スピーカー保護リレーをMOS FETスイッチに… Part 3.2

日記・雑記
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B-2105 MOS Vintageの改造時、使われていたスピーカー保護リレーを見て発見がありました。

この部品の持つ機能とその要求を満足させるための難しさです。
これについてはあまり一般的に必要とされる情報ではないのでしょうが、私の備忘録としてここに書き残しておこうと思います。

B-2105に使われていたリレーの中身は以下の写真のようになっています。

[:image3:]

かなり大型のリレーです。
松下電器(現パナソニック)製の定格7Aのものと思われます。
2回路入り。1回路あたり2接点のツイン接点と呼ばれる構造でかなり凝っています。
片側のchにこの2回路をパラに使っています。かなり贅沢な構成。

リレーの動作原理は以下のOMRONさんのHPの図がわかりやすいと思います。
(無断借用しています。クレームがあった場合には削除します。)

[:image2:]

右側の固定電極も厚手のバネ材でできているので左側の可動電極が押しつけられるとわずかにスウェーして電極同士が多少摺動して接触するものと思われます。
摺動することによって接触不良の可能性を下げることができる良く考えられた構造です。

ツイン接点は接点をふたつにすることで小信号時の接触抵抗の安定性を狙っているようです。
ツイン接点の模式図は以下の通り。これもOMRONさんHPからの借り物です。

[:image1:]

このスピーカー保護リレーの難しさはこれに課せられた以下の機能を実現する必要があるからです。

1.ON時、大パワー投入時の大電流に耐えられること
2.ON時、小信号の微小電圧でも電気的接触が不安定にならずに電流を流せること
3.異常時確実にOFFできること

特に重要なのは3番でこの動作がうまく行かないようではリレーを設ける意味がありません。
どんなことがあっても接点同士が電流による発熱などで溶着することは許されないのです。
そして1番。大電流も安定に流せる接点である必要があります。
ネット上の情報では一般的に大電流を扱うリレーでは抵抗値の低い銀合金が使われると書いてありますが、B-2105のリレーも接点はその色から銀合金だと思われます。
金は銀よりも電気抵抗が高いので大電流では発熱して溶着などのトラブルを招くことになるからでしょう。接点の接触面積が小さいのでいたしかたないようです。

この3番、1番の要求を満たすために割を食うのが2番の要求。
微小信号の導通の妨げになるのは接点の酸化被膜です。
大きな信号の場合は酸化被膜は大電圧がかかることで容易に破られるのですが、微小電圧ではこの絶縁被膜を破ることが難しい。
2番の要求を満たすためには酸化しにくい金メッキ接点を使うのがベストと思われますが、3番、1番の要求のために金メッキは使えない。
B-2105ではツイン接点を用いて小信号への配慮をしているのですが、銀接点の弱点、酸化被膜の影響を完全に避けることは難しいものと思われます。

今回このリレーの中身を見るまでは接点には金メッキが使われているものと思っていました。
こんなトレードオフのために銀合金の接点を使っていたとは知らなかったのです。

MOS FETスイッチに換えたときの変化として女性ヴォーカルの声の滑らかさ、ピアノやヴァイオリンの消え入るような減衰音、残響音のきれいさ、聴き取りやすさを感じたのですが、どうも上記の小信号時のリレーの影響だったように思えるのです。

こんなに違いがあるとは思っていませんでした。

残りはリアの低音用B-2103 MOS。
作業に取り掛かりましたが、思いがけない困難が生じています。
(^^;)
粘り強くやっていくつもりですが…

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