A.S.C.元会長の来訪(前編)

日記・雑記
日記・雑記
Sponsored Link

コミュメンバーである、くされももんがさんのアテンドでA.S.C.元会長のKY氏がお見えになりました。一年半ほど前に、くされももんがさんをお招きした際に、「この部屋とこのシステムで、この音は信じられない!」と感じていただき、ご自身が所属するA.S.C.の元会長が神奈川に来られるので、一緒に訪問したいと申し入れを受けたものです。

 

A.S.C.とは、広島のアコースティックサウンドクラブのことです。音楽とオーディオを愛する人達が集まり、年会費を募ってライブを聴き、録音したものを自宅で再生し確認することを主な活動内容とした会であるとのことした。最初にA.S.C.と、前会長であるKY氏の紹介から実施したいと思います。A.S.C.のライブ録音で代表的なものは、「土と水」です。

 

広島にあるサウンドデンのHPによると、A.S.C.の起こりは下記とのことです。

『お客様から相談を受けた事に始まる。・・・職場の仲間でオーディオクラブを作っておられたのだが、殆どの方が本当の楽器の音を知らずにオーディオをやっていると言うのだ。コンサートに行ったとしても、クラシック以外はPAを使った音ばかりで、そんな音を聴くくらいなら、自宅のオーディオ装置の方が余程ましだと言う。

そこで私は提案した。私が懇意にして戴いているミンガスと言う店で、まずPAを通していない「生のジャズ」を聴いて見たらどうだろうか?その上で録音し、それを自宅の装置で聴いてみれば、色々な問題点が具体的に解る様になると思うんだが.…

 -中略-

『そこで、私はお客様から有志を募ってASC(アコーステックサウンドクラブ)を立ち上げた。・・・いざ集まってみると、自分の知識をひけらかす者、持っている装置を自慢する者と、おおよそ消滅してしまった他のクラブと同様な内容となってしまった。・・・もう随分と前の話になるが、遂に倦怠期のASCに喝を入れる人物が現れた。恰幅の良い紳士が店に現れ、色々話をしている内に試聴室で音を聴いてもらう事となった。・・・とにかく無二のオーディオ好きで、私にはどうでも良い様な僅かな癖さえも見逃さない凄耳の持主である。聞けば2代目社長で、本業が忙しいのに寝る間を惜しんでオーディオをやっていると言うのだ。』

 -中略-

『その後その人は強力なリーダーシップを発揮した。月1回の定例会にも必ず参加し、確認音源の素晴らしさを懇々と説かれる熱心さに、私はこの人にならASCを任せられると確信した。そしてASCの活動に一切口を出さない事に決めたのである。』

 

HPで紹介されている、「寝る間を惜しんでオーディオをやっている人」が、A.S.C.の元会長であるKY氏です。A&Vビレッジ誌での執筆活動もされていたとのことです。くされももんがさんによると、KY氏はこれまで2千軒を超える方とのオフ会を実施されてきたとのことです。広島でこの数ですから驚異的なことかと思いました。このような大先輩をお招きするのですから、緊張の色は隠せないでいました。

そんなことから、オフ会開始の前に昼食をご一緒しばがら、歓談タイムを設けることとしました。

 

お会いしてみると、一言二言の言葉を交わしただけで、そのオーラの強さに当てられてしまいます。礼儀正しく、温和な感触ではあるのですが、言葉のキレがいいです。そして、このオーラの感触は、武士道でいうところの「こやつ強い!」と感じる類のことかと思いました。

歓談は自己紹介から始まりました。

ヒジ:「以前はA.S.C.の会長をやられていたとお聞きしましたが、今は何か活動をやられているのですか?」

KY:「今はメーカーになってしまいました」「音響機器メーカーのサウンドマイスターもやっています」

(内心)なに、「メーカー」、「サウンドマイスター」だと、とんでもない人を迎えてしまったかもしれない。しかし、ひるんではいけない・・・

ヒジ:「KYさんがオーディオに興味を持たれたきっかけは何ですか?」

KY:「小学校4年の時に風呂場で二つの水滴が落ちるのを見て、水紋の出来方に疑問(なぜ)を持ったのがきっかけです」

ヒジ:「水紋を見たのがきっかけとは驚きです。私も小学生から初めましたが、オーディオブームの影響でした」

KY:「担任の先生が音響工学を学んだ人で、質問をしていた所、専攻した大学教授のところに連れてかれました」「その大学教授にの所に向い、質問を投げかけていたところその大学教授に気に入られたんです」「大学教授曰く、”音響工学は権威の主張が正しいとされて来ているが、君の感じていることの方が正しいかもしれない”・・・そんな話にもなりました」「オーディオを始めたのは、それがきっかけです」

