最後のピースがはまる瞬間

日記・雑記
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最近訪問したグルマン邸でもそうだった、拙宅でも似たようなことがあった。オーディオのサウンド調整をする中で、これでOK!と思える最後のピースがはまる瞬間があるものだ。最後のピースは、最後に使う部品の意味でもあり、最後にVサインを出す意味でもある。

<事例1>:先週訪問したグルマン邸でのこと。

(kanataさんにお借りしたものを加工した写真)
訪問目的は仮想アースの会だったのだが、グルマン研究所での目下のテーマは出川式電源とバッテリーの比較。玄関に入るなり、話は電源の話題となった。靴箱の中に設置されたモデムやルーターについての説明を受けた。

奥の部屋に入るとリビングの袖の部屋としてオーディオ部屋があった。電源だけで360Kgの機材があるとの話は聞いていたが、床やラックに散在する様は圧巻というか唖然だった。

簡単な説明の後で試聴が始まった。私の聴く音楽の好みを察知してかクラシックがぶつ切りに3曲かかった。
ヒジ:「音が近いですね。」
率直にコメントすると、
グル:「これはモデムとルーターとハブが出川式電源です。」「バッテリーに替えてみましょう。」
と先ほどの下駄箱のところに行かれた。そして同じ曲がぶつ切りにかかった。

すると、先ほど近かったものが遠くに移った。
グル:「面白いでしょ。」「この音源はリッピングしたもので、モデムにもルーターにも繋がっていないのですよ。」「でも音は変わるでしょ」「どっちがいいですか?」
ヒジ:「音像は遠い方が好みですが、出川式電源の方が音は濃いですね。」
グル:「それならこれはどうですか・・・」
こんなやり取りの中で、様々な曲や仕様で出川式電源とバッテリーの比較試聴が続いた。私の頭の中は、仮想アースの比較はいつ始まるのだろうとの思いが渦巻いていた。だがオーナーの頭の中には、出川式電源とバッテリーの比較のことしかないようだった。

いろいろな仕様で比較はしたものの、これという決定打は出なかった。そこで、グルマンさんから奥の手が、
グル:「それでは、充電時間的に問題があるのですが、別の場所もバッテリーにしてみましょう。」
なにやらゴソゴソとやられた後で音出しスタート
ヒジ:「音はさらに遠くなりますが、広がりがないですね。」「広がらなくて遠近法みたいです。先ほどの方がよかったです。」
オーナーは少し考えた末に、またゴソゴソとされていた。
グル:「これでどうですか?」
そこから出た音、やや遠めに位置する音像だが、その音像位置から周囲に発する音場が生まれ、広がりも十分だった。しかも、音の線が太くなり、重心も下がって、SN感も向上しているではないか。

最後のピースがはまる瞬間だった。
ヒジ:「何をしたんですか?」
グル:「これをケーブルに付けただけなのです。」

たったこれだけのもので・・・
なん百キロもある電源機器やオーディオ機器、そしてアクセサリーの山。でも、それまで聴いてきた音は、首を左右に振らざるを得ない音だった。それが、これ1個を付けただけで。。。
これがオーディオだ。

<事例2>:今週の自宅でのこと
たわしアースと新しいCDPへの入れ替え後のサウンド調整もほぼ終えて、聴き込みをしていた。十分な仕上がり状態になったと思い、自己検証として手当たり次第にDiscを入れ替え聴いていた。

自宅では特にオーケストラの目覚ましい進化を感じていた。やや遠めに位置するオーケストラから発する楽器群の音に、聞き耳を立てればひとつひとつの楽器の音が聞き取れるし、ゆったりと聴けば心地よいハーモニーを感じる。壁を突き抜ける広大な音場の中で、まるでコンサートホールの中で聴くような気分に浸っていた。

だが、聴き込みを進める中で気になる点が出てきた。これは東京オペラシティで聴く感じの音だなと。シューボックスらしい密度感のある点はいい。でも自分好みは、ウィーンの楽友協会で聴くような音のはずだと。演奏が始まった瞬間に全身に音を感じ、滑らかさや綺麗さよりも、波動が押し寄せて来るようなサウンドが味わいたいのだ。

