(マルチチャンネル)パワーアンプの聴き比べ

日記・雑記
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伊豆に来ておりますが、今日は東京電力管内に節電指令が出ておりますので、マルチは封印し、2chでカラヤンを聴きながら書いております(真空管A級なのでもしかすると、こちらの方が電気を使っているかも…笑)。

さて、すでにご報告済みですが先日、マルチチャンネルパワーアンプを入れ替えました。その際、4種類のパワーアンプを使い、私とK&Kさんの二人で、「ブラインドテスト」をしました。その結果については簡単に前回の日記でご報告しましたが、今回は、もう少し詳しく、それぞれの機器に対してどのような感想を二人が別々に持ったかを整理してみたいと思います。

言うまでも無く、「ブラインドテスト」は二人以上でなければ不可能で、通常一人だけでつなぎ替えて行う「比較試聴」だと、どの機種をつないでいるのかが分かるので、どうしてもカタログ上の情報や、プライスタグ(笑)といった「雑念」が、主観的な<音質評価>に影響を与えることを否定される方はおられないと思います。

この度は「パワーアンプ」という、スピーカーやプリアンプやソース機器に比せば音質差が出にくいと一般には思われている機器の買い替えに当たり、本コミュニティの古参で数多くのハイエンド機器をお持ちの猛者宅に試聴に行かれた経験の豊富なK&Kさんのご協力を得ることができました。普通、ショップでブラインドテストをするのもいちいち店員さんにつなぎ変えをしていただくことになるので(ハイエンドショップは「切り替え機」を使いませんよね)、購入前提でないと敷居の高い行為(笑)だと思いますが、今回は、たまたま2台の機器をそれぞれ別のショップから同時に貸し出しを受けることができたため、拙宅にある2種類のパワーアンプ(残念ながらもう一台の真空管A級はバイアンプに対応していないので今回は外しました)と合わせて4種類の自宅比較試聴という、幸運な経験をすることができました。以下に報告します。

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<試聴実験の条件>

1. 使用スピーカーはSonetto VIIIのLR2チャンネル(本来、マルチでやるべきだとは思うが、つなぎ替えに尋常でない時間がかかるので、今回はパワーアンプとしての音質を見るために2chステレオで行った)。一辺約2Mの正三角形の頂点をリスニングポイントし、スピーカーは左右および後の壁から1M以上離して設置。
2. 接続はすべてバイアンプ(上下とも正相接続)
3. サブウーファー、音場補正などはすべてOff
4. ゲインについては、BTL接続はマイナス6dbとし、実際の試聴時に聴感上の音量を各自がリモコンを手に、曲ごとに合わせた。
5. 使用したソース機器はK&Kさんがご自宅で聴きなれているOPPO205のアナログ出力を使用し、それをISP MK2のアナログ入力に入れて、バイアンプモードで4ch出力させてパワーアンプにつないだ。接続ケーブルはすべてXLR。
6. 試聴ソースについては、それぞれが普段、調整用・検聴用に自宅やオフ会で聴き込んでいるソフトを利用した。K&KさんはUSBメモリーで、私はリッピングとSACDなどを利用した。
7. 実際に「ブラインドテスター」を務めたのは、K&Kさんお一人。当日は時間の関係で、私は繋ぎ替え作業に徹した。私の比較試聴は、前日までに3日間ほどかけて徹底的に行ったが、それらはすべて「ブラインドではない」ことに留意されたい。
8. ブラインドテストは、A,B,C,Dという記号名でアンプを表現し、先のダイナにおけるAmator III用のアンプ選びの際に学んだ、「比較試聴は一対一でないと印象がぼやける」という経験則から、まずA vs. Bを複数の音楽ソースを使って行い、次に C vs.Dを同様のソースで行い、その後、気になったものを再試聴する、という方式で進めた。[:image1:]

