響きのあや – Tom Harrell 『Something Gold. Something Blue』

日記・雑記
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クリスマスも近づいてきて、
街のあちこちでクリスマスソングが流れているのを、
ちょっとボーッとしながら聞いていたら
意識がちょっとだけぶっ飛んでいて、
なにかポワーンとした響きだけが聞こえていました。
いや、幻聴とかそういうことではないんですが
聞くともなく音を聞いていると
たまに妙な響きだけが感覚として残るということが
私にはあるのです。
えっ、やっぱり私だけのこと。。。?

まあそんなフリをしてみたい気があるだけなのかもしれませんが
そんな私の超個人的なちょっと気になるアルバム
それがトム・ハレルの新作
『Something Gold, Something Blue』(2016)
なのです。

もうキャリアも長いトム・ハレルですが
ここ数年は精力的に意欲作を発表してきています。
2012年の『NUMBER 5』なんか
私もとても好きなアルバムなのですが
アマゾンでこのアルバムのレビューをよせておられる
スーダラ親父さんの言を借りれば
https://www.amazon.co.jp/dp/B007PSY0JC
「トム.ハレルが現在のクインテットを結成してからのアルバムは
(中略)美しいメロディを持ったテーマ、というよりは
むしろ良く練られたリズムの上でシンプルなテーマ(但し難しかったりする)
を呈示する感じ。インプロヴァイズのスペースだけを呈示するような
作曲みたいなものが結構あった」。

新作の特徴も、このイメージだな~と思います。
ウゴンナ・オケグォとジョナサン・ブレイクというリズム隊の作り出す
うねるような・時にかなりホットなリズムに
スーダラ親父さんも指摘しておられる
「幽玄」ともいえそうな響きのホーン群が
のっかってくるということでいえば、
ここ最近の傾向を踏襲している作品といえます。

でもアルバムを何回も通して聞いていると
その「幽玄」さの度合いが深まっていることに
気づかされるのです。
アンブローズ・アキンムシーレのトランペットも
チャールズ・アルトゥーラのギターも
ハレルの音楽的探求に寄り添うように
抑制の効いたプレイを披露しています。

このあたりをHMVのレビューではこう述べています。
http://www.hmv.co.jp/fl/5/567/1/
「各楽器のヴォイスを独立して活かしながら共鳴させるなど、
テーマのハーモニーの綾にも緻密な計算がされています」

シンプルなテーマの残響のようなハーモニーの綾織りが
愉しめるかどうかがこのアルバムを味わう上で
とても大切な気がします。
あんまりテンション高く聞く必要もなく
聞くともなく聞くぐらいでよいのですが
かといって漫然と聞いていても愉しめない。。。
まさに音楽のあやに耳を傾けようとすることで
その音楽世界に入っていくと
とてもスリリングなことがわかってくるような
そんなアルバムなのです。

とまあ、こんな感じでまとめられたのは
どなたかの最近の投稿に触発されるところが大きかったから
なのですが、偶然といえば偶然ですが
セレンディピティということばを思い出しました。。。
ちょっとかっこいいことばを思いついたところで
この投稿をしめたいと思います。

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