2ch、5.1chソースに対する、「Auro-Matic」のススメ

日記・雑記
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2ch、5.1chソースに対する、「Auro-Matic」のススメ―「Auro-Matic映え」する音源に関する研究ノート

新年最初の「日記」は、年賀状代わりにやはりAuro3Dネタで(笑)。誤解されるといけませんので、年頭に際し再度申し上げておきますが、私は「Auro3D」を名乗りこそすれ、Auro3Dの利害関係者ではありません(汗)。純粋に一オーディオファンとして、このフォーマットによる音楽再生のPotentialの高さを確信して、追及しているものです。そして、できれば、その仲間を増やして、Auro3Dというフォーマットが絶滅せずに(笑)、むしろ発展して行って欲しい(人気が出て、Nativeソフトが増えれば私にもメリットありますから=笑)と願っての一連の「日記」です。今年もよろしくお願いします。

さて、Auro3Dを人に勧める際に、必ず言われるのが、「そんなフォーマットの映画や音楽なんて見たことも聞いたこともないじゃん」ということです(汗)。「無い」わけではありませんが(笑)、これまでこのPhilewebで書いてきたように私が紹介「しきれてしまう」程度しかないのは事実です…。

「じゃあ、そんなものをわざわざ選ぶ必要なんてないじゃん」(これらのセリフは横浜在住の私の友人が、家を新築するにあたり、私が「Auro3Dを考えた設計に」と言ったときの横浜弁による反応=笑)-それが必要あるんです!今日のポイントはこれです!以下、私の友人を説得するつもりで、新年らしく「青年の主張」風に書いてみます(ホントはおっさんですが=笑)。

【なぜ、音楽再生に3Dが必要?】

私の友人に、身内に音楽家(の卵)を抱えている方が二人もいます。一人はお連れ合いがプロのピアノ伴奏家、もう一人は息子さんがヴァイオリニストで、国際コンクールにも出ておられるレベルでそのうちプロデビューするのではという方。この二人に共通するのは、なんと!「オーディオで音楽を真剣には聴かない」こと。もちろん、練習用に音符を見ながら確認のために聴くことはあるそうですが、ラジカセレベルで十分だとか。

なぜか。

Devialetを備えるほどのハイエンド2chオーディオを持っているそのご家族によると、「あんなものは音楽ではない」と言い切り、そのハイエンドオーディオには見向きもしないのだそうです。

つまり、我々が血眼になって取り組んでいる(笑)、「オーディオの再生する音」は、演奏家からみると(聴くと)、「音楽」とは言えないレベルであると判断されているということですが(汗)、ここから先は、私の独断と偏見による推論です。恐らく、彼らは、オーディオが再生する「音の響き」に、ウソっぽさを感じ取っているのではないでしょうか。オーディオ機器の性能(と価格も=汗)は年々向上し、エジソンの頃に比べれば、直接音そのものの再現性は結構いいレベルに来ているのではと私はみています。しかし、まだ比べるべくもないのが、ホール全体が醸し出す間接音の再現性ではないでしょうか。あの巨大な空間の音場感を、(相対的に)小さな部屋に置いた、たった二つのスピーカーで「完全に再現しきれる」、と本気で考えている方は、お幸せな方はともかく(笑)論理的なタイプであればいないと思います。つまり、「音」とは元々、立体的なもので、左右のみならず、前後、そして上下にも、360度に「音」は広がり、空間を満たし、それが何度も反射を繰り返して自分の耳に届く。そこで初めて「音」が「音楽」になる、と演奏家は言いたいのだろうと思っています。ゆえに、レコード(録音)再生芸術の世界でも、「音」を「音楽」にするためには、3D化が避けられないのでは、と私は主張したいのです(笑)。

【Director’s intention VS Performer’s intention】

オーディオに真剣に取り組んでいる方の多くは(そして多くの「オーディオ評論家」と称する方々も)、よく、「Director’s intentionを忠実に再現したい」とおっしゃいます。確かに、普通の録音スタジオのモニタースピーカーは二つ、つまりステレオで、録音エンジニアはそのステレオスピーカーの出音を確認しながらミキシングの作業を進めているのは事実です。だから、彼・彼女が「これで完成!」と考えた音をそのまま再生するのが、オーディオの究極の目標であると。

まあ、機械による音の再現技術である「オーディオ的には」、その通りだと思います。ただ、先に紹介したように、それが「音楽的にみて」、Performer’s intentionに適っているかどうかは、また別問題です。もし、オーディオ再生「音」ではなくて、先に述べた「音楽」が聴きたいのであれば、重視すべきはDirector’s intentionではなく、Performer’s intentionではないでしょうか。

