ベルイマン邸訪問記-4ch同一スピーカーの威力

日記・雑記
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過日、伊豆の拙宅にお越しいただいたベルイマンさんとの相互訪問で、今回は小生がお邪魔させていただきました。コロナ下でこのコミュニティに入れていただいてまだ1年も経っておりませんので、今回が小生にとってまだ3軒目のお仲間宅の訪問となります。それゆえ、「絶対音感」というようなものが全く形成されておりませんので、あくまでの拙宅(伊豆)との主観的な比較でしか語ることができませんことを始めに申し上げておきます。

ベルイマンさんとはオーディオや音楽以外にも意外に共通点が多く、話が弾んだのですが、このコミュニティのお話をする中で一つ刺さったのは、「最近、マルチチャンネルシステムに対する細かな、難しい話が多すぎて、これではマルチを始めようかなと思ってこのサイトを見に来た方が、<そんなに難しいのならやめておこう>、となってしまいます。もっと、マルチの楽しさを発信しましょう」という言葉でした。よく解ってもいないのに、「難しい話」を話題にしている張本人の一人としては、反省しきりでした(汗)。

そこで、今回は自分でもわかる話を中心に(笑)。

ベルイマン邸といえば、何と言っても、FocalのSopra 2という立派なフロア型3Wayスピーカーを2セット4台揃えた4chシステムが特徴です。Eclipseのような小型SPの同一物を揃えたマルチチャンネルシステムならAVACさんなどで試聴したことがありますが、本格的なフロア型SPを前後左右に同一物で揃えておられるシステムの体験は、小生は初めてでした。

専用オーディオルームには、私のような初心者では説明されても何が何だかわからないようなアクセサリー類がたくさん使われており、電源ケーブル一本だけでもXX万円といわれて目を丸くしたのですが、それらを紹介する知識は私にはないのでここでは割愛しますが、すべて、クリーンでストレートな電源をアンプ類に供給するためのものだそうです。

完全防音設計のお部屋は、これまで訪問いただいた方にLiveといわれた拙宅よりもさらにLiveで、普通に話をしていても、少し「鼻音」に聴こえるほど。10畳ほどの壁の堅固なお部屋に、大型フロアスピーカーが4台。私のような素人では初耳の、こだわりの国内メーカーの大型パワーアンプが2台(1台、修理から戻ってきたばかりだそうです)。部屋の構造は6面がすべて平行に向かい合っていて、ところどころ、ヤマハの吸音パネルや、自作の反射材のようなものが張り付けてあります(詳細はご本人の「マイルーム」にあります)。この写真の真ん中にあるものは音を反射・拡散させるためのものだそうです。私は「ストーンヘンジ」とあだ名をつけました(笑)。[:image1:]

4台のスピーカーからほぼ等距離(若干、後ろが近いそうです)に置かれたソファに座り、音楽鑑賞の開始です。

クラッシックとロックを中心に聴かせていただきましたが、まずはその静寂感が素晴らしいです。これは恐らく電源にこだわっておられるからなんだろうと思います。また、お部屋の内装が黒で統一されていることも、心理的な静寂感を高めていると思います(見た目は「オーディオ」の総合的な知覚に於いて、大切なことだと私は重視しています)。

実はSopra2は、私もAmator IIIを買った時の購入候補の一つとして試聴を繰り返した経験があり、ベリリウムツィーターの放つ冴えた高音と、おフランスらしいゆったりした豊かな低音が好印象で、最後の最後まで迷ったもののひとつです。今回、久しぶりに聴きましたが、やはりまずはピアノの音が素晴らしい。東京の書斎で専門業者にメインテナンスしてもらいながら大事にしている1000Mを手放せないのは、ベリリウムという素材が作るピアノの音が好きだからで、とても比べ物にはなりませんがそれと同系の音がしました。

また、金属を叩いて出す音(シンバル、トライアングル、鉄琴など)は、拙宅のソナス(Sonetto, Amator)では絶対出せないリアリティがありました。ベルイマンさんは映画がお好きなので、「この音が出せないと映画用としては失格です」とおっしゃっておられましたが、その通りだと思います。今回は映画は鑑賞しませんでしたが、ガラスの割れる音とかさぞやすごいだろうなと想像できます。

大編成のオーケストラものと、オルガンも聴きました。ご本人の「プロフィール」に少し書かれてしまいましたが、「低音の風」感が拙宅に比してもう一つかな、とつぶやいてしまったのは、拙宅にはサブウーファーが4台もあるのに対し、ベルイマンさんのところはサブウーファーが無いからだと思います(定在波の谷に当たった可能性もありますが)。もちろん、Sopra2は能力的には拙宅にあるような安物のサブウーファーを上回るものがあるのですが、やはりサブウーファーの音(というより、「風」とか「振動」という言葉の方が近いかと)は、特化しているだけに独特な音場を形成しますよね。それが苦手な方がいるのはよくわかりますが、小生のようにそれにすっかり慣れている者には、無いと寂しいのです(笑)。でも、聴感上の重低音は拙宅よりかなり出ています。お部屋に充満して溢れそうな感じでした。もしかすると、もう少しお部屋をデッドにした方がすっきりし、それを好ましいと思うソースもあるかもしれません(好みですが)。

さて、前置きが長くなりましたが、4ch同一SPの本当のすごさを最も感じさせてくれたのは、クラシックのようにフロントメインでサラウンドがサブのような録音ではなく、すべてのチャンネルが主人公になるソース、今回で言えば、Pink Floydの『狂気』(SACDマルチ)でした。

これは私も青春時代の愛聴盤なので、拙宅のシステムでもよく聴いているのですが、音像が後ろに回り込んでも、音のつながりと音質の双方とも全く劣化が無く(同じスピーカーでほぼ同じアンプですから!)、明らかに拙宅のシステムより優れたオーディオ体験でした。これを体験してしまうと、拙宅でもSonettoVIIIを4本、前後左右に置いてみようかなという気に一瞬なりました(しかし、腰の悪い小生にとって、センターから移動させるのは想像するだけで腰痛になりますので、妄想はすぐ却下=笑)。

しかし、この音体験はなかなか忘れられそうにないので、今度伊豆に行ったら、「なんとか後ろにも置けないかな」と気になってしまいそうです。

ベルイマンさん、素晴らしい機会をありがとうございました。

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