2024/05/25:タイトル名変更
旧:音が大きければ偉いのか?アコリバに見る音量と0.5dBのPart2
新:音が大きければ偉いのか?アコリバに見る音量と0.5dBの新展開? Part2
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アイキャッチ画像はオヤイデ電気さんから転載しました。
アコリバ DSIX(デジタル・シグナル・アイソレーション・エキサイター)の内部写真です。
アコリバさんの説明によると・・・・
パルストランスで絶縁した上で、ロジックICかトランジスタか何かで信号を強化するみたいですね。似たような製品は拙宅にも転がってしました。
拙宅に転がっていた基板と、アコリバさんの DSIX を見比べると パルストランス 一次側と二次側の中間に アコリバさんの方は 銅板か何か静電シールド的なものが装着されています。その他、オヤイデさんの情報による抵抗もVishayとか高級品が使われているとのこと。箱は金属っぽく見えますが叩いてみるとプラスチックでした。
かなり時間が空きましたが、昨年から続く話題の続きのお話です。こちらの Phile-Mに引っ越しする前のPhilewebコミュニティ時代の記事(Part1)を貼っておきます。 Part1 ↓↓↓
↑こちらを予習してもらえば、アコリバさんの DSIXの謎が残っていたことが分かります。
0.5dBアップの謎。それはケーブルという名の不思議な黒い箱が原因だったのではないか? という問いかけです。 とはいえ、パルストランスで音が大きくなることはありませんし、デジタル信号の振幅が音の大きさに直結する事は普通はありません。(DSDだと半分アナログみたいなものなので微妙に音の大きさは変わる要素はありますが、PCMとかSPDIFでは可能性はゼロです)
とはいえ、黒い箱を通すと 音量がアップするのか?
実際に入手できたので本日の日記になりました。audio unionさんから購入しました。
先日と同じように、デジタルのループバック録音で、ビットパーフェクトを確認する作業です。音が大きくなれば、データは90%くらい一致しなくなります。
図:RME社 BabyFace Pro FS の TOSLINK入出力
図:NFJ社 FX-D05J ( 左:同軸から光へ変換,右:光から同軸へ変換)
RME社 Babyface Pro FS には同軸デジタルの入出力が無いので NFJ社 FX-05Jにより同軸変換します。リファレンスの同軸デジタルケーブルは audio-technica社製 の Gold-Linkです。
図:audio-technica GOLD-LINKでループバックの様子(電源はまだ未接続)
デジタルデータは件のCDからリッピングします。
図:話題を呼んだ アーディオアクセサリー誌の付録CD
さあ、録音!! CDのリッピングと録音のwavファイルを比較。
一割くらい不一致。なぜだ!?
WinMergeで確認してみると・・・・
図:WinMergeによるバイナリー比較(左:CD,右:録音)不一致部が黄色
画像を大きくしてみると分かりますが、右側の録音で不一致の部位は「00」すなわち無音を示します。どーやら無音になってはいけないところが無音になっているっぽい。散発的に。これは何か 音の処理が入っている・・・。
確認していくと、Record For DSPが有効になっていた。
気を取り直して、audio-technicaの同軸ケーブルを使用してのループバックを再開。今度はビットパーフェクトでした。これが普通。
約282万3千サンプルの一致をみました。
WinMergeでも見てみます。ヘッダ以外は一致しています。
ここまでは想像通り。
次は、いよいよ、黒い箱。アコリバ DSIX の出番です。
ケーブルを繋ぎ替え。
図:アコリバ DSIX の接続の様子(電源は未接続の状態)
いざ!!
audio-technica GOLD-LINK と同じだぁぁ。ビットパーフェクト。
一応、WinMergeでもバイナリを直接見てみる。
ヘッダだけ違うのは audio-technicaと同じ。ヘッダ同士を比べると audio-technicaとアコリバは同じではない。でも、音楽データは一緒。
基本的にPCMデータの音量を変更するには 大なり小なりコンピューターまたはDSPの処理が必要。パルストランスとか信号増強で音が大きくなる事は ”無い” はずですよね。 nightwish_daisukiの実験が間違っていなければ・・・という前提です。 まぁ、ブツは手元にあるので、0.5dB音量がアップする秘訣が分かれば、その際にまた再現テストに挑戦してみたいと思います。
今のところ、アコリバさんのデジタルケーブル使用による 0.5dBの音量アップ は 確認できないので、オーディオアクセサリー誌で アコリバさんのデジタルケーブルを使ったら音量が 0.5dBがアップした・・・という比較試聴を目的としたサウンドカタログ CDが世に出回ってしまったのは、音源を編集するソフトの扱い方のミス が 原因なんじゃないかと、個人的には考えてします。(日記中の DSP For Recordみたいな)事故。アコリバの時だけレベルを上がってしまったミス。
図:図:季刊・オーディオアクセサリー No.128 191頁より
(こんなに大幅にレベルが上がったらもともとの最初の接続の問題を先ずは疑うべきではあり、再試験が必要だろうと思います。最近の日記を見ても、こういう事故が起こり過ぎな気もします。私見ですが。)
何はともあれ、今回は製品のバグが見つからなくてよかったです。バグがあると車ならリコール。今回の件は車ではないですが回収返金騒ぎくらいにはなったかもしれません。そうならなかったので、ひとまず安堵です。
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2024/10/04追加:
始まりは 無線と実験 MJ誌1997年 9月号 柴咲 功 氏が考案した
DSIX(デジタルシグナル・アイソレーション・エキサイター)
からから始まった。アコリバさんのDSIXは同紙12月号の改良型
第9世代のものが原型になっているとみてほぼ間違いがない。
図:無線と実験 MJ誌1997年 12月号 138頁
図:無線と実験 MJ誌2023年 MARCH No.1201
「アコースティック・リヴァイブの歩み(4) デジタルケーブルと関連製品 - 柴崎 功」107頁より アコリバ製DSIXの解説内容(不要部分を灰色で塗りつぶし)
図6で示されたDSIXのブロック図を見て明らかなように、これは言わば単なる中継器であり、入力と出力が異なるデジタルデータ(音楽データ)になるようであれば製品としてまったく用を成さない。0.5dBの音量アップの原因は、DSIXにデジタルデータを通過させた事によるものではなく、原因は他にあると断言できる。
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