3月に入って最初の日曜日は、二十四節気の第3にあたる啓蟄、立春から漸く日差しも暖かくなってくる時期というがそのとおり暖かな日中の川崎駅前。
今日は今年6回目のコンサート、そして今年初のミューザ川崎シンフォニーホールで開催された、東京交響楽団の第65回名曲全集。
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当日朝に電話予約で席を確保したのでゆっくりと会場に向かう。
チケットを受け取ったら、近くの喫茶店で音楽&オーディオ仲間のH氏と開演までの間に談笑。
演奏の受け止め方は一人一人違うが、それでもこれから同じコンサート会場に向かうという高揚感を感じるこのひと時が楽しいものだ。
今日の演奏会は、指揮者に大阪交響楽団の音楽監督である児玉宏氏、ピアノ独奏にスペイン生まれの若手ピアニストの中でも注目株のハヴィエル・ペリアス氏を迎えた名曲全集。
プログラムは、シューベルト:交響曲第7番ロ短調D.759「未完成」、ペリアスのピアノでモーツァルト:ピアノ協奏曲第23番イ長調K.488、そしてメインがベートーヴェン:交響曲第7番イ長調Op.92というもの。
座った席は2階席C4 列の44番で赤丸の場所で、H氏は早めに予約していた2階席最前列真ん中の茶丸の場所。
ここからだとオケの音響も良くピアノ独奏の音も良く聞こえると思いS席を確保したが、考えて見みればここは音響の良いミューザ川崎。
アマチュアなら4~5回は行けるチケットの値段なのだが、流石に日曜昼からの名曲全集だけあって、客席は4階席やP席も埋まるほぼ満席の盛況である。
今日のコンサートミストレスである大谷康子氏が現われると、開場からは大きな拍手が贈られて、彼女の人気ぶりがうかがい知れる。
チューニングが終わると照明が落とされ、指揮者の児玉宏氏が現われ、客席に一礼すると演奏が始まった。
最初の未完成は、やや遅めのテンポながら弱音部を際立たせ、緊張感が漲った演奏が展開してく。
どんな弱音でも響きが綺麗に減衰していくのは、ここミューザ川崎ならではの素晴しい音響の特長だ。
2曲目のモーツァルトはピアニストのハヴィエル・ペリアネス氏。
演奏が始まってもコンサートミストレスの大谷氏に何やら話しかけている様子で、大谷氏も笑顔で話に応じている様子が見て取れる。
独奏部に入ったとたんに凛々しい顔つきに変ったペリアネス。
演奏スタイルはオーソドックスで、流れるように進行する指先のタッチ一つ一つが丁寧に響きを作り上げ、強い意志を感じさせる演奏スタイルは聴いていても清清しい。
モーツァルトよりもベートーヴェンの皇帝を聴いてみたいと思わせるピアニストで、これから日本でも人気が出るのではと思わせる逸材登場だった。
休憩を挟んだベー7でも、音量を押さえ気味で弱音部をギリギリまで音量を押さえて緊張感を際立たせ、テンポに拍車をかける様にオーケストラをドライブするような演奏スタイルが、聴衆の中にある種の人馬一体となった感覚をもたらして、第4楽章のフィナーレではその感覚が最高潮に達したものだから、演奏終了と同時に凄まじいばかりの拍手とブラヴォーコールが沸き起こり、何度もステージに呼び出された児玉氏であった。
演奏会が終わった後、興奮さめやらぬまま、H氏と再びコーヒーを飲みながら演奏会の感動を反芻。
同じ感動を共有した者同士の楽しいひとときであった。
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