先日のFM放送では昨年5月24日にドイツのシュベチンゲン音楽祭で演奏されたイザベル・ファウストとアレキサンドル…メルニコフのデュオによるベートーヴェンVnソナタ第4番ー第5番 春、第10番が放送されたので、エアチェックしました。
ファウスト&メルニコフのデュオは以前から沢山の演奏会や録音を行っていて、このベートーヴェンVnソナタも全曲録音のアルバムを10年程前に手に入れて聞いていました。
2人ともソロでの活動で目覚ましい活躍をしていますが、ファウストさんはモダン奏法ピリオド奏法ともに卓越した演奏を聞かせてくれますし、かたやメルニコフさんも現代ピアノから歴史的フォルテピアノまで数多くのピアノを所有し楽曲にあわせて使い分け弾きこなすことでも有名。
そんな2人が10年前に残したモダン奏法と現代ピアノでの演奏と、昨年シュベチンゲン音楽祭で披露したピリオド奏法とフォルテピアノでの演奏ではどのような違いがあるのか?
非常に興味を持って聞き比べすることにしました。
演奏された3曲のうち第5番 春をアルバムとエアチェック音源と比較すると、当然ながら各楽章毎の演奏時間に差が出てきていますが、曲全体を通してみると楽章毎の時間配分には大きな差異はありません。
実際に聞き比べてみてもテンポ速度感に大きな差を感じません。
いちばん大きな違いはなんといっても奏法とピアノの違いによる響きです。
ファウストさんの演奏はピリオド奏法を取り入れながらも弦と弓はモダンなもののように感じますがメルニコフさんの弾くフォルテピアノの音色は明らかに現代ピアノとは違う柔らかなものです。
ピアノの左手の響きはやや暗めの音色ですが、ベートーヴェンがこのソナタを作曲した当時に頭の中で響いていたのはこのような響きなのでしょう。
10年前の演奏と比べると先祖返りした演奏という訳でもなく、奏法と楽器を作曲当時に近づけたことでベートーヴェンが曲に込めた想いをより身近に感じよう、という積極さが感じられます。
これは、ヘ長調の春に限らず、イ短調の第4番、ト長調の第10番でも同様。
モダン楽器をピリオド奏法で弾くVnソナタをこれだけ自在に弾きこなす奏者としてファウストさん以外にはパトリシア・コパチンスカヤさん位しか思い浮かびません。
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らじるらじるの聞き逃し配信でこれ聴きました。
奏法が独特というのは聴いているときはほとんど気にせず聴いていました。
聞き逃し配信は結構便利です。
最近iPadでエアプレイで聴くと高音がジュルんとしないことが判明しもっぱらこの方式で聴いています。
もうちょっとネットの送り出しが高音質ならいいんですが、災害時用という事でなかなか難しいようですね。
うつみさん、ネット配信で聞かれましたか。
音楽の本質は音源のフォーマットの優劣ではなく演奏自体なので、今週のシュベチンゲン音楽祭シリーズの放送はどれも素晴らしかったと思いました。
椀方さん
こんばんは
私も聞き比べをひと通りしてきました。結論から申し上げますと、新旧どちらも素晴らしかったです。
メルニコフのピアノは、フォルテピアノでも驚くほど印象が似通って聞こえました。もちろん椀方さんご指摘の通り、フォルテピアノの左手の音色は響きが暗い感じはありますが、それを感じさせない演奏ぶりだなと率直に思われたのでした。。。これはメルニコフがモダンピアノでもフォルテっぽい柔らかさで演奏しているということと、新しいライヴ録音が、ホールトーンをうまく拾っていて、オンマイクのときの両者のピアノの響きの違いが際立ってしまいがちなのを防ぐ効果をあげていることによるのではと推測しました。
いずれにせよ、二人のコンビは素晴らしいということを再発見させてくれる演奏でしたし、春の訪れを予感させるという意味でも、聞いていて快活な気分にさせてくれました。よい演奏を聞く機会を与えてくださって、ありがとうございました!
ゲオルグさんも聞き比べされましたか!
確かにメルニコフさんの奏法はモダンピアノでも柔らかいタッチを感じさせますね。
ファウスト&メルニコフの演奏会を生で聴きたいと強く思います。