書斎の1000M用に、Dirac Live機能付きのプリメインARCAM SA30を買いました!

日記・雑記
Sponsored Link

年末にオーディオ雑誌をパラパラとめくっていたら、ある記事(広告?)が目に留まりました。ARCAMというイギリスのメーカーにDirac Live機能を内蔵したプリメインアンプがあり、それが日本でも発売される、というものでした。

私は早速、最近お世話になっているオーディオショップのSさんにメールを入れ、試聴もせずに指名買いしました(笑)。東京の書斎用に、前からDirac Live機能を備えたアンプを探していたため、飛びついたのです。

三が日明けの先日届き、三日間にわたりいろいろと実験をしながら聴きこみました。これまで、私は伊豆の別荘にあるシステムしかここではご紹介してきませんでしたし、今後も原則そのつもりなのですが、今回だけは別です。なぜなら、このDirac Liveという音響補正技術は、私が伊豆で使っているStormのISP MK2の中核技術の一つで、私がほれ込んでいるものであり、かつ、伊豆の別荘のような比較的オーディオ的に優れた環境で無く、私の東京の書斎のようなオーディオアコースティック的には最悪(汗)な環境で、どの程度このDirac Liveが効果を発揮するのかに興味を持つかたは少なくないと思うからです。

Dirac Liveとは何かについては、Dirac社のHPに詳しいですが、一言で従来の音響補正システムとの違いを拙い私の理解で(汗)申し上げれば、従来型は基本的には周波数特性を補正する(定在波等による凸凹を均す)ことに注力しているのに対し、Dirac Liveはそれに加え、インパルス応答・タイムアライメント・位相を総合的に補正する機能があるという点です。私は技術に暗いので(汗)、この部分を突っ込まれても実はよく理解していませんが(笑)、そんな私でも確実に分かるのは、その「聴感上の違い」で、視覚で言うところの霧が晴れるような感覚を、聴覚で得られることを伊豆では経験しています。

今回購入した新製品は、ARCAM SA30といいます。JBL SA750は、これのOEM製品だそうですので、デザインはずいぶん違いますがほぼ機能は同じですので、JBLモデルに関心のある方も参考になると思います(HDMI入力がJBLモデルは省略されている)。

「新着レビュー」コーナーではない(そもそも登録すらまだできない=笑)のですが、簡単に、前に使っていたLuxman 507uX(伊豆の書斎兼寝室用に移動予定)との比較で言うと、よく言えば音が若々しく華やかですね。深み・重みはやはりLuxman です。書斎のSPは長年オーバーホールして使い続けている青春の思い入れが詰まった1000Mですが、音色的にはARCAMの方がこのモニタースピーカーには合っているのかもしれません。ちなみに、SACD・ネットワークプレーヤーはMarantz SACD 30n(オリジナルDACがウリ。今までのマランツよりは深く重い音が出ますね)というもので、これは1年以上前になりますか、今回と同じように機能(2 into 1)だけに魅かれて試聴もせずに指名買いしたものです(笑)。つまり入門用の最新機器コンビと「往年の名機」(笑)の組み合わせですが、東京の書斎のオーディオは基本「ながら聴き」なので(今回、これを書くために久しぶりに「本気聴き」をしましたが=笑)、私レベルではこれで十分だと思っています。

問題は(笑)、その置かれた環境です。書斎は11畳ほどの縦長の洋間。1000Mは作りつけの本棚に「埋め込んで」周りを本で囲んでいます。若い頃にオーディオ雑誌で読んだ「1000Mから低音を出す方法」(笑)に書かれてあったものの一つで、「壁面全面バッフル」という手法だそうです。この本棚は部屋の長辺にあり、SPの中心間距離は約2M、リスニングポイントのソファまではもう少し長い二等辺三角形で、ソファの後ろは壁と出窓とそこに並べられた本です(笑)。さらに左SPの斜め前にはマルチ用のDynaudioのフロア型が邪魔しており(笑)、左奥は机で右側はガラス戸棚のある本棚と、かなり左右非対称です。私の駄耳でも普通に鳴らすと左右の音量・音色が違って聴こえるほどなので、これまで1000MについているMidとHighの二つのアッテネーターを使って聴感上で調整をして誤魔化してきました(笑)。

実はこの狭い部屋にもう1セット、寄せ集めSPによる(笑)6.1.4のマルチチャンネルシステムが置いてあり、負けず劣らず設置環境の非対称性が激しい(笑)のですが、こちらはAVアンプがパイオニアなので、MCACC―Proという音響補正(これは位相も補正すると言われ、私は日本の補正ソフトではベストだと思っています)をかけているため、まあまあ聴ける音になっていると判断しています。つまりこの書斎では、音響補正をしないと「いい音」では聴けないとずっと思って来ていて、Dirac Liveの2ch版が出るのを待ち焦がれていたというわけです。

さて、本題のDirac Liveです。これ、ARCAMのマニュアルがとても不親切で、一度も使ったことのない人はすぐには使えないのでは?と思いました。私は「勝手知ったる」(笑)ですので、伊豆でも使っているノートPC(すでにDirac Liveのソフトがインストール済み)に、同梱の安っぽいマイクは使わずにISP MK2用に購入したUMIK-1を使用してキャリブレーションをしました。

