すみません！やってしまいました。先日から何度か記載していたデジタルフィルタの音の違いについて、最新版の自作DACでは「設定の違いが反映されていなかった」ようです。真剣に対応して下さった方、読んでいただいた方にここでお詫び申し上げます。
お恥ずかしいところですが結構この部分についてアレコレと分析まで書いてしまったので反省しなければいけないところです。正直まだまだ自作精進が足りないなと痛感するところです。多分SRCを含むDAC設計をやったことある方はアレ？と思われたんじゃないかと思います。
ひとまず以下の該当記事については追記で注意書きを追加しておきました。
・ES9018は音が良いけど音が悪い？？
・DAC録音比較と自作DACの設計思想について
原因はCS8422のサンプルレートコンバータ（SRC）にデジタルフィルタが内蔵されていることです。このためWM8741上でフィルタ設定をいくら変更しても上流であるCS8422のフィルタタイプに依存し変化しませんでした（オシロ上で波形の変化を確認しました）。これはCS8422に移行してから一度もオシロで波形を確認していなかったのが敗因です。
改めてCS8422のフィルタ応答と、WM8741のフィルタ応答を貼り付けます。
[:image3:]
↑CS8422の応答
[:image2:]
↑WM8741内蔵Minimum Phase soft応答
[:image1:]
↑WM8741内蔵Linear Phase Apodisingタイプ応答
CS8422はMinimum Phaseによく似たプリエコーのないタイプです。WM8741のsoft-kneeよりエコー振幅が大きいので、WM8741内蔵でいうとMinimum Phase Apodisingに近い応答でしょうか。CS8422のデータシートを見るとPassband Rippleがかなり大きいので、厳密に言えばWM8741内蔵のもののほうが高性能だと思います。しかしStopband等の性能はWM8741に引けはとっていませんから決して悪いものでもないはずです。
SRCでこのタイプのフィルタを使っているのは珍しいです。（ソフトメインですが以下SRCの比較資料）
http://src.infinitewave.ca/
これに合わせて以前の録音ファイルも全てUPしなおしました。WM8805仕様DACはSRCはないのでフィルタ設定が有効ですので比較用はこれを使いました。また以前のレビューにおいては、それぞれのフィルタの音の差について以前に比較した時の記憶で書いているので修正はないです。
またCS8422は上記の通りMinimum Phaseに近い応答ですから、ES9018との比較におけるLinear Phaseとの音の差についての考察については概ね大丈夫かと思います。これでCS8422が実はLinear Phaseだったら完全な駄耳確定になるところでしたｗ
■CS8422版
自作WM8741 (CS8422内蔵、Minimum Phase Apodizingに近いタイプ)
http://movieplanet.dyndns.org/~Innocent_Key/data/yohine/test/CS8422.wav
最新版の部品実装のものです。
■WM8805版
自作WM8741 (Linear Phase Apodizing)
http://movieplanet.dyndns.org/~Innocent_Key/data/yohine/test/L-AP.wav
自作WM8741 (Minimum Phase Apodizing)
http://movieplanet.dyndns.org/~Innocent_Key/data/yohine/test/M-AP.wav
自作WM8741 (Minimum Phase Soft)
http://movieplanet.dyndns.org/~Innocent_Key/data/yohine/test/M-SF.wav
CS8422版よりもクオリティは落ちますが、フィルタ応答の比較ができます。
やはり録音での違いは微妙ですが、CS8422版とWM8805版は結構違うのではないかと思います。ただし私自身は音の違いを知っているので思い込みもあるかもしれません。
ということで思いがけずSRCを使うことの問題点にぶち当たったわけですが、TI社のSRC4392はフィルタ設定をパスできそうなので本当にWM8741の実力を引き出すためにはSRC4392+WM8741のバイパスを試さなければならないのかもしれません。しかしこの上流フィルタの設定が支配的という特性を生かして通常のLinear PhaseタイプのDACをならしてみるというのも面白そうではあります。
コメント ※編集/削除は管理者のみ