確かに、ここで紹介しようとしている、2chや5.1chソフトを13chに拡大する「Auro-Matic」(後述)は、Director’s intentionを<完全に無視>しているものであることは否定しません。ただ、両方のフォーマットによる再生音をDirectorではなくPerformerに聴かせた時、「自分が観客に聴いてほしい音・音楽」の再生方法としてはどちらを選ぶでしょうか?残念ながら先に紹介した二人とも、伊豆の別荘に呼んだことが無いので、「答え」はわかりませんが、私自身はAuro-Maticを選ぶだろうと「信じて」(笑)います。ゆえにここまで一所懸命Auro3DおよびAuro-Maticに取り組んできているわけです。

【なぜ、Auro-Maticを勧めるのか?】

Auro3Dの開発者は、これを商品化する際に、Nativeソフト(Auro3Dフォーマットで録音されたもの)がほとんどまだ市場に無いので、このままでは売れないと考えたらしく、既存の2ch(ステレオ)や、5.1ch(SACDマルチ、DVD-Audioなど)を「Auro3Dっぽく」聴かせる技術を開発しました。それを「Auro-Matic」と呼びます。いわゆるUp-mix、エミュレーションというやつです。

で、このAuro-Maticの開発にはかなりの時間と人とおカネをかけたそうです。2Dのソフトをいかにして3D化するか。つまりAuro3Dの得意とする「高さ」感を演出するには、既存ソフトのどのような「音成分」を上方に設置したスピーカーに振り分ければ効果的なのか?そのような「音成分」をどうやって見分け、どうやって抽出するのか?抽出した「音成分」を、どのスピーカーに、どの程度振れば、オリジナル音源の世界観を崩さずに3D化を図れるのか?

現時点で3D(イマーシヴとも言います)オーディオフォーマットとしてよく知られているのは、他にDolby AtmosとDTS-Xがあり、それぞれ、Dolby Surround, DTS Neural:XというUp-mixがあります。つまり、既存の2chや5.1chはこれら二つの方法でも3D化が可能です。

しかーし(笑)、私がこれまで何度か書いてきたように、こと音楽においては、Dolby Surround やDTS Neural:Xは、Auro-Maticに比して音が拡散してしまい、音楽再生では最も重要な部分である「中心」の密度が薄くなる傾向にあります。映画用にAtmos環境を設置している方は少なくないと思いますが、その多くの方が「お気に入りの音楽をDolby Surround で聴いても全然良くない。音質は落ちるし、音楽のパワー・塊感が損なわれて感動しない」と言われます。当然です。Dolbyは所詮、ハリウッドご用達の<映画音響用>ですから。ジャングルを歩いて録音した環境音のCDとかならそれもいいでしょうが、「普通の音楽」再生であれば、それを3D化して楽しめるフォーマットは、<音楽再生用>に特化して開発されたAuro-Matic一択だと私は断言します(自身、何度も聴き比べての結論です)。

【数は力】

Auro-Matic(Auro3Dも同様)を構成する最小スピーカー数は、Auro3DのHPによると、1Fに5.1ch、2Fに4chの 9.1chとされています。http://www.auro-3d.jp/

しかし、これよりスピーカー数が少ないとAuro-Maticが作動しない、というわけではありません。普通の5.1chと同様、センターレス、SWレスの4+4=8.0chでも大丈夫ですし、フロントハイト2chのみの、6.0chでも音は出せます。自分のAVプリでは、2Fはゼロで、3FにVoice of Godと呼ばれる、リスニングポイント真上の一台だけという設定もできますので、これだとミニマム5台のSPでOKということになります。

逆にAuro3Dの定義する最大のSP数は、1Fに7ch、2Fに5ch、3Fに1chの計13.1chです。多い方がいいのか、とよく聞かれるのですが、そんな時は私がNHKで聞いてきた話をします。

NHKが22.2chというマルチチャンネル音響を開発し、渋谷の本部で試聴会をやっていた時に、ふらっと寄ったことがあります。そこにいた技術畑の説明担当の人に、「狭い部屋でもこんなにたくさんのSPがあった方がいいんですか?」と聞くと、「技術屋視点ではSP数は多ければ多いほどいいです。ただし、それらを正確にコントロールできれば、という条件付きですが。映像における画素数と同じで、SPが多い方がより精緻に音を動かしたり、音場を再現できたりします。映像の世界では画素<数>という<数>に拘る方が多いのに、音響ではSP<数>が増えると文句すら出るのはおかしな話です=笑」という答えでした。それを聞いて以来、私はAuro3Dの最大SP数、13.1chを自室に設置することを目指したのです(現時点で民生用のAVプリでは、確かTrinnovの32chがハンドリングできる最大数ですよね=ISP MK2は24chまで。一度32chのフルで聴いてみたいものです。どなたか実現されたらご一報ください=笑)。

