのリリース
そして収録はベルリンのテルデック・スタジオで
エンジニアは、トビアス・レーマンなのですが
イーノへのインタビューによると
https://www.udiscovermusic.jp/classical-features/roger-eno-the-turning-year-interview
レーマンのどうも遺作になりそうなアルバムなのです。。。
レーマンの手による(つまりはテルデック・スタジオで収録の)作品を
ここ数年、私は個人的によく聞いてきました。
レビューしたものも多く、
ポール・ルイス、イザベル・ファウスト、パブロ・エラス・カサド等々
枚挙にいとまがありません。
https://www.allmusic.com/artist/tobias-lehmann-mn0000618733
ドイツ・ハルモディア・ムンディを支えてきた
エンジニアといえるでしょう。
そうか、この音作りはもう新たには聞けなくなるのか
という思いはもちろんありますが
イーノのこの新作のタイトルやら
内外の諸情勢やら
果ては私個人のオーディオ環境の変化とも符合してきて
実に妙な気分です。。。
でもこのアルバムを聞き続けていると悪い感じもしないのです。
何かの終わりを暗示するだけでなく
不易なるものに思いをいたさせる感じもありますし
そしてそれは不安ではないですし
かといってまったくの平穏(平安)というわけでもない。
重くもなく、軽くもないという意味では
フラットなのかもしれないけれど
想像のベクトルはあらゆる方向に開かれている気がします。
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