2019年:私的オーディオ総括(音楽編)

日記・雑記
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オーディオの目的は音楽再生。今年も例年より回数は少な目でしたが素晴らしい音楽体験がありました。その中で興味深いものを幾つか紹介します。

「Evgeny Kissin at Barbican (2月)」
毎年聴きに行くキーシンの定例の公演。いつもながらの凄い集中力。ところが、演奏途中で携帯電話らしき信号音が!しかもどんどん大きくなり止まりません。聴衆はガヤガヤし始めますが、別空間に行ってしまったキーシンの演奏は止まりません。最後はホールの係員に肩をたたかれて演奏を止めましたが、彼には信号音が全く聞こえていなかった様子。後から分かりましたが、あのノイズは聴衆の一人の心臓のペースメーカーの電池切れ警告音だったようです。

「Haitink at 90 – Birthday Concert: Bernard Haitink/Isabelle Faust/London Symphony Orchestra at Barbican (3月)」
ハイティンク90歳を記念したコンサート。御大が、ドヴォルザークのバイオリン協奏曲とマーラーの交響曲4番を随所で立ち上がって指揮しました。
前半のソロイストを務めたイザベル・ファウストのパフォーマンスも実に素晴らしいものでした。ただ、何よりびっくりしたのは、当日のプログラムに記されていたハイティンクの略歴。この90歳記念コンサートの後はsabbatical(長期休暇)に入るとのこと。どうやら引退公演という訳では無さそうです。。。
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「Juan Diego Flórez at Royal Festival Hall (3月)」
家内の友人の体調不良で急遽お呼びがかかり出かけたフローレスの公演。何と席は最前列ど真ん中。歌手まで直線距離で約2メートル。歌いだす前の鼻呼吸まで聴こえました。この音圧は凄かった。まさに鼓膜がビリビリするレベル。「連隊の娘」でハイC連発。〆は「誰も寝てはならぬ」でお腹(お耳)いっぱいで帰途につきました。
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「The Barber of Seville at Glyndebourne (7月)」
ロンドンの南、クルマで1時間程度(ロンドン北部の自宅からだと2時間程度)にあるグラインドボーンで「セビリアの理髪師」を観ました。1930年代に英国のオペラ好きの資産家が、自宅を改装して始めたのが起源で、規模が大きくなったとは言え「小屋」の雰囲気も味わえる環境です。ここは幕間が長く、その間に敷地の芝生でのピクニックやレストランでのディナーの楽しさもあります。この日の為にタキシードから靴まで新調して友人夫妻と共に出かけました。公演自体は、アルマヴィーヴァ伯爵役のLevy Sekgapaneが容姿・歌唱共にイマイチで、大満足という訳にはいかなかったのですが、極めて英国的な時間を過ごしました。
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「Gustavo Dudamel/Los Angeles Philharmonic Orchestra at Barbican (11月)」
ドゥダメル=LAフィルの公演。Barbican Hallで「春の祭典」を初めてライブで聴きました。ドゥダメルは昨年のベルリン・フィルハーモニーでマーラー5番を堪能して以来です。今回は演目に惹かれました。大オーケストラを収容するため舞台が拡張されており、普段の前3列は舞台下となっていました。お陰で前から8列目だと思っていた席は5列目でした。演奏の巧拙はともかく、そのキレ、ダイナミック・レンジはオーディオ的に大満足なコンサートでした。いやあ、あの音は装置では出ません。
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驚愕のオフ会

「ジャーマンフィジックス例会(11月)」
今までタイミングが合わず参加が叶わなかったジャーマンフィジックス例会に参加させて頂きました。これまでネット上だけのお付き合いだった何人かの方々にお目にかかれて良かったです。

「新潟X1オヤジ邸訪問 (11月)」
現代ハイエンドの最高を音を聴かせて頂きました。部屋や機器も凄いですが、X1オヤジさんのオーディオにかける情熱が一番凄いです。機器の設置、配線、どこを見ても非常に手がかかっています。特に印象的だったのは、ご自身の志向する音の方向性が明確なこと。ここがブレているようでは音を詰め切れないことを再認識しました。

「音の実験室での体験 (12月)」
今年最後の日本訪問のハイライトでした。詳細は省略しますが、ジャーマンフィジックス・トロバドール80を4基、ウーファー・ユニット4基で構成されたある種の変則ステレオ・システムを聴く機会に恵まれました。

これまで何度か優れたオーディオ再生で、オーケストラの楽器の配置が見える、ホール空間を感じるという経験を重ねてきましたが、ここはもう一段次元が異なりました。

強固な構造と配慮された吸音処理で、部屋そのもののダイナミック・レンジが格段に大きい環境で、綿密にチューニングされた機器が紡ぐ音楽再生は、ホールの床の響きや教会の壁の質感も感じられます。

これまでの音と何が違うのか?この音を聴いて初めて奏者の全身が見えた気がしました。ステージの床に足を下ろして楽器を抱きかかえる様子が感じられます。この再生と比較すると、これまでの音は楽器だけが空中に浮いているようです。

自室とは部屋の構造も大きさも全く異なるにもかかわらず、困ったことにこの音を是非迎え入れたいという気持ちを一段と強くしました。さて、どうしましょうか?

「番外編」
11月、12月の怒涛の音楽体験を経て、オーディオの山の高さから少し現実逃避したくなり、予定より少し早めに愛車を乗り換えました。680馬力は乗りこなせませんが、凄い加速で実力の一端を楽しんでいます。
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皆さま、来年も宜しくお願いします。

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