【Auro-Matic映えするものと、しないもの】

ここからは実証的なお話です。年末に10日間ほど伊豆に籠りまして(笑)、これまで経験的に感じていた「Auro-Maticには、向いているソースと向いていない(あまり効果が無いか、むしろ逆効果の)ソースがある」ということを、真剣に検証してみました。つまり、実際にどのようなジャンルの音楽で、どのような楽器で、どのような録音環境ならAuro-Maticは効果的なのか、という実験です。

*実験に際し、Auro-Maticにすると音量が大きくなるので、聴感の音量を揃えて比較するよう心掛けた(ほとんどの場合、2ch再生時は3dB、Auro-Matic再生時より増幅している)。ただし、Auro-Maticの空間演出効果は、小音量でも変わらない(2chは大音量でないと、ソースに含まれているであろう間接音が、自分の部屋の壁や天井に反射して、「間接音」として聴こえないものが多いが、実存するスピーカーから「間接音」を出すAuroの場合は、その効果に音量は関係が無い)。ゆえに、2ch、5.1chが不利にならないように、ある程度大きな音量で試聴した。

実際に試したソースは数え切れませんが、分かりやすいように比較的有名な音源か、効果が高かったものを選んで以下、ご報告します。

<ダメだった音源>

まずはRockから。

写真1.[:image1:]
『Hotel California』(SACD: 5.1ch)
『The Nightfly』(SACD:5.1ch)

この二つは、どちらもマルチチャンネル版なので、比較的Auro-Maticとは相性がいいはず、と踏んで選んでみたのだが、ダメだった。このような「硬質な」小編成のロックは、Auro-Maticにするとタイトさが損なわれてしまう。東京ドームの一番後ろの席で聴いている感じが好きなら別だが(笑)。

次はJazz。

写真2.[:image2:]
『Come Away with Me』 (SACD:5.1ch)
『Brain』(SACD:5.1ch)

この二つも上記と同様の理由で選んでみたのだが、やはり同様の理由でダメである。スタジオ録音だからか(後述)?

写真3.[:image3:]
『Last Live at DUG』(SACD:5.1ch)
『Rendezvous in New York』(SACD:5.1ch)

ということで、同じマルチでもLive版を選んでみた。この二つは「ダメ」というわけではないが、「あまり効果が無い」という判定となった。どうも録音会場に問題(?)があるようで、前者はDUGというジャズ喫茶?、後者はBlue Noteである。前者は行ったことが無いが、後者はNY留学中に何度も通ったお店なので、その「天井の低さ」はよく知っている。これが関係するのか(後述)?

最後にクラシックから。特に「がっかり賞」となるのは、こんな感じのもの。

写真4.[:image4:]
『Prokofiev Piano Sonatas』 (CD: 2ch)
『Chopin National Edition』(SACD:5.0ch)

どちらもピアノソロである。Auro-Maticにすると「打楽器としてのピアノ」感が減退してしまう。この傾向は、マルチ録音版でも同様であった。「ピアノはなるべく近くで聴きたい」派の人には、ストレートデコードをお勧めする。ちなみにAuro3Dの名誉のために(笑)言っておくと、Nativeソフトのピアノ曲は素晴らしい。打楽器感と高さ感が両立している。例えば『Stille Grender』(2L)など。ただし、これは教会録音(後述)。

<イケてる音源>
次はAuro-Maticを通すと、魅力が倍加(?)する非Auro3D音源の紹介。

まずはRock系から。

写真5.[:image5:]
『In the Court of the Crimson King』 (BD: 5.1ch)
『Close to the Edge』(DVD-A:5.1ch)
『The Dark Side of the Moon』(SACD:5.1ch)

言わずと知れた、プログレを代表する名作群。傾向としてシンセサイザーの特に高音はAuro-Maticと相性が良いようだ。キンクリはロバートフィリップによるマルチ化、ピンクフロイドはデビッドギルモアとロジャーウォーターズ両巨頭のお墨付きと、20世紀のオリジナルの2chではPerformer’s intentionを表象できていなかったのが明らかなアルバムに、さらに高さ感が出て、空間が広がる(そのうち、AtmosかAuro3D版を出すのでは、と期待している)。思わず(青春時代とシンクロして=笑)涙腺が緩む音場表現になる。

次はJazzから。

先にクラシックでダメ出ししたピアノソロ曲でも、Jazz Pianoのこの二つは「鉄板」のAuro-Matic推奨版です!