(内心)とんでもない人を招いてしまったようだ・・・自分の音を聴いてもらうのが、楽しみなような怖いような・・・しかし、ひるんではいけない・・・話を変えよう

ヒジ:「オフ会を数多く実施されていると聞きましたが、どのくらいやられているのでしょうか?」

KY:「そうですね。以前は年に1000回くらいです。今は年に500回くらいですね」

ヒジ:「年に1000回ですか?500回としても計算が合いませんが?」

KY:「ああ、朝9時から10時まで、11時から12時まで、14時から15時まで・・・など時間割を組んで実施しています」

ヒジ:「はあ、(言葉が続かない)」

KY:「A.S.C.の会長をやって評判が立って、申し込みが殺到したので、そんな習慣になったんです」

ヒジ:「それにしても、年1000回はすごいですね。何かエピソードなどありますか?」

KY:「沢山ありますね。印象的なのは、音を聴かせて欲しいと遠くからお越しになったのに、音を聴かずに帰られた方が5人いらっしゃいます

ヒジ:「音を聴かずに帰った?どうゆうことでしょうか」

KY:「機器を見て、自分の使っている機器より安いものだから聴く価値がないと言われて帰られました・・・ショックでしたよ」

ヒジ:「世の中には、そのような判断基準をお持ちの方もいらっしゃるのですね」

その5名の方は、すべて同じ職業なんだそうです。その後も数々のエピソードなど楽しく会話しました。

 

さて、歓談も終わりに近づき、拙宅にお迎えしなければならない時間がやって来ました。エピソードの会話は楽しかったのですが、いざ自宅にお招きする段になったら急に緊張して来ます。ですが、ここで終わりにするわけにもいかず、覚悟を決めました。

 

オーディオの部屋に入って最初の言葉は、

「この部屋は比較的デッドですね」でした。

(内心)デッドとは初めて言われた。聞いているところが違うのか?感じ方が違うのか?とにかく進もう。

KY:「ここに座っていいんですか」「ではこれを・・・」

と手持の音源を出そうとされたので、

ヒジ:「ちょっと待ってください。こちらで用意してありますから」「私のオーディオ沼はマーラーから始まりました。そして20年かけて追い込んで来ました」「今日はお聴きいただきたい曲を選んでありますので」

KY:「わかりました。では、マーラーから聴かせて下さい。」

(内心)そういう展開になったか・・・まあ仕方がない

ヒジ:「わかりました。では、マーラーから3曲を少しづつお聴き下さい」

当初考えていたプログラムでは、ボーカル⇒クラシック⇒ジャズ⇒現代曲⇒マーラーと進み、交響曲第2盤⇒第5番⇒第8番と進める予定でしたが、変更してマーラー交響曲第5盤⇒第2番⇒第8番の順番で進めることにしました。一瞬の判断です。

(次回に続く)

コメント ※編集/削除は管理者のみ

  1. 先日はありがとうございました。

    こちらからすると、終始なごやかな雰囲気でオフ会ができたと感じていましたが、なごやかではありつつも内心ではかなりの緊張をお持ちだったと知り、興味深く拝読しました。

    一点だけ指摘なのですが、KY氏はASCの「前会長」ではなく「元会長」です。
    KY氏と現会長との間にも、会長をお勤めになった方がおられます。
    きちんと説明できておらず、すみません。

    後編も楽しみにしております。

    • くされももんがさん、昨日はお疲れ様でした。

      KY氏はASCの「前会長」ではなく、「元会長」だったのですね。日記を修正しておきます。

      >こちらからすると、終始なごやかな雰囲気でオフ会ができたと感じていましたが、なごやかではありつつも内心ではかなりの緊張をお持ちだったと知り、興味深く拝読しました。

      「オーディオ道とは武士道とみつけたり」、達人たちの日記を拝読しても、「初交流」の時は終始相手の技量と自分の技量を量りにかけているような面があると感じています。

      和んでいるように見えたかもしれませんが、オーラの強さにあてられてかなり緊張していたんです。ですが、KY氏は誠実な態度で接してくれたので助かりました。

      後編も楽しみにしていて下さい。

タイトルとURLをコピーしました