マイナーだが重要な変化-オールキャスター化とStorm XT

日記・雑記
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以前の大幅入れ替え期からおよそ10年程経つので、ここ2,3年は主要機器の入れ替えを活発化してきましたが、そろそろ、このDecadeにおけるオーディオ機器の整備の終点が見えてきました。

この後は、「使いこなし」にシフトしていくので、まさにこのコミュニティの皆様のお知恵を拝借したいところです。今後ともよろしくお願いいたします。

さて、その「マイナーな工夫」第一弾として、LCR Surround LRのマルチの主力5chのうち、これまで唯一「固定」で運用していたセンターのSonetto VIIIにも、キャスターをつけました。(写真1)[:image7:]

これは、スピーカーの足元を極めておられる方から見れば、「邪道中の邪道」(笑)とは思いますが、邪道は邪道なりにメリットもあるので、以下にご報告したいと思います。

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1. 拙宅の場合、左右非対称のレイアウトのため、LのスピーカーがRに比して横の壁に近いという問題点があった。これまでは、Cの位置が固定されていたため、どうしてもLの位置の自由度にも限界があったが、Cにキャスターを付けたことにより、LCRのすべての位置の自由度が増したため、全体に右寄りにシフトさせることにより、壁に一番近かったLチャンネルを、壁から50センチ以上離すことができるようになった。
2. キャスターをつけたことにより、それまでのデフォルトのスパイクに比して、地上高が3センチほど上がった、これによりわかりやすい変化としては、映画を再生してみると、Cから発せられる「セリフ」が、以前より、よく聴きとれるようになった。前にどこかの雑誌に書かれていたが、このSonetto VIIIは3つのウーファーを備えているが、バスレフポートが底面で、デフォルトのスパイクだと床と近か過ぎて、床の素材が木製の場合(拙宅は桜の無垢)、Live 過ぎるという指摘がなされていた。これを避けるため、多くの方はボードを床とスパイクの間に入れて低音の膨らみに対処されていると思うが、それだと「移動」ができない。拙宅の場合は、「可動性」を最優先させたが、副次的な効果として、低音の膨らみをある程度抑制することができた(ただし、拙宅の場合は低域の制動に関してはDirac Liveの効果の方が絶大である)。
3. ニアで2chまたは5.1chで聴くときはナローに、離れてAuro3DやAtmosを聴くときはワイドにと、センターを含め、フレキシブルにLCR3台のSP間隔を調整できる(以前は<センター>の位置が固定されていたので、「ワイド」にしたい場合、Lの壁との距離の問題があり、限界があった)ようになった。
4. 映画を観る際は、従来から音楽用のセンタースピーカーはOffにしているが、音を出さないフロアスピーカーは障害物に他ならない。それが可動式になったことで、「映画用のセンタースピーカー」に音質・音場的な影響を与えにくいであろう場所に移動させることが可能になった。

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センタースピーカーのキャスター化については以上です。これで拙宅の場合、マルチの基本5chがすべて可動式になったので、どこにリスニングポイント(LP)をとっても、「5台のスピーカーをLPから等距離に設置する」という<大原則>がいとも簡単に実現できるようになりました。

さて、もう一つ、目立たないが、結構インパクトの大きなアップデートがISP MK2にありましたので、報告しておきます。

それは、「Storm XT」と称する新機能が追加されたことです。[:image2:]写真2(真ん中あたりに「StormXT On」となっているボタンが追加された)

雑誌でも、HPでも、マニュアルでも、全く紹介されておりませんが…もしかすると、Naspecの人も使い方を知らないかも(笑)。この「XT」というのは、恐らく、「extension」つまり、「拡大」のことだと思いますが、これは要は、<Auro3Dで定義されていないSPをAuro3Dに組み込み、再生可能なスピーカー数を「拡大」する>機能です。具体的に言えば、拙宅の場合、フロントワイドのLRと、ミドルハイトのLRの4台は、Auro3Dでは鳴らすことができませんでした。Auro3Dは、1Fは7.1ch配置なので、FWは含まれておらず、2Fはセンターハイトを含む5chなので、ミドルハイトは定義されてない、つまりそこに「音が振られていない」わけです(今さらのおさらいですが=笑、Auro3Dはチャンネルベースの音源なので、Atmosと異なり、<その>チャンネルに収録されていない音は、スピーカーが接続してあっても<ただの箱>です。音像定位位置を計算して<SPを総動員>して現出させるオブジェクトベースのAtmosのようにはいかないのです)。

いうまでも無く、単に同時に鳴らすスピーカーを増やすだけでは、定位がボケてしまったりしますので、そこはAuro3Dの本家筋、Auro3Dの良さを活かし、そこにさらに空間の広がりと、音数の多さ、音量の豊かさを加える方向で、演算してOutputする機能だと信じています(笑)。

以下、具体的な事例を。

まずは最新作で、Auro3Dに対応したソフトということで話題の(一部の人たちの間だけ?=笑)、Bob James Trio 『Feel Like Making Live!』[:image4:] 

