オーディオ目的で回ったOTOTEN2日目にちょっと変わった出来事がありました。4階のWAPAN(鹿港音響)の音の話です。
チラ見モードで会場を回っていたときに、一番端のブースにあるWAPAN(鹿港音響)と書かれた部屋に入ると、「よい音で鳴っている」と思いました。鹿港音響という名前は初めてでしたので、どこの国ですか?と尋ねたところ、「台湾です」という返事が返ってきました。その時は、次のセミナーが控えていたので、すぐに出ました。
主要なセミナーを聞き終わった後で、足が疲れたのでどこかのブースで座って休むことにし、「鹿港音響がいい音だったので、そこで休憩タイムにしよう」と4階にあるブースに向かいました。
まだ知名度がないためかブースは空いていましたので、一番音がよいと感じる場所に座って聴いていました。最初はクラシックのオーケストラ曲が流れていました。音響的には何も処理されていない部屋でしたが、コンサートホールで聴くような感覚に浸ります。「やはりこのブースの音が一番いい」と。
ところが、ダイアナ・クラールのボーカルが流れた途端に違和感を感じました。歌声がフォーカスせずに部屋いっぱいに広がってしまうのです。少しそのまま聴いていたのですが、どう考えてもおかしいのです。何か細工でもしているのか?そんなことが浮かびました。
そこで、ブランド名が表示された布製のパネルの裏側を覗いてみたのですが、機器が入っていたと思われる段ボール箱が積んであるだけです。釈然としなかったので、横に立っていた説明員と思われる人に声を掛けました。
ヒジ:「質問したいことがあるのですが、いいですか?」
説明員A:「私は通訳なので、担当者を呼びます。スピーカーのことですか?」
ヒジ:「いえ、全体的なことです」
そう告げると、Aさんは一番詳しそうな人を呼びました。
ヒジ:「いい音だと思います。オーケストラに惚れ惚れしました。」「ですが、ボーカルが部屋全体に鳴っていておかしいです。」
説明員B:「我々は台湾からオーディオセットを持ってきました。4社の製品があります。」「ですが、その中の(たぶん)アンプの位相がおかしいのです。」「狙いのフォーカスポイントはココです。」
と言われて、その場所で聴いてみると・・・
ヒジ:「ボーカルが後ろから聴こえてきます。」
説明員B:「位相がおかしいのです。このシステムでボーカルがフォーカスする場所はあそこです。」
促されて、その場所で聴いてみました。
ヒジ:「確かにボーカルがフォーカスしますね。」
説明員B:「申し訳ないのですが、台湾から運んできた機器の替えがないのです。」
ヒジ:「理解しました。いい音ですね。」
そんな会話をしてブースを出ました。ですが、出てから考えました。
「ボーカルがおかしかったのは機械のせいで仕方がないとして、オーケストラがあれほど心地よく鳴っていたのは位相が狂っていたからなのか?」「OTOTENで聴いた中で、一番よく鳴っていると感じたのだが・・・」「もしかして、自分の耳がおかしいのか?それともそういうものなのか?」
疑問は解決していませんが、ココが一番よく鳴っていると感じたのは事実です。オーディオって不思議と何度も思ったOTOTEN2024でしたが、壊れた機械で聴いた音が一番よく感じたとは・・・ますます不可解なオーディオ体験でした。
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ヒジヤンさん、この現象はマルチやってる人のアルアルですね。
オーケストラが生のコンサートホールのように鳴るんですよ。
要するに広がりがあってビシッと定位しないようなオーケストラが再現されますので、チョット聴くとスゴイナ~って感じます。
ところが20分、30分と色々聴いているうちにアレッ???ってなってきます。
楽器の配置がなんか変、ボーカルがボケる、センター定位が左右どちらかにズレる等々、、、アレレッ???
