I2Sにトライの第5編です。
それなりに時間がかかりましたがI2Sトランスポートとそこで稼働するソフトウエアの準備が整いました。
手持ちのEMM DAC2X、Sforzato DSP-Vela、Holo Audio May KTE の3台のDACを大きい方の部屋に移し、満を持しての比較試聴です。条件を揃えるために送り出しは全てRoonです。
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それぞれのDACの一番良いと思われる方式で聴きます。即ち、EMMのUSB入力、Sforzato のDiretta入力、May KTEはUSB入力とI2S入力。
しばらく自宅の音をじっくり聴いていなかったこともあり、まずは古参のシステムから。定番の試聴ソースを幾つも聴きます。
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拙宅でのEMMは、私の耳には非常にバランス良く聴こえます。音像と音場のバランス、低音と高音のバランス、音の温度感がどれもニュートラルです。
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一方でSforzatoはEMMと比較すると、音場表現に優れ音像は細目、高音の解像度が高く低音は量感よりキレを感じ、温度感がクールで、音楽を分析的に聴くことになります。私の持つESS9038Proの音のイメージ通りです。
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EMMの音の方が僅かにエッジが強調されるように聴こえるのはUSB入力の特徴かもしれません。
続いてMay KTEをUSB入力で聴きます。
EMMともSforzatoとも結構違いますが、全体の印象はEMMの方に近いです。
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EMMより更に音像に寄った音です。鮮度の高さを感じさせる一方で解像感はEMMほどではありません。
EMMを中庸とすれば、May KTEはより太く温度感が高く、Sforzatoはより細く温度感の低い音です。May KTEはより低音型、Sforzatoは高音型とも言えます。
May KTEはディスクリートR2RのマルチビットとNOSモード、独自のPLL回路がウリのDACです。ここまでの印象はデフォルトの設定(NOS、PLLオン)の音です。
ここで、May KTEをNOSモードからオーバーサンプリング・モードに変更してみます。
全体的に解像感が増して見通しが良くなるようですが、NOSモードの鮮度の高さが後退します。オーバーサンプリング・モードはこのDACの一番の良さを活かしきれない印象なのでNOSモードで頑張ることにしました。
またPLLオフの音も聴いてみました。これは特にSPDIF入力を意識したもので、DACでリクロックすることによりクロック品質の低いSPDIFでも高音質を得られると謳っています。PLLをオフにすることで、私にはより鮮度が上がる印象です。
PLLオンの音は、ソフトウエア・バッファーを大きくとった時と同様、安定感は増すもののキレや鮮度感が後退します。このDACにはPLLがオフが好ましいと判断し、以降はオフで聴いています。
またこの副次効果として、曲の冒頭での音切れが解消しました。PLLバッファーの待ち時間が無くなったからだと思われます。
May KTEの音を大分理解してきたところで、満を持してI2Sの音を聴きます。全体的な印象としてはUSB入力との対比で特に優位性を感じません。
USB入力より強調感の少ないダイレクトで鮮度の高い音ですが、解像度やフォーカスはUSBより劣ります。改良を重ねてきたDirettaターゲットからの音には簡単には勝てません。何より、従来抱いていたLINUXの音に共通する軽さというか彫りの浅さが気になります。
トランスポートが完成した達成感は一気に消え去りました。
これでは常用には及ばないので、製作中に検討していたアップグレード案を早速実施することにしました。
続く
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