オリジナルはAuro3Dの7.1.4で、Atmos用配置スピーカー群との互換性を持たるために、Front HeightとTopスピーカーのない形式(これは実はAuro3Dのオリジナルソースでも最も多い形式。Dolbyの軍門に下っている=笑)。前にも書いたように、拙宅のAVプリのStorm ISP MK2は、さすがに(笑)、Auro3Dの本家筋なので、Auro信号の入ったソースは、すべてFront HeightとTopスピーカーも入った、フルデコードにUp Mixして出してくる(つまり、7.1.5.1)。[:image3:]

しかし、これまでは、Atmos用に設置してある、Front WideのLRと、Middle HeightのLRの計4台からは、Auro3Dのソフトでは音が出ないので、「遊んでいる」状態であった。私は伊豆ではほとんどの音楽ソフトをAuro3DまたはAuro Maticにして聴いていて、映画はあまり見ないので、実はこの4台のSPとそれ用のパワーアンプが「もったいないなあ」と思っていた。(上記写真中、OUTPUTを示す下段のバーで、4カ所だけブラックアウト=無出力となっているのに注目し、下の写真と見比べていただきたい)

ところが、今回登場したStormXTをOnにすると、Auro3Dソフトをこれらの4chも含めた音場(9.3.7.1)としてエミュレートしてくれるようになった。[:image1:]

次にAtmos 音源での「StormXT」の動作を検証してみる。

Eric Clapton 『The Lady in the Balcony』 [:image8:]
オリジナルは、7.1.2で録音されていて、2Fでは、Middle HeightのLRペアのみから音が出る。最近多い、「簡易型」のAtmosである。

これに対して、「StormXT」をOnにすると、
→Topのみ加わった。

Hans Zimmer 『Live in Prague』 [:image9:]
オリジナルは、民生用AtmosではMaxの9.1.6から音が出る。音楽ソフトとしては珍しく、オブジェクト指定しているようで、曲によっては、Front Wideがほとんど使われていなかったり、2Fの6chも一部使われていないものもある。

これに対して、「StormXT」をOnにすると、
→Front HeightとTopが加わる。

これらの検証から、なぜか、Atmosに対しては、StormXTをOnにしても、フルチャンネルが使えるようにはならないことがわかった。換言すれば効果は薄い。さらに言えば、「トップ」は必ず利用する設定になっているようだが、「フロントハイト」や「フロントワイド」はソフトによってStormXTをOnにしても音は出せないことがあることがわかった…やはり、Stormは、本家筋のAuroの再生に特化して開発しているのが見て取れる(笑)。

念のため、映画の場合もいくつかのソフトで調べてみたが、Atmosでは上記のような「制約」がやはりある(恐らくオリジナルを尊重して「改変」を最小限に留めているのだろう)。
ただし、AtmosではないDolbyの7.1chをDolby Surround にするとUpmixにより2Fの6chがすべて鳴るようになる(7.1.6化)。さらに、それに対して、StormXTをOnにすると、加えて、FW2ch、Front HeightとTopという全4chにも音が振られ、4台のSWを加えた拙宅のフルモードとなる9.4.7.1の「全空間サラウンド(笑)」が楽しめるようになった。(ただし、なぜか拙宅のAVプリでは、DTS Neural Xを使って、ソースをUpmixすると、StormXTを使わなくても、元々「全チャンネル出力」をしている)

その効果は…21台のスピーカーから出る音に囲まれる「音場感」を言語化するのは、<虚しい努力>というものでしょう(NHKの22.2=24 Speakersには負けますが=汗)。宇宙空間体験などと同じで、他との違いは<体感する以外ない>です(と、逃げる=笑)。

結論的に言うと、今回のアップデートでISP MK2に付加された、新機能「StormXT」(ただしこれはAuroの新技術ではなく、StormのAVプリに限られる技術であることに注意)は、Auro3Dが定義する最大SP数(7.x.5.1=SWを除いて13ch)を上回るSPを設置している環境の場合で、特にAuro3D(またはAuro-Matic)を再生する場合に、部屋全体が鳴るという絶大(?)なイマーシブ感(オルガンなどを聴けばすぐにわかります。先日、これから新築予定の友人が拙宅に来て、リクエストされた『アイネクライネナハトムジーク』を、最初はオリジナルの5chで、次にAuro-Maticの17chで聴かせてみたところ、まだオーディオシステムを持っていないというレベルの彼ですら、「全然違うね」と言っていた)を創造するものということが言える。現状、この「恩恵」を受けられるユーザー数は限られている(もしかすると国内では私だけか???)が、将来的な発展可能性として、このような技術ができたということは、<スピーカー設置沼>にハマってしまっている方にとっては、ある意味、<スピーカーを増やす意義>を提供してくれるもので、「もう少しスピーカーを増やせるスペースはないか」と、部屋を見渡しているワタシがいるのであった…(笑)。

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