オーディオ雑誌の在り方を考えてみませんか?

日記・雑記
Sponsored Link

文字通り「師走」を過ごしてきましたが、ここに来て少し時間に余裕ができましたので、(私としては=笑)久しぶりに「日記」を書いています。

今回のネタはAuro3Dとは何の関係もないのですが、多くの方が一度はお考えになったことがあるであろうテーマですので、皆様のご意見が伺えればと思います。

きっかけとなったのは、今度、久しぶりに拙宅にお二人Off会のお客さんをお招きすることになったので、「合間の話題にでもなれば」と思い、何年振りかにオーディオ雑誌を買ったことです(最初に入った池袋の大型書店ではなんと!「売り切れ」で、地元の本屋で何とか見つけました。昨今の巣ごもり需要を目の当たりにした気がしました)。

それはこれです。

[:image2:]

いうまでもなく、本コミュニティのオーナーカンパニーのライバル出版社のものなので(汗)、バランスを取って(笑)ちゃんとこちらもネット購読しました。

[:image1:]

実は、今回の記事のさわりを、Amazonの書評に昨日書いたのですが、なぜか今のところUPされておらず、もしかして「内容に問題あり」(笑)としてボツになったのかと思い、内容を充実させてこちらに再投稿しています(こちらでも「ボツ」になるかもしれませんが…笑)。

久しぶりに買ったオーディオ雑誌の特集は、どちらも「グランプリ・ベストバイ」系です。オーディオに目覚めた高校生の頃はよく買っていた雑誌ですが、社会人になってメディア関連業界の端くれに一時期入ったことで、その「胡散臭さ」が見えてしまって以来、数十年近くほとんど買ったことがありませんでした。

今回、久しぶりに手にしての率直な感想は「変わっていないなあ」でした(泣)。何が変わっていないかと言うと、<ベストを選ぶ投票権を持つオーディオ評論家各人に対し、「彼・彼女(女性はいないようですが)らがどうやって選らばれたのか」が、全くのBlack Boxである>という点に尽きます。

『オーディオアクセサリー』誌の方は、「今回新たに2名の選者が加わった」とありますが、「今回なぜその人に参加資格が発生したのか」が全く書かれていない。『ステレオサウンド』誌に至っては、もう何年も同じメンバーのようですが、もちろん、「なぜ彼らが選者にふさわしいのか」、という「正統性」については何の言及もありません。

よく、オーディオ評論家が自らを、「オーディオ愛好家とメーカーをつなぐソムリエ」のように表象される方がおられます。ワインのソムリエは、ワインの知識が豊富で、料理(とフトコロ)にあったワインを勧めてくれるプロです。その意味では、オーディオ評論家も「オーディオソムリエ」たるべき面があると思います。

ワインの輸入を商社で担当していた私の友人は、酔狂にも(笑)ソムリエの資格を取ったそうです。その資格を取るには、ペーパー試験によるワインに関わる知識(歴史、ブドウの品種、産地の特色、銘柄etc.)を試され、かつ「Tasting」という、<ブラインドによる試飲をして銘柄を宛てる>というテストをクリアする必要があるそうです。そして、フランスを中心に毎年開催される、「ワインコンテスト」の選者は、このソムリエの中でも最も優秀なソムリエらによって構成されているそうです。

このようにワインのソムリエは、「ワインに関する豊富な知識と、<明敏な味覚>を持っている」ことを「試験」によって証明できないとなれません。一方の「オーディオソムリエ」は、誰でも名乗れます(笑)。本来であれば、オーディオでも真に「ソムリエ」と呼ばれるにふさわしい人が、このような「ベストバイ」を選ぶ権利があるべきだと思いますが、どのオーディオ評論家が、本当に「オーディオに対する豊富な知識と<明敏な聴覚>を持っている」のかを知るすべが読者にはないのが現状です。

「知識」に関しては、まあ各人が書いているものを読めば(このPhilewebも同様ですが=笑)、ある程度は見分けることができます。さらに「オーディオ評論家」のプロフィールは公開されているので、「ああこの人は元エンジニアだから」とか「この人は演奏家だったから」といった情報から、どの分野に関して「知識」が豊富かはある程度当たりをつけることはできます。

ただ、これだけでは、彼らが本当に、「ベスト商品の選考者として最も重要な」<明敏な聴覚>を持っているかどうかは全くわかりません(鯛と平目の味の違いが分からなくても、文章が巧みであれば、それらしく書けてしまうものです=経験者は語る=笑)。

そこで提案です。オーディオ機器のブラインドテストをして、スピーカーやアンプやケーブルを聴き分ける試験(ワインのソムリエのように)をオーディオ評論家に毎年課し、その年の成績上位者のみが「ベストバイ」の選考者になれる、というシステムをオーディオ雑誌が作ってもらえないでしょうか(私の記憶では、昔はSS誌でも「ブラインドテスト」ってやっていたような気がするのですが)。さらに読者からの人気投票も募って、それも選考者決定に反映させればなおよしです。

「こんな“芸能人格付け大会”みたいなのに参加するのは嫌だ」という<大御所>(笑)がいるかもしれませんが、「この評論家がいなければこのベストバイ特集は買わない」というほどのスター評論家がいるとは思えません。嫌なら参加しなくてよく、その代わり、「グランプリ・ベストバイ」の選考者に入れなくなるだけです。

しかし、この「選考者」であるという<利権>は巨大で、現状では、「ベストバイやグランプリに選ばれたいメーカーや輸入代理店からいろいろ便宜を図ってもらっている」わけです。「選考者」に入らなければ、新製品の自宅への無料貸し出しなんか受けられなくなるし、技術者のインタビューなどの順番も後回しにされます(経験者談=笑)。で、この<利権>を手放したくなければ、各オーディオ評論家はブラインドテスト競争に勝ち残るために「耳を鍛える」しかないということになります。

さらに、投票や講評も匿名で行うべきです(学術論文の世界では評価のFairness確保のため、これが当たり前です)。現状ではメーカーや輸入代理店は、「各評論家の投票行動」を細かくチェックしていて、それに応じた「広報戦略」という名の様々な<あめ>を用意しています(経験者談=笑)。もし匿名投票ということになれば、この<あめ>を用意するためのコストが浮くため、恐らく多少は販売価格を引き下げることができるでしょう。また、講評も匿名で行うようにすれば、評論家はメーカーや販社に「苦言」を呈することができ(本当に良心的な評論家には「言いたいこと」が一つや二つはあるはずですが、現状、それをしたらどうなるかは、すべての評論家の方々はよくご存じ=笑)、それが可能になれば、メーカーも販社も指摘されたことの「改善」に努めざるを得なくなるでしょう。

つまり、これらにより、メーカー(輸入代理店)とショップとメディアと評論家と消費者で構成されているオーディオ界に、「民主主義」が確立されるわけです(今はアリストクラシーです)。このことのメリットは全ステークホルダーに及ぶことぐらい、誰でもわかっていると思います(しんどくなるのは競争にさらされる評論家だけでしょう)。わかっているのに「変わらない」。誰も変えようとしない。ささやかながら私一人で(笑)、30年間不買運動をしてきました(笑)。このようなFairなシステムを持つオーディオ誌が出てきたら、10冊でも100冊でも買ってあげるのですが(笑)。

コメント ※編集/削除は管理者のみ

タイトルとURLをコピーしました