写真6.[:image8:]
キースジャレット 『ケルンコンサート』(CD:2ch)
チックコリア・ゲイリーバートン 『Crystal Silence』(CD:2ch) 

前者は、録音会場がオペラ劇場だそうで、道理で高さ感を演出するAuro-Maticとの相性がいい。後者は、特にビブラフォンとAuroの相性は抜群(前にもご紹介した、NakuraによるAuro3D録音すらある)で、他にもMJQの『Concorde』(実は私の結婚披露宴の時のBGMに選んだアルバム)なんて、個人的には2chなんかでは絶対に(笑)聴かないソフト。

『Kind of Blue』(SACD:5.1ch)

意外にもMilesのこのアルバムは、Auro-Maticとの相性がいい。高さ感が出る。Jazzの小編成は普通ダメなので、不思議に思ってちょっと調べてみると、これはスタジオ録音ではなく、教会での録音だそうだ。マイルスが聴いていた音、聴かせたかった音は2chの「ピュアオーディオ再生」とどちらがより近いか、彼が存命であれば是非Auro-Maticによる再生音楽を聴いてもらいたいところだ。こだわりの強い彼がなぜこのアルバムの録音現場に教会を選んだのか、教会らしさがより出ているのはどちらか。Performer’s intentionを体現しているのは?

最後にクラシックから。こちらは多すぎてとても書ききれない…が、代表的なものを。

写真7.[:image6:]
『バッハ・ギター・リサイタル~サイモン・ウィンベルグ』(CD:2ch)

録音方法の情報はないが、帯に、「イギリスのロンドン・タイムズでも絶賛。(中略)デジタル録音で、ふくよかな豊麗な響き」などと書いてある通り、かなり倍音と残響音が強調されており、ギターのOnマイク以外に恐らくアンビエント音を別収録して合成していると思われる。Auro-Matic化すると、特に高さが出る音源ではないが、低音に深みがでて、全体に奥行き感・立体感が出る。倍音が残響音となって空間に吸い込まれていくさまが2chよりはっきりと感じられる。

『Cantate Domino』(SACD:2ch)

こういうオルガン系の作品は、オルガンのある現場が教会かコンサートホールであるため、スタジオ録音ということがありえず(パートを別々に録音して、合成しているものもあるかもしれないが)、一定以上の「高さ」のある録音現場を必然的に使うことになる。さらにこのアルバムは合唱と金管楽器が入っているため、高さ感の演出に優れるAuro-Maticは効果的な演出をする。

『Bach Cello Suites』(CD:2ch)

これは有名な無伴奏チェロソナタを、バリトンサックスで吹いたというちょっと変わった演奏のスタジオ録音アルバム。例えばヨーヨーマのチェロのアルバムだと、そんなにAuro-Maticの優位性は感じられないのだが、金管楽器となるとAuro-Maticは得意なようで、なぜかこういう中低音でも音の響きの角が取れて、深みが出る。スタジオ録音のピアノやハープシコードなどでは、中高域の音の鋭さ(定位感ともいえる)がAuro-Maticだと薄れるので、かぶりつきのリアリティ感は2chや、5.1chのNative録音の方が優れていることが多い印象。

『春の祭典』(RCO Live) (SACD:5.0ch)

このような20世紀らしい、アヴァンギャルドな、音数が多くてあちこちから音が飛んでくるような曲は、Auro-Maticとの相性が良い。特にこのアルバムはLiveなので、録音用マイクは主楽器にOnではなく、主にホールにOffで設置されていると思われ、管楽器の響きが「上昇する」様がアンビエント音で捉えられており、それを部屋のアコースティック環境に左右されずに、「実スピーカー」で再生できるAuro-Maticのアドバンテージは大きい。ただ、おなじRCO Liveでもピアノ協奏曲なんかだと(例えば、ブラームスの第一番)、ピアノ好きの私には5ch再生の方がピアノの音が生々しくて好ましい。Auro-Maticで再生すると、少し「幻想的な」音というか、コンサートホールで聴く音になってしまう(この方が好みという人もいるとは思うし、自分も気分によってはこのOff感あるAuro-Maticでピアノを聴きます)。Onで味わえる「打楽器」としてのピアノの音は、どうもAuro-Maticとは相性が良くない(ただし、繰り返しますがNative録音のAuro3Dは別格。ピアノも素晴らしいですよ!)。

