PAC小ホールで開催される室内楽のコンサートは、ステージを400名収容の客席がすり鉢状に取り囲む形式のため、奏者との距離が近くて適度な緊張感があってお気に入りのホールである。
今日はお気に入りの若手ヴァイオリニストのひとり郷古廉さんが、ベテランのピアノ奏者である加藤洋之さんとコンビを組んで、ベートーベンのVnソナタNo.4、No.6、No.7、No.8の4曲を弾く。
加藤さんはウィーンフィルの第1コンサートマスターであるライナー・キュッヒルさんと長年コンビを組んでリサイタルを行っているとのことで、今回のような若手Vn奏者との演奏会、ましてベートーベンのようにピアノとVnが対等のソナタでは、どのようにリードするのか期待していた。
今回の中でもNo.6、No.7、No.8の3曲はアレキサンダー・ソナタと呼ばれる有名曲だけに、どのように弾くのか期待していた。
郷古さんのVnは個人から貸与されている1682年製のストラド(Banato)どのクレジット。
3メートル程の至近距離で見ると、飴色のニスが色っぽい魅力的な楽器である。
演奏はやはりというか、ピアノの加藤さんが上手くリードを取って郷古さんと会話を重ねるような安定した演奏で、適度な緊張感はあるが手に汗を握るようなハラハラする場面は皆無だった。
欲を言えば郷古さんのテクニックは完璧な上にVnの鳴らし方を熟知しているようだから、もう少し加藤さんとの丁々発止のやりとりを期待したいところだが、ベートーベンを弾くにはまだまだ経験が必要というところだろう。
その証拠にアンコールで引いたシェーンベルクの幻想曲では、Vnの方がリードするように弾いていて、加藤さんはVnの出方に合わせて弾くという攻守の切り替えがとても聴きごたえのあるアンコールピースであった。
帰宅後にベートーベンVnソナタを復習したくなり、手持ちのファウスト&メルニコフによるアレキサンダー・ソナタの3曲を聴いてみた。
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