この写真は、Dirac Liveで測定した拙宅の1000M左右2台分の補正前のf特です。低域にかなり左右の違いがあります。
(写真1)
[:image3:]
この写真は、インパルス応答補正の画面で、デフォルトですべて全帯域にかかります。
(写真2)
[:image2:]
この機種は、f特補正帯域を変えて3Curvesの登録ができるという面白い機能が付いているので、 20-20000、20-1000、30-500
と補正対象帯域を変えて登録しました。
(写真3)
[:image1:]
Dirac Offを加えてこれら4種類をリモコンで簡単に切り替えらえるので、比較試聴には便利です。上が今回導入したARCAM SA30、下は、MarantzのSACD 30n
(写真4,5,6、7)
[:image4:][:image5:][:image6:][:image7:]
以下、自分なりの多様なチェック音源を数多く使っての感想ですが、音源情報はとても書ききれないので、割愛します。

さてまず、問題のDirac LiveのOn/Off比較ですが、

Dirac Onだと、どの補正対象周波数帯域でも、

1.特にピアノやギターのソロで、空気が澄んだ感じになる
2.低域のボアつき(変なボリューム感)を取り除いてくれる
3.定位感、遠近感が増す

という効果が明らかにありました。

1については、その効果はさすがに、伊豆のマルチチャンネル環境下におけるDirac Liveの威力に比せば、それほどには大きなものではありません。21のスピーカーがある伊豆では、これらを統率・管理するDiracのOn/Offの違いは、「えっ」と声が出るほどですが、さすがに2chだけの補正ではそこまで驚きの変化があるわけではありませんでしたが、確実に見通しは良くなります。

2の点については、「全面バッフル」の効果なのか、どこかで1000Mを聴いたことがある人が私の書斎を訪れると、「このスピーカーからこんな低音がでるとは」と驚いてくれるのがプチ自慢(笑)でしたが、今回、Diracを通して聴いて、今までの低音は、「膨らんでいて、ゆえにボリューム感だけはあった」ということがよく分かりました(このSPは密閉型なので、元々低域が締まっていて(ゆえに量感が少ない)、そこから低音を引き出そうとして故長岡氏が1000Mのバスレフ化に挑戦したのをご存知の方も多いと思います)。今回、Diracを通したおかげで、量感はそのままに(多少減ったか?)、質(=締まって低域の解像度が上がった感じ。ダブルベースを弾く指の動きが見えるようになった)が上がったのを感じました。

3については、これは「全面バッフル」のマイナス面だと思うのですが、どうしても後ろや横の壁から1M以上離すという理想の設置に比して、「空間に音像がぽっかりと浮かぶ」感じが出にくかったのですが、Diracを通して多少は改善しました。定位については左右の非対称環境が悪さをしていると思っていて、こちらはDiracのお陰でかなり改善しました。

さて次いで、3種類の補正カーブを比較してみました。

1.20-20000を補正したものは、大人しく、魅力に乏しい音になってしまう
2.20-1000、30-500は、中高域に関しては、私の駄耳ではほとんど違いが感じられず、どちらも快活で、生っぽい音を出す。
3.ただし、低音に関しては、なぜか私の駄耳には、「30-500」、つまり、30Hz以下は補正せず(一番最初の写真にあるように、1000Mではこの帯域はだら下がりになる)の状態の方が、良い低音が出ている(気がする=笑)

3に関してですが、写真1でもわかるように、1000Mの実力では30までがせいぜいで、20までフラットに補正しようとすると、かなり無理に押し上げているはずで、苦手を克服するより(笑)、ウーファーが得意な範囲で頑張らせた方がいい音がするのでは?と素人なりに考えてみましたが、どうなんでしょうか?

結論的には、30-500Hzのf特を補正したものが一番気に入ったので、これを使うことにしました。

最後に、このアンプは、「G級アンプ」と自称しているそうで、小音量(10Wぐらいまで?)は、純A級で、それ以上になるとAB級で動作する、とパンフには書いてあります。普通のAB級とどう違うのか、技術に暗い私にはよくわからないのですが(汗)、確かに(いや、気分的に?=笑)、夜になって小音量に絞ると、結構いい音で1000Mを鳴らしていることに気がつきました。このSPは小音量になると特に低域表現が苦手と30数年来思ってきた(夜に聴くときはトーンコントロールで低域を持ち上げていた)ので、意外な発見でした(もしかすると、A級より、Dirac Liveの効果かもしれませんが)。同時に気がついたのは、小音量再生の方が本体の温度が上がるような気がするのです。昼間大音量でガンガンかけていた時も、発熱は気にしていた(設置場所の上が本棚なので、どのくらいの空間確保が必要かと)ので、ちょくちょく天板を触っていたのですが、昼間はそれほどではなかったものが、夜になって結構暖かく(熱い、までにはなりませんでした)なっているのに気がつきました。素人の私には普通は逆(出力が大きいほど、発熱も多い)だと思うのですが、不思議でした。

取り敢えず3日間聴いた報告は以上ですが、個人的には「Dirac Liveに守られている」という変な安心感(?)が芽生えているためか(笑)、何を聴いてもそれなりに結構そこそこの音に聴こえてくるから不思議です(笑)。

ここのオーディオファイルの方の多くは、メインのシステムに加えて、寝室やダイニングなどにサブシステムをお持ちの方も少なくないと思いますが、そういう「オーディオルームとしては不適」な環境ほど、このDirac Liveの出番です(笑)。リプレースしてみると、意外にメインを食うかも?

コメント ※編集/削除は管理者のみ

タイトルとURLをコピーしました