『ブルックナー 交響曲第9番』 (SACD:5.0ch)

これはLiveではない(もちろんスタジオ録音なんかできるはずないから、ホールを使って録音しているのだが)ので、マイクを主要楽器ごとに設置して、3日間にわたって録り直しなどもして最終的には録音エンジニアがミキシングで作りこんでいるものだと思うが、このような録音でも、ブルックナーのように金管楽器を多用する演奏の場合は、Auro-Maticと相性がいい。特に第二楽章冒頭のファンファーレ(?)の部分は、Auro-Maticで聴いた後に5ch再生すると、とても寂しい感じがぬぐえない(笑)。

『ホルスト 惑星』 (SACD:5.1ch)

こういう「宇宙観」を出す曲(冨田勲なども)は、絶対にAuro-Maticとの相性がいい。Auro-Maticで聴きなれている耳には、普通の5.1ch、ましてや2chで聴くと100%がっかりする。

最後に、先ほどクラシックのピアノソロをダメ出ししたが(笑)、実はイケてるものもある。それはこちら。

写真8.[:image7:]
Hideyo Haradaによる、シューマン、シューベルト、グリーグ、チャイコフスキー、ラフマニノフの各ピアノ曲 (すべてSACD:5.0ch)

先に紹介したピアノ曲との違いは、これらはすべて、ドイツ・ベルリンのイエス・キリスト教会という、クラシックの録音現場として結構有名なところで、同じレーベルの同じエンジニアによって録音されているという点。初めてこれを聴いたのは確かシューマンで、東京の書斎の「なんちゃってマルチ」で聴いたのだが、サラウンドに残響音が大量に録音されているのに気づき、「これは絶対Auro映えする!」と確信し、シリーズまとめて大人買いして、伊豆の拙宅に持ち込んで確認したのだった(笑)。これはなぜかピアノの打楽器感は損なわれずに、そこにうまく高さ感というか、空間表現がAuro-Maticだと乗る。このアルバムをもし2chで再生している方がいたら、それは絶対に損してます!もっと立体的に録音されていますよ(笑)。

【帰納的結論】
ここまでの実証実験より、以下のようにAuro-Maticの効果に関係する決定要因が抽出できる。

<Auro-Maticがイケてる「普通のソフト」の条件>

・5.1ch>2ch(やはり、元のチャンネル数が多い音源の方が、効果は出やすい)
・音数の多いもの(大編成のオーケストラなど)
・アヴァンギャルドな演奏(ストラビンスキーなどの20世紀音楽。例えばシェーンベルグはピアノソロでも最高!)
・オルガン、合唱(つまり、バロック系のミサ曲なんてバッチリです)
・金管楽器(ビブラフォン含む。木管も悪くないですが、金属音の方がどうもAuro-Maticがより得意とするようです)
・教会などの高さのある(またはOpen Air)録音現場(これなら、RockでもJazzでもイケます。オペラはオペラハウスでのLiveならホール感を伴う声楽を楽しめる=風呂場のカラオケ状態?)

<ダメなものの条件>

・Pops やJazzのスタジオ録音盤のボーカル(どうしても口が大きくなる) 
・On 録音されているピアノソロで、ホール音があまり収録されていないもの(アタック音などが甘くなる。高音の「硬質感」がやや損なわれる傾向。これは音のFocusが2chに比して、どうしても落ちるためと思われる)
・天井の低いJazz Clubなどでの録音(リアリティが落ちる。かぶりつきの緊迫感が無くなり、ゆったり聴けるようになってしまう=笑)
・Rockは録音による。空間感を演出するような壮大なサウンドはOKだが、タイトな音像を求める、シンプルでストレートなスタジオ録音は×(野外ライブはイケる!)

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最後に。突然ですが(笑)、あなたは、ラーメンをお店で食べるとき、コショウを振りかけるタイプでしょうか?もしYesなら、それはDirector’s intention無視派で(笑)、つまり(哲学的に一貫していれば=笑)あなたはAuro-Matic肯定派になる素地があります! もしここにご紹介したような音楽ソースが一つでもお好きであれば、要は「自分にとっておいしければいい」んですよね、ラーメンも音楽も! 友よ、なぜせっかく<21世紀>まで生き残っているあなたが、<20世紀>の技術にしがみつき続けるのか?(笑) Why don’t you give it a try?

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