原因はミッドバスやミッドの片側だけが逆相だったりします。
だから調整するときはフルレンジと比べながら調整しないと深みにはまります。
マルチ使いは位相に関して鈍感な方が多く、指摘されるまで気づかないし指摘されても認めようとしないし。「オレはそんなミスしない、誰か弄ったのか」「プロに調整してもらったのでそんなことはありえない」ってな具合です(笑)
spcjpnorgさん、話題が弾みますね。
説明していただいたことで、「なるほどー」と納得しました。
あの位相が狂っているときのオーケストラ再生は、まるでコンサートホールかと感じました。所詮、オーディオ再生は錯覚の成せる業なので何でもありなのかもしれないですね。
マルチのアルアルも納得しました。あれは騙されますね。ボーカルを聴かなかったら、OTOTEN感想の中で絶賛していたかもしれないです。勉強になりました。
おはようございます~♪
守備範囲のネタが続いたので連投してしまいました。
お相手ありがとうございました(^^)
尚、この春にオーディ機器を大規模断捨離して身軽になりましたがオーディオ遊びは継続中です。
おそらく体が動かなくなるか耳が聴こえなくなるか新しいアイデアが無くなるまでは続くと思います(笑)
spcjpnorgさん、いいですね~
>おそらく体が動かなくなるか耳が聴こえなくなるか新しいアイデアが無くなるまでは続くと思います
本当にオーディオは底が見えなくて楽しいです。自分も「エンジニア耳のための投資はせず」「音楽耳と鑑賞耳への投資」をしている状況です。実演の方は、すでに限界が来ているようで気力がわきませんが、オーディオはまだまだ楽しめそうです。
今後も楽しんでまいりましょう。
ヒジヤンさん、こんばんは。
私も鹿港音響がナチュラルな音で気になり、思わず立ち止まって聴きました。位相がおかしい可能性があると言うことでなるほどと思いました。おかげさまで疑問が解けました。単に左右のどちらかのプラスマイナスを入れ替えるだけで解決するようなことではないのか。色々考えが巡ります。
マルチのあるあるとして、前にきちんとしたシステムを用意する余裕がないため、リアスピーカーをマトリックス接続で試したことがあり、そのような雰囲気なのかなと思いました。
しかし、鹿港音響をきちんとした環境で一度、聞いてみたいなと思います。
そうこうしているうちに、インターナショナル・オーディオショーが近づいてきました。早速事前申し込みしましたが、今年はOTOTENと日程が近いですね。暑い時期なので、会場まで行く時に熱中症に気をつけないとと今から思っています。
sonnenblueさん、おはようございます。
鹿港音響ブースはナチュラルで音が濃くて勢いがあって、よかったですよね。位相が狂っていたのは残念でしたが、オーケストラは生演奏のようで、「もしかするとこうゆう音作りの仕方もあるのかな?」なんて思いました。
位相の狂いは、定位と空間表現に影響があると思いますが、スピーカーの出音はよかったですね。何の変哲もない四角の箱の2Wayスピーカーですが、その実力の高さには驚かされました。
検索してみると、アジアのオーディオ熱の高まりはすごいことになっているようです。
「東アジア、東南アジアのオーディオ熱は高まるばかりのようだ。上海や香港、台北のオーディオショーに出かけた友人知人の話によると、日本のショーとは比べものにならないくらいの数の人々が押し寄せ、しかも若い人が断然多いという。」
-Stereo Sound ONLINEより
やはり市場が盛んだとメーカーに勢いがありますね。音にも勢いがあったように思います。「音は国、市場、人なり」間違えないと思います。
自分に位相がおかしいと力説してくれた説明員Bは、鹿港音響(ルーカンオーディオ)を主宰するロックス・シーさんでした。目を見開き、力強く説明する姿は、写真と同じす。
ヒジヤンさん
レスポンス、ありがとうございます。鹿港音響のロックス・シーさん、きちんと位相がおかしいと話してくださる点も音への真摯な気持ちが垣間見れお話を伺って好感を持てます。
オーディオは国内メーカーの多くがなくなり、また製品も出なくなり、欧米または東南アジア(日本を除く)の製品ばかりのような気がしていました。特に、中国は、中華アンプやHifimanのようなヘッドホンでもとても元気があるように思っています。ここのところ景気のためか中国本土は少しトーンダウンしているようですが。
雑誌、Stereo Sound Online等でも東南アジアの製品や動向をもっと取り上げてほしいなと思います。