イタリアの歌姫キアラ・パンカルディに聞くガル・コスタの面影 – 新作によせて

日記・雑記
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暑い晩には、ビールをまず1杯なんっていうのは
真夏の定番という気がしますが
たまにはキリッと冷やした白ワインなんかも
食事のお相手にはいいですよね。
私はワイン通ではありません。
でも、たまに散歩で近くの百貨店まで出かけたときに
ワインの試飲をやっていると、ついつい足が向いて
たいがい1本買ってきてしまいます。
最近買ったもので、お気に入りとなったのが
イタリアのTorre del Vesovi Pinot Grigio 2013
というワインでした。
好みというほどのこだわりはないのですが
いつも、酸味があまりなくて
和食にもあうようなものを選ぶ(選んでもらう)傾向にあります。
試飲しての第一印象は、
やはり酸味があまりなくって、フルーティーでフレッシュ。
とろっとした舌触りがあるのですが
後味は、すっきり明快な味わいがここちよいワイン。
ちょっとドライな中にも、ほのかに複雑な表情が感じられるような。。。
すみません、何を言っているのか伝わりにくい表現で。。。
ながながとしたこの前フリはすべて
イタリアの歌姫キアラ・パンカルディを紹介するための
苦肉の策であります。

発売されたばかりの彼女の2ndアルバム
「I WALK A LITTLE FASTER」は
渋くてかっこいい作品をコンスタントに届けてくれるトランペッター
ジェレミー・ペルトの肝いりのもと
これまた渋い作品の多いサイラス・チェスナット(ピアノ)を
中心としたトリオをバックにした作品であります。

試聴はこちらが良いでしょう。
CD化されていないもの(DREAMY BLUES DUOと題された4曲)も含めて、
彼女のキャリアの全体像が把握できます。
ttps://soundcloud.com/chiara-pancaldi

曲目やパーソネルについては、HMVのページをどうぞ。
ttp://www.hmv.co.jp/artist_Chiara-Pancaldi_000000000492095/item_Walk-A-Little-Faster_6461304

ヴォカールのバッキングのときのオスカー・ピーターソンなんかを想起させる
渋くて抑えめで、どちらかといえばトラディショナルなムードのある
サイラスのピアノに
スィートで華やか、
時に芯を感じさせ、時に抜ける青空のようにクリアな
彼女の歌声がのると、実にいい塩梅なのであります。

彼女の歌声については、あとでまたいろいろ書いてみようと思うのですが
ジェレミー・ペルトによるライナーノーツを読むと
彼女と出会った最初のころから傑出した点が2つあったとのこと。
ひとつは「表現の明快さ(clarity of expression)」であり
もうひとつは「確信(conviction)」であると。。。
しかもそれが「経験と深み(experience and depth)」を伴っている。
ただ単にスィートで華やかなばかりじゃないぞ!
ということなのでしょう。

たしかに彼女の声には、
並み居る「美麗系スタンダード歌手」のキャラクターを超える
何かを感じます。
それが何によるものなのかはっきりしたことは
私にもわからなかったのですが
ひとつ自分の好みから感じとったものを披露します。

彼女の1stアルバム「THE SONG IS YOU」では
ジョビンの「SABIA」などボサノバを歌ったり、
今作にくらべると、ことのほかブラジル音楽的な色彩が濃いのです。
「この歌声だれかに似ているな~」と思って聞いていたのですが
はたと思い当たりました。
ガル・コスタでした。

キアラ自身がどう思っているかわかりません。
歌声が似ているのは、資質的なものが強いのかもしれません。
ただガル・コスタといえば、
その涼しげな歌声でボサノバも歌えば
アバンギャルドでファンキーな曲もこなす
「闘士」的な側面も併せ持つ歌手です。
仮に資質的にたまたまガルに似ているだけだったとしても
そのことが頭から離れなくなってしまいまして
私のなかでは、キアラの歌声の背後霊のようになっています。。。
勘で申し上げるばかりの話なのが申し訳ないですが
キアラの歌声に感じる何かとは、
ガル・コスタに感じるのと同様な
しなやかで強靭な歌声の資質自体にありそうです。

ここからはまったくの蛇足です。
好みのシンガーを木にたとえると。。。ということで
これまでJune TaborやMarcia Seebaran同様
キアラも探してみましたら
「ブラジルボク」というのがありました。。。
別名をフェルナンブコ等々。
ブラジルの名は「赤い木」の意味で、一説にはブラジルの国名の由来とも。
心材が硬いため、現在もヴァイオリン属の楽器の弓材として用いられています。
そのほかに、以前は、表皮に近い部分から
赤い染料をとるのに用いられていたとのこと。

鮮やかな赤と、意外にしなやかで強靭な心材。。。
(ガル・コスタのイメージなのかも。。。と思いつつ)
プラス(冒頭でご紹介した)お気に入りのイタリアン白ワインのイメージで
キアラさんには勘弁してもらえないかな~と思っています。。。

ちなみにこのアルバムのジャケットは、すこしギミックがあって
プラケースの外側のジャケットは上に引用したものですが
内側のジャケットはこんな感じです。

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