以前こちらで紹介して頂いたJFSoundsというマグネシウム線材を特徴とした会社のスピーカーケーブル「MS227C」を試す機会を得たので前回のRCAケーブル比較と同様手元にあるスピーカーケーブルと比較しました。
ご参考:philewebニュース
1. 比較したケーブルと定価
JFSounds MS227C 2mペア、1万5380円
CARDAS Cross 2.5m 13万6000円
CARDAS Golden Cross 2m 26万9000円
CARDAS Golden Reference 2m 29万2000円
2. 比較順と内容
Cross → Golden Cross → Golden Reference → MS227Cの順に比較を行いました。
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10年以上我が家のメインスピーカーケーブルだった緑のCrossに久しぶりに戻してみました。
今改めて聞いても特に不満らしい不満はありません。この後聞くケーブル次第では不要不急な買い物を2つもしてしまった事になり頭を抱えてしまいました。
回転音源ちゃんと回ります、ボーカル遠くに定位します。Flower Crownボーカル生々しいですし低音の過不足ありません。鉱石ラジオ Tr10ではボーカルがちゃんと上方に定位し低音の沈み込み、スネアドラムのキレもまあ十分。水の踊りのギターもヴァイオリンもWorksⅠTr1のピアノもオーケストラも自然に響きます。
他を聞く前に現状であえて弱点を探せば、RCAケーブル比較の時と同じボリュームレベルなのに少し音量が小さく感じることくらいです。
モヤモヤした気持ちを抱え次は赤いGolden Cross。
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余談ですがスピーカーケーブルの入れ替えは大変です。一晩で4種類も聞くものではありません。
RCAケーブルでもそうでしたがスピーカーケーブルもGolden Crossは固いです。アンプ側は端子が狭過ぎてYラグが挟めないのでバナナプラグを使うのですがテクダスのロック機構をもってしても気を付けないと抜けてきます。
音はというと、同じボリュームレベルなのにCrossより音量が大きくなったように感じます。オーディオ雑誌的な言い回しを使うと情報量が増えたとかベールが一枚剥ぎ取られたとかかかっていたモヤが晴れたとかそういう表現になるのでしょうか。今年になって購入し半年程使っただけでしたがほっと胸を撫で下ろした瞬間でした。
回転音源の存在感が少し向上し、FlowerCrownのボーカルがより生々しくベースが旋律を主張するようになりました。鉱石ラジオ Tr10のドラミングがキレを増し特にバスドラが気持ちいいです。水の踊りではギター、ヴァイオリンのニュアンスの向上の他、鈴の音が良く通るようになりました。WorksⅠTr1では演奏から少し緊張感の様なものが感じられるようになりました。
黒いGolden Referenceに変えます。
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今回あえて最後にMS227Cをもっていく為に有り物ケーブルを通しで聞きました。
Golden Crossと比べてより自然になった大袈裟な表現が減った肩の力が抜けた、そういう印象です。太さはこちらの方が太いですが固さは同じか少し柔らかいくらい。きっとエアチューブが増量したのでしょう。
回転音源やFlowerCrownではボーカルやドラム、ベースといったそれぞれの音のニュアンスだけでなく空間で表現。まさにリファレンスといった表情を見せます。鉱石ラジオ Tr10のドラミングなどを聞いているとさらに情報量が増している様です。全体の音量もさらに大きくなったように聞こえます。もちろんボリュームレベルは変えていません。WorksⅠTr1ではハープとピアノが先ほどより美しく響きます。
やっと本題です。紺色っぽいMS227Cに変えます。
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バネ的な跳ね返りがそこそこあり、かつ軽いためインシュレーターから浮いてしまいます。
一聴してわかりましたがこれは価格差を度外視していますね!個々の楽器は良く鳴っており音離れが良く立体的です。GoldenReferenceに比べると音量が小さくなった感じがしますがCrossより大きい気がします。
まず回転音源。頭の後ろまでぐるぐる回ります。ボーカルも遠くに定位しますがGoldenらと比べるとやや近いというか浅いです。FlowerCrown。シビアに聞き比べれば相対的にボーカルがやや元気というか派手になる印象。鉱石ラジオTr10ではボーカルが他と比べるとやや低い位置に定位します。ベース、ドラム類は良好です。水の踊りでソロ楽器の音色をチェックするとギターもヴァイオリンも申し分ないです。
気になったのは定位。位置が他のケーブルとは若干異なります。高さ方向が総じて低めな感じ。もしかしたらと思い高さ方向の成分を含む鉱石ラジオTr11を聞き直してみます。するとやはり位相系の音が思ったほど上には定位しません。(位相系でスピーカーより外からスピーカーまで横移動してきてスピーカーの内側では上方向にアーチを描いて反対側のスピーカーへ、そしてまたスピーカーの外へという音が入っています)
オーケストラでは弦や金管の響きが綺麗です。全体にやや明るい表情にシフトする傾向でしょうか。じっくり聞くと奥行きよりも前に出る方が得意なケーブルのようです。WorksⅠTr1を聞いているとMS227Cは低音多めのオケも得意そうで良く鳴っています。
相対評価をまとめると…
GoldenReference > GoldenCross > MS227C > Cross
といったところでしょうか。MS227Cは中古5万クラスまでなら良い勝負になってしまうと思われます。
3. 評価環境、使用した音源と聞き所
評価環境はうちです。機器類はマイルームをご覧ください。スピーカーケーブルはナイロンブロックのインシュレーターと水晶片で浮かせています。
音源はRCAケーブル比較と同じく自分が普段使う音源にいくつか混ぜて1ケーブルあたり30分ほど聞き込みました。
Goddess in the Morning Tr2 Ucrine (位相系回転音とボーカルの遠さ)、Tr4 Flower Crown(ボーカルの生々しさ、位相系アウトフェーズ)
鉱石ラジオ Tr10 Welcome to Riskcaution Corporation(上下方向やや上目に定位するボーカル、位相系半回転と一番低い低音)、Tr11 チェコの夢 ~ Fall(曲の途中から連続低音)
ZABADAK Live Tr5 水の踊り(ライブ音源、ボーカル、ギター、ヴァイオリン)
久石譲 WorksⅡ Tr1 アシタカせっ記(グランカッサの波動感と観客席の咳払い)
久石譲 WorksⅠ Tr1 「風の谷のナウシカ」より(ピアノ、オーケストレーション)
新居昭乃 Red Planet (VTCL-60301)Tr4 ビーズ(継続型の低音とドラミング)
堀江由衣 WILL (TECI-1582)Tr1 Reset – A Cappella Version -(アカペラボーカルの存在感)
4. 考察
MS227C大健闘でした。要因はやはり制振材を内蔵しているところでしょうか。金額的にも物量的にも負担が少ないので片側に2、3本ずつ使う、ラダー化してしまうといった可能性が残されています。それで奥行きや上下方向などの苦手が克服されれば儲けものです。
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