<LineUp>

A:Yamaha MX-A5200 (AB級、11ch) 26.4kg

B:Storm PA16 Elite (D級、16ch) 18.0kg

C:NuPrime STA-9 (A/D級、2ch)* 4.8kg

D:Storm PA16 MK2 (D級、16ch)18.0kg

*=高域はSingle Mono接続、低域はBTL接続(-6db)で、片チェンネル2台、計4台のステレオパワーアンプを使用

なお、このコミュニティの方にはいないと思うが(笑)、増幅方式である「D」級を<Digital>のことだと勘違いされている方=実は私も最近まで=笑=を見かけることがあるが、ダイナのSさんによると、オーディオグレードのアンプは今や、D級といってもアナログ的な手法を取り入れてハイブリッドにしているものも少なくないそうで、メーカーがはっきりそれをカタログなどに書いていなくても、ふたを開けるか(私は怖くてしたことないです=笑)、重さを見ればわかるとのこと(私には分からないが=笑)。ゆえに参考のためにカタログ上の重量を表記した(K&Kさんには事前にはこれらの情報は一切お伝えしていない)。ちなみに、発熱の方は、ヤマハのAB級よりむしろA/D級を標榜しているSTA-9の方が多いくらい。さすがにStormの2台は純D級なのか(?)、ほとんど発熱が無かった。

<試聴結果>

まずは私の感想をわかりやすいように定性的にまとめてみた。ただし繰り返すがこれは「ブラインド」による比較結果ではなく、<煩悩にまみれた>主観的感想である(笑)。使用したソースは、ピアノソロ、バイオリンソロ、女性ボーカル、男性ボーカル、ハイレゾロック、トリオのJazzなど。なお、以下のメモはK&Kさんをお呼びする前に作ったものなので、後に紹介する、K&Kさんの感想に影響を受けてはいないことを付言しておく(もちろん、K&Kさんにもお見せしていない)。

[高域のハイレゾ感、静謐な迫力]
PA16-Elite>STA-9(Single)=PA16-MK2>MX-A5200

[中高域の滑らかさ、クリーミィなきめの細かさ]
STA-9(Single)≧PA16-MK2>PA16-Elite>MX-A5200

[低域の締まり、塊感、力感]
STA-9(BTL)>PA16-Elite>PA16 MK2>MX-A5200

[低域の量感・ふくよかさ]
MX-A5200>STA-9(BTL)=PA16-Elite=PA16 MK2

[出音の躍動感・楽しさ]
STA-9(BTL)>PA16-Elite=PA16 MK2>MX-A5200

次に、K&Kさんのコメントを紹介したい。これが肝心で、上記のPreferred Listeningの結果をどの程度Fairなブラインド試聴で裏打ちできるか。このためにK&Kさんに伊豆までご足労願ったのである(もちろん、プロのオーディオ評論家間ですら同じ機種に対する評価が同じではないことから、ブラインドとはいえ個人の「好み」が反映されることは否定しない)。

K&Kさんが試聴に使われたソースは、女性ボーカル、ピアノDuo、太鼓の3種類であった。以下は彼が試聴しながら記入していた手書きのメモ。
[:image2:]

もちろん、この赤字の「答え」は最後に私が書いたもの。総合的に一番良かったのはどれですか?との質問に、「Cです」とお答えいただいた時は「ほっ」とした(笑)。何と言っても最も苦労して構成した組み合わせだし、一番コストもかかっているので。もし「A」と答えらえたら、オーディオ道楽、止めようかと(汗)。それ以外で特に「B」と「D」については、「甲乙つけがたいが、Auroさんの好みはBでしょ?」と言われたときも、また嬉しかった(笑)。実際、その前の自分だけによる比較試聴により、「B」を購入する決意を固めていたので。これももし「二番目はA」と言われたら、買い替えるの止めたかも(笑)。

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この後、PA16 Eliteを入れてすべてのSP群を接続し(このアンプからは、FWのバイアンプ、SBのバイアンプ、フロント・ミドル・リアハイトのシングルの計14chを使用)、K&Kさんにマルチソースを聴いていただきました。そのFirst Impressionは先の拙日記のレス欄に入れていただきましたが、私も後日、もう少し聴き込んでから書いてみたいとは思います。

最後に、生臭いデータを(笑)。今回試聴に使用した、SonettoVIII 1台当たりのパワーアンプのコスト(2022年3月現在の定価ベースにより計算)

STA-9 (2ch) 148,500 円(税込)=74,250円/ch
バイアンプ(中高域Single、低域BTL)により2台のSTA-9を使用=計297,000円/台

MX-A5200(11ch) 352,000円(税込)=32,000円/ch
バイアンプにより、2chを使用=計64,000円/台

PA16 Elite (16ch)  1,650,000円(税込) =103,125円/ch
バイアンプにより、2chを使用=計206,250円/台

PA16 MK2  1,430,000円(税込) =89,375円/ch
バイアンプにより、2chを使用=計178,750円/台

以上、何らかの参考になれば。

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