どうしたものかと悩ましかった。たわしでのチューニングでは、ステンレスを増やせば力強さは増してくる。だが、同時に音像位置も近くなって来てしまうはずだ。たわしでの音調整にも限界はある。どうすれば・・・と悩んでいると、ふと思いついて天井を見上げた。

そういえば、以前にも楽友協会のような音を出したいと思い取り組んだことがある。その時の最後の仕上げは天井だった。上からの反射音は聴感上に大きな影響がある。自分のオーディオは、部屋の力を借りたオーディオだ。小さなピースを付けたり外したりしての試聴を続けていると、どうすれば好みの音になるかの予想がつくようになるものだ。

最後のピースはこれだった。5cmほどの木片ふたつ。これを張り付けて音を出すと、これがはまった。
求めていたのはこのサウンドだ。心の中でVサインを出した。

最後のピースがはまる瞬間、こんなことを感じた方もいらっしゃるのではないか。たったこれだけのことで・・・、と人にも言えずに胸の中に抱える思い。オーディオにはこんなこともあるものだ。

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「最後のピース」を連続して体験したので日記にしました。
この最後のピースはモノを追加するだけでなく、外すや、少し動かすなど諸々あります。
この他にも事例として挙げてみると、
1)音響パネルを最後の1枚置いたら、急に音が部屋中に充満した(拙宅)
2)スピーカーを1mmくらい動かしたら、定位がピタッと安定し動かなくなった(拙宅)
3)アンプを出川式電源したら、ウーファーが突如動き出して低音が見違えた(拙宅)
4)壁にダイナミックダンパー(自作)を取り付けたら、低音のモヤモヤが消えた(拙宅)
5)CDPの電源ケーブルを1本替えたら、急にスピーカーが鳴り出した(他邸)
6)壁かけてあった絹の布を外したら、音が部屋中に回りだした(他邸)  ・・・etc

大抵は詰めて詰めているのにもう一つ成果が出ないときです。何かが少しだけ邪魔していたものが、それを取り除くことで開花する感覚ですね。その何かを見つけるのが、経験と勘でしょうか。

Vanillaさんは熱心にオーディオに取り組まれているご様子なので、これから幾度となく体験されると思います。逆に言えば、この感動が忘れられなくてオーディオがやめられないと言ってもいいかと思います。もちろん、基本や機器の性能などもありますが、自分の環境の中で地道にコツコツと追い込んでいくことで花開くことだと感じています。オーディオって本当に楽しいですよね。

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最後に残っていたDACとプリ間のバランスケーブルを見直したときの経験がとてもわかりやすい事例ですね。

>つかえていたものが取れ、一気に音が開放されて、スピーカーから飛び出してきた感じ

まさにそれですね。
1)スピーカーセッティング
2)電源関係
3)室内音響
4)振動対策
などの環境や使いこなしでガラっと変わる瞬間のことが日記の題材です。逆に言えば、それらに何かのつかえがある限り、いくら高級な機器を使おうが求めるものは得られないであろう、と言うことが言いたかったことです。

試行錯誤しながらガンガンいっちゃって下さい。

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これ大事ですよね。
良かれと思って機器の入れ替えや、アクセサリーの追加など、何かの改良を加えた時に、気にしている部分はアンテナが立っているので、耳は優れた計測器として働くものです。ですが気にしていない部分と言いますか、思わぬところに落とし穴があって後から気づくことはよくあることですね。

デジタルのソースやデジタル機器が増加してきて、これまでのアナログ回路に混在してくると、この思わぬ落とし穴の可能性が増えている気がします。

よくしたいとの思いから、追加追加の傾向になるのは心理的にも当然の流れですが、追加することによるメリットばかり見て、デメリットである失われたピースを見落とすことの方が容易に陥る罠とも言えますね。

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